見出し画像

10年育てていた親知らずを抜いてきた

10年ぐらい抜かなきゃと思っていた親知らずを抜いてきた。
「切って砕いて抜いて縫うよ」ってどの歯医者でも言われてた。切って砕いて抜いて縫うための勇気が出るまでに10年かかった。
でももう良い大人なんで、そろそろ歯周病とか怖いんで。

地元で一番でかい歯医者を予約。
割とベテランっぽいお医者さんが登場。

「今日は抜歯ですね、ご体調、平気かな?」

やだちょっと宝塚風のイケメン女医さんじゃん、はい先生大丈夫ですよろしくお願いします!!安心して診察台に座る。

「よろしくお願いしますネ!」

突然逆サイドから声をかけられる。若い兄ちゃんににこやかに挨拶をされる。左に新人兄ちゃん、右にベテラン女医。悪い予感。でももう逃げられない。
「ちょっと、針ナナメだよ」
「舌にあたらないよう気をつけて」
「麻酔そこじゃないでしょ」
「神経に刺さるよ、もっと浅く縫って」
「慌てないで、あと30分は麻酔効いてるから」
という恐怖の会話を聞きながらギュインギュイン削られる。鼻に爪あたるわドリルのビートは波があるわ吸引器で唇引っ張られるわ、またこの兄ちゃんの返事が
「…ァィ」
ぐらいのちいせえ声で不安を煽る煽る。しっかりして!!!!!!と応援したいけどお口の中が大事なので声出すこともできず。聞こえる会話を意味として理解したくなくて、脳内でアンパンマンマーチを大声で歌いながら意識をそらしていた。なんでアンパンマンマーチだったのかはわからないけどそれしか歌詞が浮かばなかった。そうだ嬉しいんだ生きる喜び。たとえ胸の傷がいたんでも。

施術後なぜか私は汗びっしょりでしたが、予想に反して術後はとても順調です。腫れもなく食欲もある。ありがとう女医さん、ありがとう新人の兄ちゃん。

どんな名医も初めての施術ってあるんだよなというのは理屈ではわかるんだけど、次は女医さん単独の日に予約を取ろうと思います。おつかれさまでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?