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ジャズスタンダード千夜一夜、はじまります。

ジャズスタンダードの曲の背景、よもやま話を紹介していきたいと思います。「千夜一夜」のタイトルは「1001」と呼ばれていた楽譜から。いまは「黒本」と呼ばれる楽譜が主流ですが、その昔はこの「ポピュラーソングのすべて」通称1001が現場で使われていました。1001って、ほんとに1001曲入ってるのかという疑問がわき、数えてみた人もいましたが(実際は1001曲以上掲載されてた)、要はそれだけ「たくさん」ってことです。アメリカ史を彩ってきたたくさんの星たち、たくさんの人に愛されてきたからこそ「スタンダード」(定番)となってきた曲の知られざる魅力を探っていきたいと思います。

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・そもそもジャズスタンダードってなに?

ジャズのスタンダードというとどんな曲を連想するでしょうか。「枯葉」「サマータイム」「A列車で行こう」などのタイトルが頭に浮かぶのかな。

何をもって、どこまでをジャズスタンダードと定義するのかについては人によっていろいろですが、「ジャズをやってる人が演奏する定番曲」とざっくり思っていただければいいのではないでしょうか。いまジャズスタンダードと呼ばれているものは、大きく以下の3つの種類に分類できるかと思います。

・Great American Song Book(アメリカンソングブック)

・Jazz Mastersʼ Tunes(ジャズミュージシャン、作曲家の手による曲)

・Popular Song(ポピュラーソング)とその他

・Great American Songbook(アメリカンソングブック)

おもに1920 年代~50 年代までのアメリカの作曲家によって作られたもの。多くはヴォードビルショウやブロードウェイなどのミュージカル、またハリウッドのミュージカル映画の現場で生まれた曲たちです。あのアメリカで大衆の娯楽として生まれ、国や時代を超えて愛されてきた曲ばかり。ちなみにいまでは慣れ親しんでいるスタンダードも、元々はミュージカルやクラッシックのスタイルで演奏されていたので、オリジナルを聞くと「え、これがあの曲?」とびっくりすることも多いです。

代表的な作曲家:ジョージ・ガーシュイン、リチャード・ロジャース&ロレンツ・ハート、オスカー・ハマースタイン、アーヴィン・バーリン、コール・ポーター、ジェローム・カーン、デューク・エリントンなど

代表的な曲:Summertime, My funny valentine, My favorite things, All of me, Youʼ d be so nice to come home to, Take the A train など

・Jazz Mastersʼ Tunes(ジャズミュージシャン、作曲家の手による曲)

1940 年代くらいからのジャズマスター・ジャズジャイアンツ(ジャズの巨人)と呼ばれる代表的なミュージシャンたち自身の作品。歌ものについては、インストに後からヴォーカリストたちが歌詞をつけて歌っています。ジャズの進化の過程でのスタイルやミュージシャンの個性が色濃く反映されていて、万人好みとはいかないのも特徴。でもそんな中で残ってきたツワモノですから、いずれも聞き応えのある名曲多し。

代表的な作曲家:ディジー・ガレスピー、チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、マイルス・デイビスなど

代表的な曲:A night in Tunisia, Nowʼ s the time, Round midnight, So what, Anthropologyなど

・Popular Song(ポピュラーソング)など

1950年代以降はポップスやロックのヒットソング、またラテンの曲、また1950年代ブラジルで誕生したボサノヴァなどもスタンダードに加わっています。

代表的な曲:好きにならずにいられない, Moondance, Yesterday, God only knows, Girl from Ipanema, カーニヴァルの朝,キエンセラ,Swayなど

・もっとも人気のあるスタンダード

wikiによるともっとも多く録音されたスタンダードは1930年代までは「セントルイスブルース」。それ以降は「Stardust」と「Body and soul」が人気を二分してきたそうです。ジャズマスターの曲としてはセロニアス・モンク「Round Midnight」が一番人気。

・時代を超えて愛されてきた星々に触れる夜

星の数ほどもあるスタンダードソング。古いものはもうすでに100歳を超えている曲も多く、これだけ長きにわたって愛されてきたのは、やはり記憶に残るメロディ、人々が自分の思いを投影できる歌詞があるところ。そしてそれだけ時代や人種を超えて普遍的なテーマがあるということじゃないかな。

私の尊敬するシンガー、Rebecca Parrisは、"You don't choose songs, The song chooses you."(あなたか曲を選ぶのではない、曲があなたを選んで向こうからやってくるのよ)と言いました。ジャズスタンダードの夜空に輝く星々の中から、あなただけの星を探す旅へ。ここからご一緒できたらうれしいです。

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