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予算が5万円もつかなかった…。じゃあ、

コロナで苦しい状況を変えるために、予算5万円使いたいという話をしたところ、経理から一蹴された。

「無駄遣いするな」と。
こんこんとどんなに無駄なことをしているのかと言葉が続く。

内容は耳に残らない。もうJOJOに出てくるこの台詞しか・・・。

「無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄・無駄」

5万円は無理だ。きっと”万”という数字を取れば、”駄”から”理”に変わるんじゃないかと思った。そこで出た言葉。

「じゃあ、5円で。やりたいことがある」

無駄→無理。

『無”駄”』から、『無”理”』に変わった。『無理』は理がないということなら、理にかなうようにすればいいんだよなとか、もう頭の中で言葉遊びが始まった。

5円→無理。

5円、5円、5円→無理・無理・無理

5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円、5円

→?

こうなると無理じゃなくなるんじゃないか?いっぱいの五円。五円は金色で、金メダルだ。東京五輪をやる時期だし、金メダル系の商品はチロルチョコでも売り出している。金メダルをいっぱいならべて、『東京五円』はどうだ?

『五円』→『ご縁』だし、占いだから、ご縁を呼ぶ占い館的にやればいいんじゃないか。

5円。とりあえず、棚に貼ってみるか?

五円問題

五円を金メダルに見立てる。でも、そこで最初の行き詰まり。

実際の五円はこれ。

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これは五円玉でもわりときれいな方だが、写真だと光の関係で金色に見えるけど、実物は金じゃない。人間の指の皮脂がコインのデザイン部分の細かな溝に入り込み、腐食し、うんこみたいな色になっている。

うんこじゃダメだ。金メダルがうんこじゃ。

レモン汁や酢酸できれいになるという話。でも、やりすぎると色が変になるというので、やってみる。ネット動画の1枚ならまだしも、壁一面に貼るとなると、理論上7000枚必要。

それってどうする?

最悪、磨こう。必要な数だけ。
あれこれ考えても進まないので、そう結論づけた。

五円問題2

あー、そういえば新しい硬貨に両替えいけばいいんじゃない?とりあえず、取引銀行に電話で聞いてみた。

「5円玉を7000枚ほしいんですが、新硬貨で用意できますか?」

窓口担当からの言葉

・旧硬貨のみ
・新硬貨はどこで手に入るかわかりません。
・手数料が枚数により異なり、7000枚分だと・・・

5円を手にするのに、手数料がかかり、倍まではいかないけども、スゴイ額になる。当初の5万円の予算を超える。そんなアホな・・・。
しかも、旧硬貨。→磨けということか・・・。
新硬貨がどこで変えられるかわからない→行員失格じゃない?大丈夫か君?

『東京五円』の中止危機。

あることを思い出した。銀行を使わずに両替すればいい。
けれども、それは約30kgの荷物を運ばなくてはならないという新たな問題が起こった。

名誉?の負傷。

30kgの金塊ならぬ五円を一気に持ち運ぶのは、無謀だということで、何回かにわけて運ぶ。電車を乗り継いで持ち帰ることになり、駅の階段で事件が起こった。

こんな感じで小分けして、リュックに。(写真は洗浄後のもの)

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13日連続出勤で身体に疲れが溜まっている状態で、階段を降りた時に股関節に違和感を覚えた。PCの入ったカバンに五円の塊の入ったリュックを持って、走って降りたのがいけなかった。最後の2,3弾をジャンプし、着地後に背中に背負うリュックの重みがかかり、バランスを崩す。股関節の違和感をそこで感じるとともに、鈍い痛みがある。

とりあえず痛みがあっても、足は動く。

試金洗浄。

200枚くらいの五円をまとめて、金ぴかにするには何が効率的か?酢酸による洗浄のほか、いくつか試してみた。漬け置きする時間なども変えたが、ネット動画のようにはキレイにならない。

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もとのウンコではなくなっている。明らかに。若干光沢が出た。

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洗浄ではあまり大差がない。ダイソーの酢酸で十分だということがわかった。1袋110円。

でも、金ではない。そこで磨くことにした。年始の初売りまでは10日しかない。磨いた後に貼る時間を考えると、1日1000枚を磨いていかなくては間に合わない。

磨くためのクロスを探す。無印で3枚200円を見つけた。ダイソーよりも得だ。クロスは無印で行くことに決めた。

名誉の負傷2

五円を磨くコツ。そんなものはない。とりあえず、金ぴかになるまでこする。摩擦により、化学反応を起こしたのかわからないが、クロスはすぐに真っ黒になる。黒い削りカスがたくさんでる。五円を磨きすぎると、それはそれで貨幣としての問題があるということで、削りすぎないように注意しながら、店頭で声掛けしながら磨く。

2日目。異変が起こった。磨いている途中で涙と鼻水が出てきた。花粉症の時期には早すぎる。翌日、体調は問題ないのに五円磨きをしていると、前日と同じことが起こった。

金属アレルギーだ!

もう40年以上生きているが、自分に金属アレルギーがあることを初めて気づいた。このままでは間に合わない。

ビニール手袋を用意すべきか迷ったが、細かな手作業には向いていないように感じた。そこでセロテープを指に撒いて代用した。

これでアレルギーは出ない。

けれども鑑定の機会があるたびに、それをはがして、消毒してとなかなか面倒だ。

五円を棚に貼る。スタッフからは、剥がした後にきたなくなるという懸念の声があがる。こちらは貼ったら、剥がすつもりはなかった。五円を棚に貼った時点で、それは貨幣ではなくあくまで飾りだ。金色のレプリカや材料を用意するより、五円玉の方が安い。

反対の声が上がった以上は、棚を傷つけないようにシートを貼り、その上に五円を貼ることにした。

五円をキレイに貼るには透明のものでないといけない。瞬間接着剤では、貨幣としての利用ができなくなる可能性もある。テープでは粘着が弱く、落ちる。そこでレジンで貼ることにした。1度に5枚しか貼れない。非効率だが、2時間程度で、スタッフの手を借りながら、そこそこ貼れた。

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五円の見直し

五円を磨いて、実際に壁に貼っていくうちに感じたのが、案外店になじむということ。このままではインパクト薄いぞと感じた。

絶望的なやっちまった感が襲う。

金ぴかな五円は、アトレ秋葉原の通路を照らすだろう。暗いムードが漂う現状を明るくするということは良いことなのかもしれない。

ただこのままでは自己満で終わる。

店の前で1秒足を止め、その瞬間に声をかけるというのは至難の業。1秒後には興味を失う。せめて3秒。足を止め、これは何?と思う時間を作らないと意味がない。

そこであるアイデアが浮かぶ。

建てまい。

子どものころ、うちの地方には建てまいという行事があった。家を建てる時に、木造の枠が出来上がった頃に行う行事で、家の屋根の柱から、お菓子が硬貨をバラまいた。

現金のバラマキは、選挙の時には公職選挙法につかまるかもしれないが、建てまいは関係ない。

建てまい。それは子どもから老人までが参加するイベントで、格闘技のような戦場と化すケースもよくあった。年の功というものか、年老いて腰の曲がったおばあちゃんが、そこでは結構成績を上げる。みんな上から降るものを待ち構えて手を伸ばす。

おばあちゃんたちは、上は見ない。地面に突如出現する、獲物を狙う。見かけによらず、俊敏な動きで、おばあちゃんたちは小学生男子を翻弄する。

これだと感じた。さすがにアトレの中で建てまいをやることは無理だ。バラマキをやるにしても、現物の数に問題がある。

時期は正月。みんなは自粛ムードで神社には行けない人もいる。それなら、神社の浄銭を用意し、おみくじで当たった人に配布すれば、枚数をある程度コントロールできるだろう。

どうせなら、生年月日と血液型情報を収集して、星座×血液型占いの検証を一緒にやってしまおう。

こうして、金ぴかに磨いたコインの一部を浄銭にすることにした。

ごえんのある占い館

時間との関係で、すべての五円を貼ることは諦め、完成に至る。写真ではわかりにくいが、アトレ秋葉原の通路を歩くと、遠くからも輝いて見えることがある。


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アトレ秋葉原に初めて訪れる人にはそれなりのインパクトを今でも残すが、この風景が周りといつのまにか調和してしまって、当たり前のような存在に変わっている。

この五円がレプリカだと思っている人もいたり、子どもはこの五円の壁から反対に貼った五円を見つけて喜んでいたりする声も聞く。

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おみくじ

浄銭の当たり付きおみくじは、かなりの成功を収めた。期間中に1000名以上の利用が見られ多くの人に利用された。1日100名以上が足を止めたことで、そこから占いサービス利用に10%を超える利用も見られた日があった。

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星座×血液型の検証結果から言えることは、血液型と運には相関関係はないということ。生年月日で集計を取ったため、星座ごとの集計も行えるが、星座では顕著が差が見られた。ちょうど年始にTVで星座×血液型のランキングをやっていたが、あれがインチキだということがこの結果からもハッキリわかる。

結局いくらかかった?

五円は両替えを7000枚やったけども、実際のところ省エネで棚に貼ったので、2000枚程度だと思う。つまり1万円。これは外せばそのまま硬貨として使えるから出費していない。

磨きクロスは10セットで、2000円くらい。1枚100円もかったため。
酢酸は200円。付箋4セット400円。おみくじボード2000円。レジン液1500円

たったこれだけで1000人を集客したということなら、販促としては成功の部類なんじゃないだろうか。

5円はご縁を呼ぶ。

『東京五円』の計画

東京五輪は負債を呼ぶ。けれども、東京五円はご縁を呼ぶ。

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マリーシェルは、五円プロジェクトの集大成として、東京五円を計画した。五円の輪を作り、茅の輪くぐりみたいにしようと、直径160の輪を五円で作ろうとした。

その結果。五円は重力には負けた。五円の重み。100均の針金を使ってサポートしようとしたが、耐えられなかった。計算上では耐えられると思ったのだが、私の技術が圧倒的になかった。ピラミッドや城の石垣を作った人々のような器用さがない。

でも、このまま金ぴか五円企画をフェードアウトすると、レガシーとなってしまう。数量を手作業で数えたうえで、入金機にまた入れるという作業が発生する。絶対この数量は入金機詰まる。すると、作業員を呼び対処する。なんでこんな五円がたくさんあるんですか?と聞かれ、その説明をいちいちするのが面倒だ。

やっぱり『東京五円』を開催して、レガシーにせずに、紙に変えよう。


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