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【中国茶コラム】① お茶の歴史

かつてはワインの魅力に取りつかれ、必死にワインの勉学に励んでいました。
そんな時、上司に紹介してもらった中国茶専門店で本格的な烏龍茶「大紅袍(だいこうほう)」を頂き、普段飲んでいたお茶との香り・味わいの違いに感動して「お茶」の世界へと足を踏み入れました。

日本人には生活の一部として馴染み深いお茶ですが、その細やかな内容はあまり知られていません。
そんなお茶の世界を皆様にご紹介していきたいと思います。

第一回は「お茶の歴史」について。

「お茶」とは厳密にいうと、ツバキ科ツバキ属である「茶樹」(チャノキ)、学名「カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)」の茶葉から作られるものを指しています。

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なので、ミントやローズマリーで作られるハーブティーや、黒豆茶、ローズヒップ・ティーなど「茶樹」以外の原料のものは「茶外茶(ちゃがいちゃ)」と呼ばれ、区別されています。

お茶の歴史の始まりは中国。
紀元前 約2700年頃 古代中国の伝説的な皇帝「神農」が、草木の効能を確かめるため、1日に数百種類もの植物を口にし、その薬効を調べてました。なんとそのうちの約70種類が毒草で、その毒消しの為に「茶」を口にしていたとの記録があります。なんでも、神農の体は透けていて、毒が入ると体の色が変わってすぐにわかったのだとか…びっくり透明人間です。

その後、お茶は塩やハーブなどと一緒に煮込んで「羹(あつもの)」、つまりスープとして口にされていました。生の茶葉や乾燥させた茶葉をそのまま鍋にいれて、色々な材料と一緒にグツグツ煮込む…体に必要な栄養が一度に取り込めるのです。

現代でもお茶の煮込みスープは、一部の民族の間で生活に不可欠なものとなっています。
奈良県の郷土料理である、焙じ茶と米で作る「茶粥」もここから影響を受けているのかもしれませんね。

唐の時代(618~907年)にはお茶専用の茶器も作られるようになり、「茶葉本来の味わい」を楽しむ為の飲み方が一般化しました。
"茶聖" 陸羽による世界最古のお茶の専門書「茶経」が著されたのもこの時代です。(日本語翻訳版も出版されているので、ぜひチェックしてみてください)

ちなみにディズニーで有名な映画「ムーラン」で、主人公のムーランがお茶作法を学ぶシーンがあるのですが、その時代には存在しないハズの取手付きの急須でお茶を淹れています。「あれれー?」っと思わず一人でツッコミを入れてしまいました。

宋の時代(960~1279)には、茶葉を粉のように細かくして、茶筅で泡立て飲む方法が広がりました。日本の「茶道」の元となった飲用法ですね。

その後、明の時代以降(1368~1644年)には急須や蓋椀(がいわん)に茶葉を入れて、小さなカップ「茶杯」で飲むという現代のお茶の楽しみ方が浸透しました。
貴族や上流階級のみで楽しまれていたお茶が、一般市民に広がったのもこの時代。日本の煎茶文化にも影響を与えたといわれています。

普段飲んでいるお茶ですが、透明人間「神農」から始まり、約5000年もの長い歴史を持っているのです。

次回はお茶の分類や製法についてご紹介しようと思います。

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