見出し画像

ここでひとりシエスタを_004

my シニアカー

 わたしは運転免許を持っていない。車はもちろんのこと、原付すらないのです。欲しいと思ったこともほとんどない。持っていないことを恥じたこともない(恥じることでもないと思う)。車は父親の影響もあり、見るのは好き。子供の頃、展示会について行ったり、ミニカーを買ってもらったりもした。ちなみに初めて買ってもらったミニカーは梯子が伸び縮みする消防車で、よく覚えているけど今はない。一応自分が乗るならば...というのも考えたりしていて、やっぱりルパンのチンクエチェントだったり、ミスタービーンのミニがいいな〜なんて思い浮かべたりはする。(初期のパンダも良い、小さめの車が好きみたい!)だけど運転したいと思ったことは、やっぱりない。

そもそも自転車の運転が下手くそで(ちゃんと普通に乗れるけど、実はちょっと怖い)、そんなわたしが自転車よりスピードの出るバイクやら大きな車を運転するだなんて大変恐ろしいことなのです。ありがたいことに、車がなくたって生活できる場所で生きているので、免許が無いことに不便はしていない。強いて言うならば、友人たちとどこか遠出をするときに力不足なところに申し訳ない気持ちになるくらい。いつも運転してくれる友には感謝!

そんな乗り物に対して無関心なわたしだけれど、昔からずっとずっと憧れているものがある。それがシニアカーなのだ!!

 シニアカー。誰もが一度は街で目にしたことがあるでしょう。ご高齢者用の電動カートです。あの佇まいが何故か昔から好きで、絶対自分がおばあちゃんになったら乗るゾ〜っと決めているのです。あの少し大袈裟なボディに対して歩道を走れるよう、ゆっくりと進む様(シニアカーは歩行者扱いです)、備え付けられたクッション性のある肘掛け椅子になに食わぬ顔で深く腰をかけ、外にいるのに家にいるかのようなリラックス感を醸し出すご年配の方々に、わたしはどこか未来感を感じずにはいられないのだ。それがとてもかっこよい。

 わたしは自分の理想のシニアカースタイルを思い描いています。まずボディには今まで自分が貯めてきた「とっておきの時に貼りたいステッカー」を貼りたい。もともとステッカーが好きで色々と持っているけれど、「ここぞという時」とか「もったいない」とかで机の奥底にひっそりとしまわれているのです。例えば中学生の時に友人からもらった初期プレステのロゴとか、好きなイラストレーターのものとか。もちろんシニアカーに乗るまでの人生に貼る時がきたら、それは惜しみなく使うけれど、その時がこないのであるなら、そのステッカーはわたしのシニアカーに貼られる運命だったということになるのです。椅子の生地はベロアみたいなシックな感じがいいなぁと今これを書いていて思いついたけど、ステッカーとの相性は悪そうね。夏も暑そうで悩んじゃう。

どちらにしても、自分にとって特別なものにしたいって気持ちは確かってわけ。あとはアメリカの子供とかが乗っている自転車のハンドルに付いているようなキラキラのリボンを付けたいし、前カゴはフランスの自転車みたいな飴色のバスケットがいいな。最終的にどうなるのかは、まだまだまとまらないけれど、私だけのとびきり可愛い仕様にカスタムして、胸元にヴィンテージのブローチを付けたロマンティクなドレスワンピースを着て乗り回すおばあちゃんになりたいな。

 これを書くにあたって、ちょっぴりシニアカーについて調べていたのだけど、元々はご高齢の方々の間でゲートボールが流行り始めたときにコートまでの移動手段として使われていたらしいのです。シニアカーは昔からずっとおじいさま、おばあさまに寄り添ってきたのね。車種も色々と見ていたら、思っていたよりもバリエーションがあったの。(あとお値段も結構するのね...50代くらいになったらシニアカー貯金しようかしら...)

今出ているであろう中でわたしが一番良いなっと思ったのは、安定のスズキ「セニアカーET4D」!シニアカーらしいしっかりとしたボディとクリーミィなカラバリが可愛い。カゴも大容量なのに野暮ったくないのは優秀だと思う。あとネーミングが「セニア」っていうレトロ感も良い。

「おさんぽEVとれ蔵」はパステルカラーがとにかくキュート。椅子はすこし頼りないけれど、どことなく感じるスーパーカブのようなフォルムが可愛いポイント。そして付属でラタンカゴがあるのは高得点!乙女心のわかるお洒落シニアカー。

東洋製作所というところが出している「てくてっくん」はとても近未来的デザインで面白い。ちょっとカタツムリみたいな形なのだけど、シニアカーにしてはなかなか攻めたデザインで好感が持てる。それに加えて機能もちゃんとお年寄りが操作しやすいよう設計されている。ロゴも名前も可愛い。

調べていて一番ドキドキしたのは、シニアカー用のキャンピングトレーラーの存在。イギリスの会社が出しているもので、内装はカプセルホテルみたいにキュッと詰まっている感じ。まるでハリーポッターの階段下の部屋のようで最高なのです。外観もグッド。

高齢化が進んでいることですし、今後もデザインのバラエティが広がることを期待しましょう。



marica.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?