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傾向と対策:男性専用車両は必要か
どうも、久しぶりに数2の教科書を開いて、全然公式とか忘れていて引いているまりあさんです。
今日は先日Twitterである人と議論になった「男性専用車両」の必要性について考察し、考え方や根拠の出し方をまとめます。
■男性専用車両がないのは不平等?
私は日々、女性差別の認知・啓蒙の為にTweetしているのですが、ある人からこんなリプライが届きました。
「女性差別は確かに問題ですが、女性を保護する際に男性に対する『逆差別』も同時に発生していると思います。例えば女性専用車両があるのに男性専用車両がないのは平等ではないのでは?」
まあ良くあるリアクションの一つだと思います。これまでどれほどのフェミニストたちがこの問いに答えてきたでしょうか。
そういえば中学生のとき、友達に上記のような逆差別についての疑問を投げかけられ、上手く反論できなかったのを思い出しました。
しかし、私はもう大人で、ジェンダーの初歩を学んできました。問題を切り分けることも、証拠を示すこともできるはず。そう信じ、今回この問いに受けて立つことにしました。
■問題を切り分けよう
今回の相手の問題提起は下記のように分けられます。
【問題1】女性差別をなくそうとすると、男性差別が発生すること
(具体例:男性専用車両がないこと)
【問題2】「平等」、痴漢を撲滅させるという2点から、男性専用車両も必要であること
また痴漢撲滅の観点については、下記のような仮説からくるものと推測します。
【仮説1】性別ごとに車両を分け、加害者の前に異性の被害者を近づけさせないため
【仮説2】加害者以外の無実な男性を冤罪から守るため
今から上記の問い・仮説のもつ矛盾について解説します。
■【問題1】男性差別が発生すること
結論から言うと、2つは別の問題です。女性差別を考えると男性差別は見えやすくなりますが、ごちゃまぜにせず、分けて考える必要があります。
何故なら、男性差別があるからと言って、今ある女性差別をないがしろにしてはいけないですし、逆も然りだからです。
ます大前提ですが、日本社会に「男性差別」は大いに存在します。「男だから○○しろ」「そんなことしては女々しい」という言葉は世の中に溢れています。
社会から女性が「女性らしさ」を求められ、人間としての当然の権利が十分ではない場合があるのと同様、男性も「男性らしくしろ」と窮屈な思いをすることがあります。
しかし、女性差別ばかり注目されておかしい、男性差別もどうにかしろと言う主張は、2つの別々の問題を混ぜてしまっています。
このような言い方だと、「今まで考えてきた女性差別問題より、新しく男性差別問題も考えるべきだ」に聞こえます。
そうではないのです。どちらも解決しなければいけない別々の問題なのです。優先順位があるのではなく、もし男性差別が気になるのであれば、この話とは別に議論を繰り広げばいいのです。
例えるなら、ずっと玉ねぎの調理方法の議論をしていたのに、玉ねぎのことばかり考えていたらジャガイモに芽が生えてしまうから、ジャガイモについても考えたほうがいいと言っている感じです。
玉ねぎもジャガイモもちゃんと料理します。私は玉ねぎを料理するので、特にジャガイモが食べたいならあなたが料理をし始めたらいい話じゃないですか?
だから結論、男性差別は確かに存在するが、今はその話してないので黙っててくださいクソリプが、ということになります。
■【問題2】男性専用車両がないのは平等ではなく差別?
また、男性専用車両がないことは差別だという主張がありますが、これもズレがあります。
女性専用車両は朝のラッシュ時の避難場所、痴漢被害を受けやすい女性の「優先」車両です。あなた方がほしいのはその意味合いの優先車両ですか?もしくは、全然そうではないのではないですか?
男性専用車両賛成派の意見を聞いていると、男性の痴漢被害者を加害者から守るため【仮説1】、というより、同性という観点で痴漢だと疑われないようにするためという意味合いが強そうに聞こえます。【仮説2】
仮説1の意味で専用車両を必要としているのであればまだ平等ではないと言えなくないかもしれませんが、仮説2の場合は全くずれています。
女性が優先車両を必要としているのは、「公共交通機関に安全に乗る」という当然の権利が侵害されているからです。
男性達は冤罪の危険性はあっても、少なくとも「性被害を受ける」というハンディは背負ってませんよね?(男性の性被害者をのぞく)
※ここで男性とわざと一括りにしているのは、実体経済として明らかに男性より女性のほうが被害にあっており、異性愛傾向が強い日本では、男性の加害者の方が圧倒的に多いと考えるからです。
例えばご高齢の方や身体障害者、妊婦の方には各車両に「優先座席」がありますが、あなたはあれを「健常者差別だ!」と思いますか?
思いませんよね?何故なら彼らには健常者と同じように電車に乗る際、ハンディがあるのですから、そのハンディを埋めるために席があるのです。女性専用車両も同じことです。
■仮説の証明
最後に、この2つの仮説がどう誤っているか説明します。
【仮説1】性別ごとに車両を分け、加害者の前に異性の被害者を近づけさせないため
【仮説2】加害者以外の無実な男性を冤罪から守るため
まず【仮説1】ですが、単に性別で車両を分断することは女性の避難場所として一応機能していますが、根本的な解決策ではありません。
痴漢は「性欲」により誘発されると思われがちです。しかし実際は性欲はあまり関係ありません。
痴漢は、弱そうな対象を支配したい欲から発生すると言われています。弱そうであれば女性でも男性でも子供でも誰でもいいのです。
▽参考記事
https://m.huffingtonpost.jp/amp/2017/10/19/sexual-molester2_a_23249648/
しかも世界は異性愛者だけではないので、性別で分断しても無駄なケースだってもちろんあります。
【仮説2】については、正直、冤罪を気にしすぎているとしか思えません。確かに全員男性の車両が出来れば、女性への痴漢は疑われなくてすみます。
しかし、先に述べたとおり痴漢は同性出会っても弱そうであれば支配したいと思いますし、そもそも冤罪は一体どれだけ発生しているのでしょうか?
古いデータですが、平成18年の痴漢検挙数は4000件だったそうです。そこで冤罪を主張したケースは100件ほどです。
▽参考サイト
http://www.flying-machines.com/false-charge/
また4000件の検挙数も信用できる数字ではありません。何故なら痴漢事件の9割は告発されずに終わるからです。
私も、私のお母さんも、友達も痴漢に合いましたが警察に行かずに終わっています。レイプされた伊藤詩織さんだって警察に行っても真剣に取り合ってもらえなかったのです。痴漢なんてたかがしれてます。
そんな大きな分母の中のたった少しの冤罪について考えるのであれば、もっと建設的な議論が必要だと思います。
(例)
・通勤ラッシュの解消
・抑止力のための啓発ポスターや動画
・非常ボタンや通報アプリなど通報しやすい環境
またまた脳内に反論が聞こえてきました。「冤罪だって大変なんだぞ!社会的信用を失うし。」
女性だって性被害を受けて精神的にダメージ追ったら日常生活できなくなるぐらい大変です。私も痴漢被害を受け、今のようにオープンに痴漢のことについて考えるまでに5年はかかりました。
社会的信用は最悪、動くことができるので、別の分野で活躍できるかもしれません。でも精神被害は動きが鈍るのです。自分を責めたり、自分の被害が矮小化されたりなかったことにされたり、自分が全然守られないのです。
■結論は、、、
とりあえず結論は、男性専用車両を訴えるぐらいならもっとマシな案を考えろということです。
ただ、もし世の中の男性がアホばかりで「男性専用車両がないと差別だ」と訴えるだけで議論が停滞するのであれば、妥協案として、どこかでテスト導入しても良いかもしれないと1ミリだけ思います。
それで男性専用車両が意味のないことというのが証明されて先に進めるというのなら、本当に疲れる話ですが、仕方ないです。
ただ、仮に男性専用車両がエスカレートして、性別で車両が完全に分断されるようなことがおこれば、私はこの妥協案すら反対です。
加害者が100万%悪いのに、被害者である女性や無実な男性がとばっちりをくらわないといけないのですか。しかも「性別」という、自分ではどうしようもできない性質によって分けられるなんて。
完全に性別に車両を分けるとすると、人種差別にも似た、排他的な思考であると言わざるを得ません。
やっぱりムカつくので男性専用車両は反対です。
以上ですが、ここまで読んでくださってありがとうございます。
また明日お会いしましょう。ばいばい!
まりあさん