見出し画像

岡本太郎ビギナーが映画「#太陽の塔」をレビューしてみた

■映画概要:「岡本太郎」入門!

岡本太郎を知らなくても、彼の生涯やポリシー、太陽の塔の成り立ちと表現していること、当時から今までの塔の存在意義が一通り分かる良作。

※岡本太郎について良く知ってる人が映画を見たら、既知の内容が多くて少し物足りないかもしれない。岡本太郎の本なんて世の中に溢れてるし。

▽公式サイト
http://taiyo-no-to-movie.jp/

■評価:★★★★☆

■オススメポイント ※ネタバレ注意

①岡本太郎の若い頃のもがきが分かる

「芸術は爆発だ!」というキャッチフレーズと、太陽の塔とかエヴァっぽい彫刻とか絵とか描いてたので有名な芸術家、岡本太郎。

世の中には彼についての資料やインタビューはたくさんある。仕事場の近くに数寄屋橋公園?があり、そこにも岡本太郎のオブジェがある。よくお昼ご飯を買いに通り過ぎていた。

それくらい身近な人・作品であるのに、なんか独特の取っ付きにくさがある。めっちゃ原色つかうし、太陽の目つき悪いし、共感するポイントが表面からは見えづらい。

でもそんな彼も初めからあのスタイルではなかったし、若い頃は色々もがいてたエピソードが映画の中で語られる。

・芸大時代、フラッとフランスに留学する
・嫌われ者のやばい芸術家バタイユとつるむ
・表現の方向性に迷って写実的な絵を描いちゃう
(詳しくは映画見て!)

そのもがきのなかで、抽象画とか民族研究とか仮面とか縄文土器とか、彼の芸術を形作る要素をちゃんと学んで、結果彼のスタイルが生まれたという過程は「岡本太郎も人間だったんだ」と感じる。

クリエイターとしての若かりし頃の彼に共感し、もっと彼のことを知りたい、あわよくば彼っぽくひと暴れしたいと思った。

②会社で働かない選択肢、表現者としての人生を応援してもらえる(気分になる)

この映画で一番印象的だったセリフが、ある学者のコメントだった。

「表現者は普通の人より敏感で、だからこそ何か問題に気がついたとき、なんとかしなきゃと思うわけですよね」

私のことだ!!と思った。

私はジェンダーを学び、ジェンダーのことに敏感になってる。会社ではこの敏感さが活かしきれず、むしろお荷物になってしまうこともあった。

仕事を辞めるとき、私は「この敏感さを活かしたい」と思ったけど、この映画でそれが肯定された気がして、すごく嬉しかった。

多分、芸術家とかデザイナーとか作家とか、何か表現する人は私とおんなじ気持ちなんだと思って、やっぱりその方向で進もうと思った。

③原発問題など「なかったことにされかけてること」にもう一度向き合える

太陽の塔の裏にも、実は別の太陽が描かれているのをご存知だろうか。これは、原子力のことを暗喩している。原子力は「未来の太陽」と言われていたことが反映されているのだという。

日々の生活に精一杯だと、忘れてしまいがちな大事なことが世の中にはある。原発事故のこととか、戦争の歴史とか。でもメジャーなニュースではそういうシリアスなテーマはめったに報道されない。

ニュースでは全然無視されるか、復興のみに焦点が当てられる。福島はもう大丈夫ですよ、みたいな感じで。(ジャスティン・ジェスティー)

アーティスト集団Chim↑pomも「今はメディアでのNGワードが多くて、例えば『原発』とか『慰安婦』とかそういうテーマには出資しません、などと平気で言われる」と明かす。

メディアは私達に、過去のそういう馬鹿な歴史を思い出させないようにわざと仕向けていて、表現者が思い出させようとするのを拒むようだ。

でも太陽の塔はそれを邪魔する。思いっきり、大阪万博跡地のど真ん中で水を差す。ほかのパビリオンは取り壊されたのに、あの得体の知れないあいつだけ、まだ堂々と立っているのは面白い。

太陽の塔は大阪万博の跡地に今もそびえ立っていることで、原子力に頼りすぎている日本人に、何か猛烈に伝えようとしている。

--------------------------------------------------------------------------------
今日はちょっと多く書きすぎてしまったので、多分リライトするかもですが、とりあえず言いたいことはこんな感じです。

まだ木曜日までシネクイントで上映中なので、良かったら是非見に行ってください!!

じゃあ、また明日!バイバイ!!

まりあさん

■おまけ:シネクイントさんのこと

今回、この映画のためにシネクイントさんに初めお邪魔したが、やはりとても良い映画館だった。

①上映作品のラインナップ

チョイスが良い。チェーン店では観れない攻めた作品が多い印象。(でもアクション系など、娯楽映画もちゃんとある、客足はどうなのかわからないけど)

タイ映画など、日本であまり知られていないマイナー(だけど良い)映画もちゃんと上映されている点が◎どうやっていい映画を集めてきてるのか単純に疑問。

②字幕放送など、バリアフリーな上映環境


耳が不自由な方への字幕上映を行っていた。
※目が不自由な場合はどうするんだろう?

私はドイツで字幕付き映画を見て、他の人と同じくらい楽しめて嬉しかった思い出がある。

シネクイントで映画を見ると、過去の私と同様、救われる思いをする日本語学習者は多いのではないだろうか。

欲を言えば「外国語としての日本語字幕」もあればいいなぁと思った。(おそらくこれで聴覚障害者もカバーできると思う)

③今後期待すること:映画配信


AmazonPrimeとかがカバーしきれないマイナー映画のストリーミング配信とかやらないのかなと思った。

「コアな映画を見るならシネクイントでしょ、あそこの映画館、いつもあたりだし」をオンラインでもやってほしい。大変バリューあると思う。

地方都市出身の私からすると、東京でしかやってない映画がたくさんある中、オンラインで観れる強みは絶大で、絶対ヒットすると思う。

▽UPLINKさんは既に配信サービス始めてた
http://www.uplink.co.jp/cloud/

※もし私がやるなら①日本映画にも字幕つけて、②外国映画多めに掲載したい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?