何もなくて、愛おしい日々
思えば、2020年が始まってから穏やかな日々を過ごしていなかった、気がする。
最初は自分のふがいなさや将来への漠然とした不安だとかそんなことだったけれど、だんだんそんなことも言えなくなってきた。
うっかり体調を崩してから1ヶ月以上、周りにうつしてしないかと不安でたまらない日々を過ごしていたけれども、どうやら違うみたい。
その間に、あっという間に世間は恐怖にさらされて、ひたひたと足音を立てながらすぐそこまで来ている。
怖い、のが正直なところ。
でも、ありがたいことにテレワークに切り替えて、家を整えながら、情報を拾って、正しく怖がっている。
そうしているうちに、仕事ではできないけれど「生産性が一切ない」生活って、とても愛おしいんだなって思い始めてきた。
本を買い込んで帰る。お気に入りの紅茶を入れる。旅に関する雑誌を見る。それから映画や色んなチームが出している映像なんかを順番に。
好きなものはいつだって優しい。
外出自粛なんて言われる日が来ると思っていなかった。休みの度にただただゆったり過ごすことを咎められている気がしていたのに。誰に、ではなく、何となくでしかないけれど。
楽しめるものが多いのは、いいことだ、と事あるたびに思う。
それから、ただの多趣味であることをちょっとだけありがたく思う。
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正直、怖い、なんて言いながらも次にどうしたらいいのだろう、私は何をするべきなんだろう、と割と落ち着いた日々を過ごしている。
今回、いや、今回も、いつだって旅しゃぶのありがたさに助けられている。
現実を見られるロマンチスト、誰かがそう言っていたけれど、うんうん、とうなづいた。
今は、好きな旅に出られる時間じゃないけれど、訪れる毎日を大切に過ごし続ける人たちだ。ひたむきに、それから丁寧に。
それぞれの特技や強みがきらきらしていて、とても眩しい。現実もしっかり見ていて、今やるべきこと、できることを見極めて、ここぞで一気に走れる。大人の本気、すごい。
でも、本当にみんな優しくてあたたかい。
誰もマウント取ったりしない。
出会わなければ、何もないことに尻込みして飛び込まなければ、今私はどうなっていたんだろう。
広い世界見ている人をを、選べなかった場所にいる人を、いいな、って思いながら、もう今更人生を楽しむなんて無理だよな、って狭くて暗い世界にいたんじゃないかな。
船長の言葉をお借りするなら、世界はとても美しい、思っているよりずっと。
本当にそう。
見える景色や、季節や、それだけじゃない。
私の世界は旅しゃぶのおかげでぐんと鮮やかに、それでいてずっと優しくなった。それかり毎日だって愛おしいものになっていく、作っていける。
それから、いつの間にか素でいられる場所になった。
あっという間にフラットになれる場所。
1年前、リュックを背負って、スニーカーでカメラを毎日持ち歩くなんて思っていなかった。
それから、まだまだやりたいことがある。やってみたいことも楽しそうだと思う事もたくさん。
今のうちに、生産性のない日々を楽しむのも良いなと思っているのです。
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