「ザ・争続」仁義なき戦い 遺産分割調停のリアル〈新たな代襲相続〉
今回の登場人物
被相続人 (S) N家の三男。独身貴族を謳歌し70歳過ぎて急死。遺言書を残さなかったために争続を引き起こす原因になった人物。
元相続人 (M) N家の長女。同居していた次女に看取られて昨年末に病死。
相続人 (Y) 元相続人(M)の長女。専業主婦で実妹Rと折り合いが悪い。
相続人 (R) 元相続人(M)の次女。50代半ばの独身で非正規職につく。メンタルに問題を抱え、争続に発展させた人物のひとり。
元相続人 (A) N家の跡取りで独身。急死で相続人から外れた筆者の従兄。
元相続人 (N) 元相続人 (A) の妹で筆者の従姉。叔母である相続人 (T)に相続分を譲渡した末に親族とは絶縁中の専業主婦。
元相続人 (H) N家の次男。姉である相続人(T)に有償で相続分を譲渡した。
相続人 (I) N家の末っ子。発達障害の疑いがある筆者の母で独り暮らし。
筆頭相続人が亡くなった
ちょうど1年前の話になります。信託銀行に委任した遺産整理の解約後、相続問題が暗礁に乗り上げて半年以上の長い空白期間があったのですが、昨年12月の半ばに筆頭相続人だった伯母、元相続人 (M)が亡くなったのです。
ここ数年で脳梗塞を患って車椅子の生活だったのですが、同居していた次女である私の従姉、相続人(R) によると、コロナに感染して亡くなった?とかで葬儀は内輪で済ませるから一周忌の法要をやりたいと。
この頃には従姉Rと私の関係は完全に決裂しており、連絡を受けた実家の母から聞いた話ですが、伯父 (被相続人S)の争続でメンタルを病んでいた従姉は電話口で泣きじゃくっており、死因がいまひとつ分からないとのこと。
一族の長女だった伯母は80歳を過ぎていた上に体が弱っており、いつ亡くなってもおかしくない状態だったのですが、死因がコロナだったか否かは今でも分かりません。
私は争続をきっかけに母方の親族とは絶縁したので今さら関心も無いのですが、今年になって遺産分割調停が始まってから、当事者となった従姉Rは母にも連絡してこなくなりました。
伯母の死亡で遺された2人の娘、相続人 (Y)と従姉Rが代襲相続人となり、先に亡くなった伯父の相続で争っているうちに、本家の従兄に続き従姉たちの親が他界し、当初の相続人だった親族が2名も減ったというわけです。
従姉Yと妹である従姉Rは、伯父の相続問題が片付かないうちに親の相続まで重なって本来なら調停どころではないと思うのですが、母方の親族と絶縁した私としては、もはや彼女たちは遠い存在になりました。
本家の血筋が絶える
余談になりますが、本家の跡取りだった私の従兄、元相続人(A)が急な病であっけなく亡くなってしまい、その従兄がこれまた独身で家族を持たなかったために、本家は後を継ぐ者がいなくなりました。
従兄の妹である元相続人(N)は、良家の一人息子と結婚した上に子どもが娘しかおらず、本家の次男である伯父の元相続人(H)に至っては、配偶者との間に子がいません。
三男である被相続人(S)もご存知のとおり独身のまま他界し、本家を継ぐべき男子には誰も子がおらず、数百年の歴史を持つN家・・・私の母の家は絶えることとなりました。
地方の地主であるN家は立派な蔵を持つ旧家でしたが、振り返ってみると10年以上前に火災で全焼したのが運の尽きだったように思います。
当時の主だった亡き伯父は、配偶者を病気で失ってから自身も病に倒れ、同居していた息子 (元相続人A) が独り者だったために、しばらく家は再建されず急場をしのぐための小屋に親子で住んでいたと聞いています。
7年ほど前にようやく旅館のごとき外観の豪邸を建てて新築を祝ったのも束の間、2年後に主の伯父が亡くなり、後を追うように跡取りだった従兄Aも一昨年に急死、無人となった屋敷だけが残りました。
広大な土地や家はひとり遺された従姉のNが処分している最中だと思われますが、子孫が裁判所沙汰になるほどの争続を引き起こすような血筋なので、絶えるのは必然と冷めた目で私は見ています。
愚かで弱い遺伝子は残らないのが自然の摂理ですから、配偶者のいる伯父Hが子どもに恵まれなかったり、最後の跡取りだった従兄が独身を通して子を残さずに逝ったのも運命なのだと。
母の親族でN家の姓を名乗るのは70代も半ばになる伯父Hだけとなり、後継ぎのいない伯父が亡くなればN家は完全に消滅することとなります。