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シャンパーニュと美術に共通する「アッサンブラージュ」

「アッサンブラージュ」とは、シャンパーニュの製造過程で異なる品種や畑、収穫年のワインをブレンドする工程を指します。しかし、この「アッサンブラージュ」は単なる混合ではなく、熟練の技によって構築される「作品」です。そして、美術の世界にも同名の「アッサンブラージュ」が存在し、シャンパーニュと美術の双方が持つ創造性と複雑さが興味深く重なります。

美術における「アッサンブラージュ」とは、異素材を組み合わせて立体的な作品を生み出す技法です。「パピエ・コレ」や「コラージュ」も異なる素材を組み合わせる技法ですが、「アッサンブラージュ」はより複雑で、立体感に富んだもの。これと同様に、シャンパーニュの「アッサンブラージュ」も、異なる畑や収穫年のブドウを巧みに組み合わせ、奥行きと深みを持ったひとつの作品へと昇華させます。

シャンパーニュが「液体」でありながら、私たちはそれを「奥行き」や「広がり」といった空間的な言葉で表現します。まるで立体的な美術作品を前にしたときのように、シャンパーニュも飲む人に豊かな感覚体験を提供します。ブレンドやミックスという言葉ではなく、「アッサンブラージュ(組み立て、継ぎ合わせ)」が用いられるのは、シャンパーニュがただの混合物ではなく、精緻に構築された作品であることを強調するためです。

たとえば、今夜の「ジモネ・ゴネ レトナン ブラン・ド・ノワール」。ピノ・ノワールとピノ・ムニエでブレンドされるこのシャンパーニュは、まさにその立体感と奥行きを際立たせる一本です。黒ぶどう同士の甘味と苦みと果実味が重層的に重なりあい、口のなかで広がるその感覚は、まるで精緻に組み立てられた美術作品を味わっているかのよう。

さらに、「ジモネ・ゴネ レクラ ロゼ」。このロゼ・シャンパーニュは、シャルドネ93%、ピノ・ノワール7%という絶妙なセパージュが印象的で、まさに「アッサンブラージュ」の妙が光るシャンパーニュです。果実味の鮮やかさと酸味の調和が見事で、口の中に立体感と彩りが広がり、その美味しさは目でも舌でも感じられるように、視覚と味覚の両方で楽しむことができます。

シャンパーニュと美術、そのどちらにも共通する「アッサンブラージュ」という言葉が示す立体的で奥深い感覚。飲むたびに、異なる要素が調和しひとつの作品となるその〝芸術性〟を感じることで、シャンパーニュをますます深く理解できそうです。


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