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〝傍流〟同士の意外な組み合わせ

鮨屋で「えんがわ」といえば、ヒラメもしくはカレイですが、ヒラメを好む人も少なくありません。〝白身の王様〟と呼ばれるヒラメの方が、稀少かつ高級な鮨ダネとして認知されているからです。

一方、フランスのブルゴーニュ地方 「コート・ドール」といえば、北のコート・ド・ニュイと南のコート・ド・ボーヌに二分されます。シャルドネを選択するなら、「コート・ド・ニュイ」よりも「コート・ド・ボーヌ」を選択される人も多いはず。なぜなら、コート・ド・ボーヌは、シャルドネのグランクリュ畑が集中する世界屈指の銘醸地だからです。

そんな〝傍流〟ともいえる「カレイのえんがわ」と「コート・ド・ニュイのシャルドネ」。意外にも、共通点があります。それは、〝熟成〟により旨味が進化するということ。とりわけ脂のりのよいカレイのえんがわは、数日寝かせることで脂の甘みが増幅され、まろやかな風味の鮨ダネに昇華します。一方、酸が豊富なコート・ド・ニュイのシャルドネは、経年変化で丸みをおび、その〝熟成酸〟が、赤シャリの江戸前鮨ととてもよく合うようになります。

とはいえ、すべての「カレイのえんがわ」や「コート・ド・ニュイのシャルドネ」が熟成によって美味になるわけではありません。当然ながら、食材の品質とつくり手の技量が求められます。わたしがこれらのオーダーに挑戦するのは、えんがわは〝昆布締め〟がメニューにある鮨屋、コート・ド・ニュイのシャルドネは「ジャイエ・ジル」のようにグランクリュの銘柄を手掛けている生産者に限ります。〝傍流〟同士の意外な組み合わせ、ご参考になれば幸いです。

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