ブリュットナチュールVSエクストラ・ブリュット
ブリュットナチュールとエクストラ・ブリュットの違いは、とくにワイン初心者にとっては少しわかりにくいかもしれません。その違いを深く理解するには、ジャン・ルイ・ヴェルニョンのシャンパーニュを比較しながら味わうことをオススメします。レコルタン・マニピュラン(自社畑でぶどうを栽培・収穫し、醸造、瓶詰めまで一貫して行う小規模生産者)であるこのメゾンは、ロゼを除くすべての銘柄において、ドサージュが5g/ℓ以下という、非常に稀有なスタイルを採用しています。
ドサージュは、シャンパーニュに少量の糖分を加え、味わいを調整する工程。糖分をいっさい加えない0g/ℓのシャンパーニュはブリュットナチュールと呼ばれます。
ジャン・ルイ・ヴェルニョンのシャンパーニュを通じて、ブリュットナチュールとエクストラ・ブリュットを飲み比べることで、その繊細な差異に気づくことができます。ブリュットナチュールは糖分を加えないため、果実のもつピュアな酸味とミネラル感がダイレクトに感じられます。ジャン・ルイ・ヴェルニョンのブリュットナチュールでは、レモングラスや青りんごを思わせるフレッシュな酸味に加え、石灰質のニュアンスがあり、非常にピュアで力強い味わいとなっています。
一方、エクストラ・ブリュットは0g~5g/ℓのわずかなドサージュが施されており、熟した果実感が引き立ち、酸味が優しく調和します。この微量のドサージュにより、シャープさにやわらかさと複雑さが加わることで余韻が長くなり、繊細な果実のアロマが広がります。ドサージュが5g/ℓ以下とは思えないほどの芳醇な香りと優しい甘味が特徴のジャン・ルイ・ヴェルニョンのエクストラ・ブリュット。この低ドサージュによって、ぶどうのもつ本来のピュアな果実の甘みがいっそう引き立ち、さわやかな余韻が続くのです。
ジャン・ルイ・ヴェルニョンを通して体験できるのは、単なるドサージュの違いだけでなく、テロワールやぶどうの特性が、どのようにドサージュによって強調されるか、または調和されるかという、シャンパーニュづくりの真骨頂です。ブリュットナチュールの自然なピュアさと、エクストラ・ブリュットのバランスの取れたエレガントさを比較することで、ドサージュのわずかな違いがシャンパーニュの味わいにどれほど影響を与えるかを深く学ぶことができます。
ジャン・ルイ・ヴェルニョンのシャンパーニュはいずれも、辛口でありながらも繊細で上質な果実味が広がります。その緻密なバランスと心地よい口当たりが、毎回新たな感動とともに、低ドサージュの奥深さと豊かさを発見することができるでしょう。
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