「お母さん、フツウって何?」 見えない障害と生きる
縁あって偶々この記事を目にされた方、是非この動画をご覧になって頂きたいです。
後半、ラッパーのGOMESS君が、心から強く訴えている言葉。
発達障害の方、そのご家族でしたら共感できる言葉だと思います。
GOMESS君にこの動画につきまして、
「私名古屋に住んでますから東海テレビで観ましたよ、全国放送にして欲しいですね。」
と、インスタライブで伝えましたら
「どこからどこまででした?僕の最後の言葉とか、あれ、一番伝えたかったから、入ってるといいなって。東海地区限定だから、僕、どこがカットされてるかとか、どんな風にテレビで流れてるのかわからないんですよね。」
と仰るので、
「途中からだけど、でも、GOMESS君の最後の強い言葉は全て観られましたよ。」
と言うと
「良かった〜!あれ、入ってないと意味ないから。」
と、ホッとしていました。
私がGOMESS君の事を知ったのは、息子がきっかけでした。
GOMESS君は息子と同じ年齢、現在25歳。GOMESS君は高校生の頃、高校生ラップ選手権で準優勝を勝ち取りました。その頃から息子はGOMESS君の大ファンです。
GOMESS君と息子にはある共通点があります。
それはASD(自閉症スペクトラム)である事です。
私はGOMESS君のツイキャスに度々訪るようになり、 GOMESS君と息子との共通点を知り、ああ、同じだ、と、重なる部分に共感しました。
GOMESS君もまた、しょっちゅうキャスに顔を出す謎の占いおばさんの名前を覚えてくれて、息子がGOMESS君のライブへ行くと、
「ああ、星マリアさんの息子さんですか(笑)」
と、気さくに笑顔で握手をしてくれるそう。
息子がASDだと気づいたのは結構早い時期でした。言葉を覚えるのが物凄く早く、記憶力が気持ち悪い程良いのですが(カメラのシャッターを押すように目にした物を記憶するようです。ですので読書のスピードも尋常ではない程早いのです。)身体の発達は遅く、自力で歩けるようになったのは2歳の頃。早い子は生後8ヶ月くらいから歩き始めますし、1歳半の娘はジャンプをしていました。発育が遅い事で保健師さんからとても心配されましたが、私は全く心配せず、息子の成長をゆっくり見守りました。何故なら息子は遅いなりにゆっくり成長していたからです。しかも言葉が出るのが早く、記憶力が良いので、そのうち身体もついてくるだろう、と思っていました。
1歳の頃、公園ですれ違う犬を散歩させていた女性方から
「可愛い坊やね、おめめがクリクリ。ほら、ワンワン、可愛いでしょ?」
と、話しかけられると
「違う。ワンワンじゃない。アメリカンコッカースパニエルだ。」
と言って、驚かせた事も。息子は動物図鑑を丸暗記していたのです。
息子は子供の頃、人と目を見て話す事ができませんでした。ASD特有のものだそうです。それもゆっくり、私の目を見て話せるよう、練習しました。
接触されるのを嫌がる息子を無理矢理抱きしめ、触れ合う事の心地良さを教えました。落ち着きがなく、興味のあるものはそれが命に関わる危険なものでも触らなければ気が済まない子でしたが、危険な物は全て息子から遠ざけ、何故危険なのか、どれ程危険なのか何度も繰り返し教えました。(例えば包丁や火など。食器洗い用洗剤を飲もうとした事もありました。私が料理をしているのを見て真似したくなったのでしょう。今は私より料理の腕前は良いです。)
「空は何故青いの?」「太陽は何故眩しいの?」「如何して眠くなるの?」「土はどうしてさらさらしてたりジメジメしてたりするの?」「どうして風邪を引くの?」「バイキンってどうして目に見えないの?」「如何して泣いたら涙が出るの?」「どうしてお花の色は色々違うの?」「動物はどうして言葉が喋れないの?」「海はどうして青いの?」「僕はどうして僕なの?」「お母さんはどうしてお母さんなの?」矢継早に質問攻めにあっても私は息子に一つ一つ丁寧に答えました。
部屋中、小麦粉だらけにした時は、折角だから、小麦粉を粘土にして遊ぼう、と、遊びに変えました。トイレットペーパー を流すのが面白くて詰まらせた事も何度もありました。「流れた💩はどこへ行くの?」と。
幼稚園くらいまでは「ヤンチャな子」と思われていた息子は、小学生になると「問題児」とされ、私は何度も学校に呼び出され、担任の先生から息子の問題点についてあれこれ困っている事を言われました。だからといって息子は記憶力が良いものですから学校の成績は問題なく寧ろ優秀、当時小児科の心療内科の専門医に診てもらうのは難しく、半年待ちだとか。
「・・・要するに、息子はクラスの問題児で、扱い辛いから、家でもしっかり指導してくださいという事ですよね? そうですね、確かに息子は先生の目から見れば「フツウ」じゃないかもしれません。 学校からすれば面倒な「問題児」なのでしょう。ですが「フツウ」って何でしょう? 皆と同じ事が「フツウ」なのでしょうか? 息子が「フツウ」じゃない、私の育て方が悪い、先生のお話を聞いていますと、「フツウ」じゃない子の親なのに何故心配せず悠長でいられるのかとでも言いたそうですが、私は「問題」ではなく「個性」だと思っているからです。例えば石器時代等と違って、息子にとってはとても生き辛い世の中だろうと思います。 ですがこの産業革命後に出来上がった生き辛い「フツウ」主義な世の中を傾けるくらい強く生き抜いて欲しいと願います。 私はASDではありませんが、先生が求められている「フツウ」の親ではありませんので、悪しからず。」
私は先生にそう言って、息子を連れて帰りました。
「お母さん、また、僕のせいで先生に叱られた?」
いつも申し訳なさそうに私を心配する息子。
「ううん、違うわ。ねえ、フツウって、何だと思う?常識って何だと思う?
フツウとか常識ってね、私の大嫌いな言葉なの。アインシュタインも言ってるわ、常識ってね、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいうってね。今の学校が嫌だったら行かなくていいわよ。ちゃんと認めてもらえる学校探すから。」
「僕は学校、楽しいけど、先生が困るみたいなんだ。協調性がないって。」
そう言って息子はしょんぼりしました。
「しょんぼりしないの。私も子供の頃から他人と足並み揃えるの苦手だったから、同じだわ。」
と、笑って息子を抱き寄せました。
「僕は誰だ 人間
でも僕はフツウじゃないらしい
だから何だ
障害者 健常者
違う 僕は 僕だ」
GOMESS君の動画の中の言葉です。
そう、息子は息子。
わからない人にわかってもらおうとは思いません。
私はただ、息子に寄り添い、息子を励まし、生き辛いこの世の中を生き抜いて行く術を教えました。
ベルギーのインターナショナルスクールは、息子にとって、何の偏見も持たれず、また、学校には様々な発達障害の子も多く、発達障害だからといって特に虐めの対象になる事もなく、周りの子達も先生達も其々の個性として認め、息子の良いところを伸ばしてくださいました。お陰で息子はとても有難いのびのびとした教育を受けられました。
冒険心の強い息子は高校生の頃、アフリカのタンザニアへ旅行に行きたい、生のサファリに触れ、キリマンジャロに登りたいと言い、学校の旅行でそのような体験学習旅行があったので行かせました。
タンザニア到着後すぐ、先生から連絡があり、息子がお財布、パスポート、身分証明書を紛失したので大使館にいる、との事。 大事な物を失くすのはいつもの事なので特に驚きもせず、大使館の方にお手数をおかけ致しますと伝え、息子は大使館のはからいで旅行を楽しむ事ができたました。ベルギーは16歳からアルコールが飲めるので、息子は初めて飲んだ、キリマンジャロビールが凄く美味しいとメールをしてきました。友達数人とビールを飲み酔っ払って写真を撮ったり、同級生美女と肩を抱き合った写真もありました。キリマンジャロの美しい風景をバックに笑顔の息子、サファリのキリンやゾウ、ライオン、大きくダイナミックにかかる虹などの写真と共に、とてもイキイキと楽しんでいる息子の姿がありました。2歳児まで歩けなかった子が、タンザニアのキリマンジャロを登りました。
息子はその抜群の記憶力の良さ、眩しい明るさ、笑顔、アルコールが底無しに強く、また、美形に生まれた為、ホストになりました。コミュニケーションの練習になるからと。カラコンに金髪、とても可愛く似合ってました。
「ホストクラブ、一度行ってみたかったのよ、楽しみだわ。母親割引ってあるかしら?」
と、私は反対しませんでした。
息子はASDと共に生きています。
ASDといっても様々で、程度も其々すが、
私の人生、息子の笑顔に何度も救われました。記憶力に救われた事も。
息子が私の息子で良かった、と、心から思います。
一見、フツウに見える息子は世間一般ではフツウではないようです。
だけどそのフツウではないところを認めて愛してくれる人もいます。
今はホストを辞め、結婚して幸せに暮らしています。
ASDは空気を読めないと言われますが、息子とはしっかり会話が成立しますし、私の気持ちを理解してくれます。私を心配してくれる、優しい子です。
そんな息子も、時折弱音を吐きたくなる事もあるようです。それはフツウの人間だって同じですよね。
味方がいるから前を向ける
ただ、そばにいてくれるだけでいい。
理解して欲しいとも思わない。
だけど
息子やGOMESS君のように、見えない障害を抱えながら頑張ってこの生き辛い世の中を生きている人が多くいる事を、知って欲しいと思いました。
発達障害の方、色々辛いと思います。
偏見の目で見られたり、どうして自分はフツウの事ができないんだろう、皆と同じ事ができないんだろう、と、悩み苦しむ事もあるでしょう。
あなたは、あなた。
そのままでいい。
そして、あなたは一人じゃない。
助けてくれる人が必ずいます。
迷惑をかけたっていいの。
人は迷惑をかけ合って生きているものなの。
「フツウ」といわれる人たちだって同じなの。
迷惑をかけ合って生きているの。
ご家族の方。お友達の方。近しい方。
見守って差し上げてください。
一緒になって心配したり深刻に悩んだりせず
「大丈夫」と、笑顔で抱きしめてあげてください。
何もしなくていいのです。
理解しなきゃと思わなくたっていいのです。
ただ、愛してる事を表現する為、寄り添って抱きしめてあげてください。
同じ人間として、そばにいてあげるだけでいいのです。
それが支えとなり、救いとなるのです。
息子もこの記事を読んだそうで、
「障害について、母さんらしく伝えてくれてありがとう。」
と言って貰えました✨
追記:東海テレビで流れていたGOMESS君の言葉が曲になりました。此方の方が⬇️とても力強くGOMESS君らしさが出てるねと、息子と話しています。