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9月 留学報告書

 カナダの学校の時間割は、日本とは全く違います。1日に4教科の授業があって、毎日同じ時間割です。1つの授業は80分ずつで、11時40分からお昼なので、日本にいたときよりも1時間早くて本当に助かっています。私が受けている授業は、ELL、Earth Science、Pre-Calculus、Yogaです。どれも内容はすごく簡単です。強いて言えばEarth Scienceでわからない単語がある時がありますが、RycaとSavannaという友達がいつも助けてくれます。学校で困っても必ず誰かが助けてくれるので心配ごとはありません。時々困るのは、私の英語にあまりにも訛りがないので、カナダ人の人がものすごいスピードで話しかけてくることです。英語が得意じゃないと伝えても、その時は分かってもらえてもすぐ忘れられてしまうことがよくあります。
 アイスホッケーの環境は日本とは比べ物にならないくらい充実しています。スケートリンクがたくさんあって、ホッケー人口もものすごい大きさです。どのくらい違うかと言うと、同じスケートリンクを使っているホッケー選手を把握しきれないということが、わかりやすい例です。岡山では、岡山でホッケーをやっていればそれは全員知り合いです。ここでは庭にホッケーのゴールを見掛けてもそれが知り合いの家ではないことがあるということが大きな違いです。
 私はふたつのチームに所属していて、ひとつは女の子だけのチームで、もうひとつは学校の男女混合のホッケー部です。女子チームでは私がいちばん上手いので、練習が物足りないこともありますが、試合で点を決められるので楽しいです。学校のホッケーの練習は朝早く授業の前にあるので、早起きを頑張っています。女子は私1人なので、大きな更衣室を広々と使っています。
 ホストファミリーは超当たりだと思います。ご飯が美味しくて、家が快適で、犬が可愛いくて、家族がみんないい人たちです。いちばん年下のElenaは13歳で、センスが良くて気が強いのでとても頼りになります。真ん中のKyleは16歳で、優しくて面白いので友達がたくさんいます。お母さんのSheriは優しくて上品で本当に安心させてくれます。最近は私の真似をして、食べる前に「いただきます」と言うようになりました。お父さんのJaretは優しさの塊で、今まで見たことがあるお父さんの中でいちばん有能です。料理が上手くて掃除と洗濯もして、子どもの送迎を嫌がりません。いちばん年上のNathanは同い年で、9月から大学生になりバンクーバーに住んでいます。初めて会った時はひとことも話してくれず、落ち込んでいましたが、今日久しぶりに帰省してきたら話してくれたので嬉しかったです。カナダで会った人間の中でいちばんシャイです。Daisyは真っ白な女の子で、Sheriのことが大好きです。私のことも気に入ってくれています。よく私の部屋のカーペットで寝ているのでそれを見ると嬉しくなります。
 ホームシックにはなる気配がありません。カナダに出発する前にたくさんの人が私のところに来たり、連絡をくれたりして、私は本当に愛されていると確信できたおかげだと思います。きっと日本にいる私の知り合いたちは私がいなくて寂しいと思いますが、私はちっとも思っていないので、元気を出してほしいです。日本でも恵まれすぎていましたが、カナダでもかなり恵まれています。
 そして何より、カナダとカナダ人の生き方や考え方がすごく気に入っています。働く時間が短く、時間にとらわれすぎず、全体的に大らかです。土地が広く、自然がとても豊かです。到着してすぐに思ったのは、戦争になったら日本は勝てるわけがないなということです。余裕があるのでストレスも少なく、自分に自信を持っている人がほとんどです。学校の先生も、日本よりもずっと明るい人が多いです。カナダの先生たちの好きなところは、自分の意見や考え方をしっかり自分の言葉で生徒に伝えるところです。日本では「立場上の関係で」「常識的に」「俺はいいんだけど学校全体の評判が」というような言葉を使う先生がほとんどなので、矛盾のオンパレードでした。しかし、” I don’t like that” “That’s not what I want you to do”など、先生自身の考えを言ってくれるので、矛盾が少ないです。新学期の最初の全校集会で校長が生徒に話したのは、”In school building, no alcohol, no drugs, no smoking, no vaping. Just come to school everyday. Respect others. Say sorry and thank you” だけでした。髪の毛や顔、体型や服装が色とりどりで、見ていて楽しいです。後楽館の頭髪検査が本当に恥ずかしいです。私のことをいつも助けてくれるSavannaは鼻ピアスにゴツゴツの指輪をしていて、第一印象は少し怖かったですが、誰よりも優しくて世話を焼いてくれます。私はいつも髪の毛や肌が本当に健康的で美しいと褒められます。そんなこと日本にいるときから分かっていましたが、改めて色々な人がいる中で言われると、自分がありのままで特別だと感じられるので嬉しさが倍増します。先生にはっきりものをいう生徒がほとんどで、対等な関係にあるのがわかります。お互いを1人の人間として尊重しようと努めているので、過ごしやすい学校だと思います。授業中寝ている生徒がほとんどいません。先生がみんな話すのが上手いし、宿題もほとんどないので、とにかくみんなその授時間に集中しています。遅刻という概念がないのか、遅れても何も言われません。それぞれに事情があるのを気にすると疲れるからでしょう。遅刻したからって先生のことを尊敬していないという意味にも、だらしないという意味にもなりません。集中していると書きましたが、授業中に食べ物を食べても怒られません。お腹が空いているから食べ物を摂取して悪いわけがないと、よくよく考えたらその通りだと思います。なんなら先生も授業中何か食べています。学校の建物の中の違いは、いたるところにレインボーのステッカーが貼ってあることです。生徒の中にはLGBTQのひとがたくさんいます。見てわかる人もいれば、自分から女に見えるだろうけどhis/ himを使ってくれと、先生に申し出ている人もいます。驚いたのは、カナダに来てから、まだ一度もSDGsという言葉を耳にしていないことです。学校でも街でも、まったく見かけません。それでもみんなの意識が低いわけではないし、何も問題ありません。日本から今SDGsを消したら、困る大人がいっぱいいることを考えると少し皮肉で面白いと思ってしまいます。
 たくさんのカルチャーショックがありますが、今のところ楽しめています!

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