モスクワの美しい鉄道の駅 キエフ駅
キエフ駅は、ここ数回、地下鉄駅の撮影のため、近くまで何度も参りましたが、鉄道のキエフ駅には、今回初めて駅舎の中に入りました。
ちなみに、今回、キエフ駅の周辺を歩いていて、駅に最も近い地下鉄の出口が、建築家ヘクター ギマールによって設計されたパリの最初の地下鉄のスタイルで設計されたものであることがわかりました。そう言えばパリのどこかで見たことのあるような駅の出口です。後で調べてわかったのですが、こちらは2006年にモスクワとパリの友好を記念してフランス地下鉄から
贈られたものだそうです。
キエフ駅は、1812年の祖国戦争のボロジノの戦いの100周年の記念碑として建設されました。キエフ駅の建物は、エンジニア レルベルク I.I. の設計に従って1914年に建設が始まり、1917年に竣工しました。駅の建設は数年かかり、革命後の1920年に完成しました。
駅の建物は、新古典主義様式で、建築家達がアールヌーボー様式をより積極的に使用し、20世紀初頭の当時としては珍しいものでした。建築設計は、有名な建築家 I. レルベルグと V. オルタルジェフスキーに委託されました。レルベルクとオルタルジェフスキーは、建物の構造において、19世紀の美への欲求と、新世紀のモチーフのリノベーションを組み合わせることが出来ました。駅のファサードは彫刻、レリーフ、柱、鍛造品などで装飾されています。
キエフ駅はモスクワの重要な交通拠点です。地域間列車および国際列車に加えて、キエフスキーからカルーガ、ナロ・フォミンスク、マロヤロスラヴェツ、オブニンスク、クレスティなどへ向かう通勤列車も運行しています。また、駅からアエロエクスプレスが運行しており、乗客はヴヌーコヴォ空港まで25分で行くことが出来ます。
駅舎にはいるとその空間に圧倒されます。待合室のインテリアは、豪華です。色使いもとても綺麗です。巨大なシャンデリアが広い空間を照らしています。駅だけに、それぞれの待合室に掛かっている時計も美しく洗練されています。
かつては富裕層向けに高価な料理を提供するレストランがあった美しいホールを見ることが出来ました。ステンドグラスでしょうか、豪華です。照明も趣があります。
駅舎の建物の最大の特徴は高さ51メートルの塔です。塔の上には4つの文字盤を持つ機械式時計が設置されています。ガイドさんの説明では、この時計は100年前のスイスの機械式時計で、今でも現役で稼働しているとのことです。また、時計塔の上から、町を眺めることが出来ます。駅舎、駅前の広
場、モスクワ川、ウクライナホテル、モスクワシティが見渡せます。
駅のプラットフォームは、後に有名なテレビ塔を作成したエンジニア V. シューホフによって設計されました。シューホフはプラットホームの上に、総重量1250トンの壮大な屋根アーチを建設しました。そのためV.G.シューホフのプラットホームは工学界の傑作と言われています。
撮影中に駅のプラットホームからゆっくりと列車が出て行きました。
駅舎から一旦外に出て、別の入り口から、キエフ駅の郊外電車ホールに入りました。
この入り口は、以前、撮影したキエフ駅の地下鉄の入り口と同じ建物にあります。
ホールは、建築家ドミトリー・チェチュリンの設計に従って1940年に建設されました。外国旅行から帰国したばかりのチェチュリンは、ヴェネツィアの宮殿のような特徴を持たせてホールをデザインしました。ホールの美しい装飾を見た時になんとなく、イタリアのヴェネツイアを思い起こさせるようなものがあるのは、偶然ではないようです。天井のシャンデリアの美しさに心が惹かれます。
鉄道の駅は、独特の雰囲気があります。
駅に行くとき、人々は、駅から乗る列車のことに気が向いてしまい、どうしても、そちらに関心が向かってしまいます。しかし、そんなときでも、モスクワの駅の美しい佇まいは、旅人たちの心を癒してくれるような気がしま
す。もしかしたら、旅をするときには、そんな心の余裕が必要なのかもしれません。
このようなモスクワの美しい鉄道の駅を紹介するツアーは、数年前に始まったそうです。今回キエフ駅を案内してくれたガイドさんが、そう話していました。鉄道会社の人達が、このように綺麗な駅について、もっと人々に知ってもらいたいという気持ちは理解できます。
ここまで読み進んで頂き、誠にありがとうございます。
私なりの目線で捉えた動画です。ぜひ動画をお楽しみください。
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