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そういえば昨日、君の夢を見ました

そういえば昨日、君の夢を見ました。
道行く自転車乗りの目が君に似ていたので、ふとそのことを思い出しました。
君といずれ再会してまた人生を歩んでいくことを想像していた数年後の未来が、今こうしてやってきていることに思いを馳せて、ただ夢と現実の境に目を覚ましました。
君の夢を見ることはほとんどありません。もう以前のように毎日君を思い出したりもしません。夢の中で君は、新しい恋人を見つけ、その人と幸せに暮らしていたが、今は別れてしまった。私とまた会えてうれしいと言いました。
今、私は君との未来を想像できるでしょうか。
数年前までは、君を思い出すことに疲れながらも、君以外の相手など必要ないと思い続けていました。けれど最近はどうでしょう。私は以前より大人になり、現実を受け入れ、君との運命や思いはただ一過性にのものにすぎないことだと、今は思っています。
新しい出会いや、新しい恋人を受け入れ、過去を許し合い、共に未来を見ることも、今は難しいことではありません。

それでも時折、昨日のように君を夢に見て、昔のことを思い出すことがあります。
それは君の夢を見たときや、一緒に聞いていた音楽を耳にしたとき、映画をみたとき、君によく似た仕草や言葉を見た時です。
君は確かに、私の色であり希望であり、そして世界を反映する偶像だったのです。私は少なからず君を美化しているでしょう。忘れられない思い出ばかりとはいえ、反芻しているだけで確かでない記憶もあるでしょう。

運命だったというわけにはいかないけれど、君を忘れることは生涯ありません。
たったひと夏を共に過ごしただけの君を、生涯忘れないという私を、どうか笑ってください。

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