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【いい占いって何だろう?】

ここのところ‘いい占い’について考えている。

考えるきっかけとなったのは電話占いの研修だ。
新米タロティストの私は、なるべく沢山のお悩みに出会って経験を積みたいと考え電話占い師のオーディションを受けたのだ。

審査に合格すると担当の方が付いてくれ、デビューに向けて研修が始まった。
実に丁寧に優しく教えてくれるのだが、ここのところ、おやおや?と思う。
研修という名の模擬鑑定を重ねるうちに‘占い’はどんどんマニュアル化されてゆく。
もちろん会社の意向に沿うというのは電話やチャット占いの世界では必要なことと認識していたので、エンタメ的な要素は覚悟していた。
だがここまであげ鑑定をするなら、もはや占術は必要ないのでは?とさえ思ってしまう。
最終的には「お客さまが安心出来るよう、おまじないや波動調整を取り入れてみましょうか?」とのご提案。
おまじない…そんなもの知らないぞ、私は。
そもそもまじないや波動の調整で悩みの解決が出来るような能力を持っていたらタロティストなんてやってない。

とここで、ある映画が頭をよぎる。
『片桐はいり4倍速』の中に収められている「スピリチュアル マイライフ」
片桐さん扮する主人公が自身の説得力抜群の顔を生かすべく、スピリチュアル用語を並べ、占い師になってがっぽり儲ける、がしかし…というやつ。
作中の片桐さんは、あぁこの人にならインチキでも占ってもらいたいかも。と思わせるほど強烈なカリスマ性を放っている。
(個人的には大好きな映画なので気になった方は是非ご覧頂きたい。片桐はいりさんの魅力が凝縮されている。)

この映画を観たとき、話が上手くてこのくらい雰囲気があればデタラメでも占い師って出来ちゃうのかもな、と思ったのを思い出す。

ふむ。このまま流されていってはいけない。
なんせモヤモヤする。
私はどんな占いがしたいのか?
そもそも‘いい占い’ってどんなものだろう。
エンタメ的な要素を取り入れながらも、本質をつくような質の高い占いをしている鑑定士さんも沢山いるだろう。
どんな内容であれ相談者様が満足出来れば、それはいい占いかもしれないし、‘いい’にも色々ある。

今回は‘いい’を‘善い’として【5 法皇】のカードを眺めてみることにした。

神の教えに従い、人々を正しい道へと導いている。このカードを眺めて1番に思い浮かぶのは「あなたは何を信じますか?」ということだ。
自分の中に揺るぎない信じるものを持っていることが前提である。

そもそも‘善い’とはどういう意味か?
気になり辞書を引く。[質が高い・上等である・良好である・健全である]
なるほど。
[健全である]これが今の私にはしっくりくる。タロティストとしてまだまだ経験不足、勉強することも山程あるが、人の悩みと向き合う時には健全でありたい。
タロティストはカードの意味を正しく伝えるのが仕事である。そこに自分なりの意味を見い出し、答えに辿り着くのは相談者本人にしか出来ないことだと思っている。

法皇のカードにふられている【5】の数字には、ものごとが新しく再出発するという意味もあるようだ。現実世界から精神世界へ。
偶然出たカードからその人を内面世界の旅へと導くのが‘善い占い’ではないかと思う。

うん、私の心は決まった。
担当の方には大変申し訳ないが、やっぱり電話占い師は辞退しよう。

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