パリに着いた日のこと④

大家の家に着いた。私を座らせてパソコンで契約書を作成しているがこれも何故今日までに済ませられなかったのか謎だ。そしてこれを持って弁護士のところに行くという。私と大家の間で問題が起きた際公平な立場で仲裁に入ってもらう為だそうだ。その弁護士はというとフランス人で、果たして私にとってメリットがあるのかどうか謎だったが大家は「あら話してなかった?皆こうするのよ」というスタンスだったので従った。弁護士に50€払うようにも言われた。出会って早々、こいつはとんでもない詐欺師なのではという嫌な予感がよぎったが考えないことにした。

不信感しかない心と共に弁護士の家兼事務所へ向かった。向かっている間既に「あ、弁護士に渡す用のコピーを忘れた」といってコピー屋を探したり、メトロに乗るも反対方向に向かったりで存分にタイムロスをした。この大家、スマホを持っていないのである。コピー屋一つ探すにも行き当たりばったりの運試しなのだ。私も人外なレベルで方向音痴なのであまり強くは言えないがこういうサポートを職業としているのだからもうちょっとどうにか頑張って欲しい。

やっと弁護士の家に付いた。そこは俗に言う金持ちの部屋で弁護士は大家よりは仕事もテキパキこなしそうな美女で早くも日本語を喋る大家より信頼が勝った。軽く賃貸契約書を読み「一年契約と書いてあるのに9月1日から7月31日までになっていておかしい」とすぐ間違いを見つけ指摘した。信頼度がまた上がり大家への信頼度は絶好調にダダ下りである。

さて、予定の「銀行・保険・携帯」のうちの携帯をやっと契約しに行くこととなった。orangeだったかSFRだったか忘れたが、フランスの大手携帯会社の店舗へ入った。本契約するにはフランスの銀行口座が必要なのだがさっき事務所でメールチェックをした際口座開設の予約が取れていなかったらしいのでとりあえず大家は私にプリペイド携帯を買わせたいようである。そこで初めて今日銀行の解説は不可能だとさらりと知らされたのだ。当時私の持っていたiphoneはまだシムロック解除が出来ないもので、とりあえずは90年代終わり頃に出回っていたであろう畳めないガラケー(名称不明)を買いましょうと勧められたが「もう売ってない」と言われた。正に大家がその畳めないガラケーを使っていたので「ヘェ~フランスの人はきっとデジタルに頼らず自分の脳みそをフルに使って生きてるんだなァ」なんて想像していたがそんなの大家だけだったようである。しかも彼女の脳みそは今のところあまりフル回転している様子はない。

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