もう学生じゃない① -仕事を始める準備-
ある6月の終わり、約7年親しんで来た先生の最後のレッスンを終えると共に私の学生生活にも終止符が打たれた。小学生から数えるとするならば約20年学生をやっていたことになる。周りには30歳を過ぎても学生として日々学び続けている人もいるし、私もまた何らかのきっかけで学生に戻ることになるかもしれないがひとまずここで終わりとする。
さて、夏のバカンスはほとんど日本で過ごした。二年ぶりの日本である。留学当初宣言した「留学終えるまで(2年の予定だった)帰りません」は達成したわけだが羽田空港に着いても特別な感動はなかった。ただ湿度はフランスに比べると異常なので(モイスチャーだわぁ)と肌の潤いを感じたような気はした。
夏のバカンスは別の記事で話すとして、いよいよ9月、学生じゃない生活がスタートした。
とりあえずニートにはなりたくない。留学当初から通っているシッターはかなり割がいいが帰宅が夜中1時過ぎとなるのでなるべく増やしたくはない。私はまず夏前からあたためていた「パリ出張ピアノレッスン」計画を始動した。
四苦八苦しながら作成したホームページをついに公開。それをパリ在住の日本人コミュニティサイトの掲示板に貼る。すると2日で3人体験レッスンの申し込みがあった。初心者二人と既に習い始めて4年の子一人だ。
「初心者」。
つまりまっさらな状態から始めるわけでつまりは私が教材から何から全部用意するってわけだ。日本を発つ時鬼のように忙しい中、投げやりで詰め込んだ教材たちは船便でゆっくり二ヶ月後に届く。私は馬鹿か。なぜスーツケースにねじ伏せてこなかったのか。せめてスキャンしてパソコンに入れておけばよかったものを…
というわけで早速パリの大きな楽譜の図書館と楽譜店を物色。感想は「なんかびみょ〜」。というか本当の初歩の初歩となると逆に日本の音楽辞典の後ろの方に載っているような「全音符・2分音符・4分音符etc...」みたいな表しかない。こんなのどこの4歳児が見るというのだ。
というわけで母上にヘルプを出し、9割型絵で埋まっているような可愛らしい教材とりあえず一冊分を全てスキャンして送って貰った。母は偉大とはこのことである(違う)。その他にも「紙社会フランス」で出た大量の紙ゴミも裏が無地のものは取っておいていたのでそれらを使って大量のリズムカードとドレミカードも作った。行き場のない紙ゴミをとてつもなく有効活用出来気分も最高である。
そんなわけで緊張もある中、体験レッスンへと向かうのであった…