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⑦世界最大の家電ショー

(写真は「スカイプとネットギアが開発した無線LAN使用の新型携帯電話」 この記事は2005年1月16日に書かれたものです)

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。新年早々、私はラスベガスに行ってきました。といってもギャンブルをしに、ではありませんよ。出張で行ったのです。

毎年この時期、ラスベガスでは世界最大の国際家電見本市(家電ショー)が開かれます。(お陰で私の年末年始はこの準備に追われてしまいました。)世界およそ110カ国から2500社を超える企業が最新の技術や製品を出展します。一般公開は(たぶん)されていませんが、家電メーカーをはじめ、バイヤーなどの小売・流通業者、そして私たちのようなメディア関係、金融関係(アナリストや投資ファンドの担当者)などなど13万人を超える人たちが砂漠の小さい街に集結します。いつもはギャンブルでにぎわう街が家電関係者で溢れかえります。開催場所はラスベガスのホテル群のすぐそばのコンベンションセンターを中心にあらゆるホテルや周辺のホテルに分散していて、とにかく動き回るのが大変!イメージとしては幕張メッセのような展示会場があちらこちらに散らばっている、そんな感じです。日本の見本市では最大級のモーターショーを何回か取材したことがありますが、それよりずーっと広くて分りにくい、つまり取材がきわめてしづらいわけです。(ほとんど愚痴になっていますね。)

実際の家電ショーはどうかといいますと、これはとっても面白いものです。各社が競って最新技術を展示し、面白い商品もたくさんあったほか、各社のプレゼンテーションはハリウッドの俳優(トム・ハンクスやロビンウィリアムスなどなど)が次々と登場し、メディアの私たちにとっては撮影しなくてはならないものが盛りだくさんでした。

家電ショー開幕の前日、1月3日は各企業のメディア向け会見が数多く開かれました。今年はそこでまず朝一番に東芝が次世代DVDをなんと499ドルという価格で3月から発売すると発表。事前の予想が1500ドル、2000ドルと言われていただけに発表の瞬間にはどよめきが起こったほどです。東芝のあとに発表したのはパイオニア。パイオニアは事前の予想通りの1800ドルという価格設定で次世代DVDプレーヤーを5月から発売すると発表しました。東芝があまりにも安価だったのでパイオニアのインパクトは薄れてしまったようです。

DVDと並んで家電ショーの目玉といえば薄型テレビです。パナソニック(松下電器産業)が去年サムソン電子の発表したPDPよりも1インチだけ大きい103インチのPDPをこの日発表。PDP世界最大の座を奪取しました。PDPでは「何が何でも世界1をキープしてみせる!」というパナソニックの意地のようなものが感じられました。そのほかの分野で今年目立ったのが「ホームデジタル」。リビングルームのデジタル家電化ですね。ワイヤレス、ネットワークを実現するためにデジタル機器を一括して集中管理する「ホームサーバー」に注目が集まっていました。家電メーカーよりもIT関連企業の台頭が目覚しかったのが今年の特徴です。その代表がマイクロソフトやインテル。家電ショーなのにパソコンショーさながらの雰囲気でした。というのも基調講演にはマイクロソフトは例年通りですがインテルのCEOやグーグル、ヤフー、デルなどIT関連企業のトップばかりが壇上に立ちました。家電もハードだけでなくソフトの時代の訪れを象徴していたといえそうです。収益面でも株価的にも好調な彼らIT関連企業がこれからの家電業界を大きく引っ張っていく、そんなことを感じざるを得ませんでした。

2006年はハードとソフトの融合がますます進む年になりそうです。実際、パナソニックはコムキャストというケーブルテレビサービス大手との提携をここで発表しました。ハードを売っていくにはソフトの充実が欠かせない、ということでしょう。そうした提携合戦は今年、さらに多くなりそうな予感です。

それにしても家電ショーの会場はとにかく広すぎて広すぎて大変でした。スーツにスニーカー姿で走り回って撮影してインタビューをして、原稿を書いてリポートして・・・。とにかく大変な4日間でした。ただ、念願のマイクロソフトのビル・ゲイツ氏に単独インタビューができたのは貴重な体験でした。早朝のインタビューだったためゲイツ氏がとっても眠そうでした。朝は苦手なのかしら・・? そんな彼が新型ゲーム機「XBOX360」のコントローラーを握った瞬間、子供のような笑顔になったのは印象的でした。ゲーム、パソコンが本当に好きなんですね。

今回の家電ショーで私が最も気になった商品は無線LANを使った電話です。「スカイプ」という会社が「ネットギア」という携帯電話メーカーと組んで開発したシステムですが、これは世界の電話業界の常識を変えてしまうかもしれません。この携帯電話をお互いが持っていて、お互い無線LANがつながれば世界どこにいても通話料は無料。インターネットのチャットやIM(インスタントメッセージ)がそのまま電話になったようなものです。ニーズは必ずあると思うのでどのように普及していくか・・・これからがとっても楽しみな商品です。今後も取材を続けていきたいと思います。

この家電ショーの取材を1月7日に終え、次に向かったのは極寒のデトロイト。そこに待っていたのは・・・。北米自動車ショー。それについては次回報告いたします。これもまた過酷な取材の日々・・・。でも面白かった・・・。次回をお楽しみに。

2005年1月16日 https://plaza.rakuten.co.jp/ismaririn/diary/200601050000/

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