③今年のボーナスは?
(この記事は2005年11月15日に書かれたものです)
11月に入り今年も残すところあと1ヶ月あまりとなってきました。ついこの間、2005年が始まったように思うのですが、時が流れるのは早いものですね。
今年は日経平均株価が1万4000円台を回復、アメリカも右肩上がりの1年とはなっていませんが、高値圏でのもみあいとなっています。景気はアメリカが絶好調、日本も着実に上向きとなっているようですね。
アメリカではこのほどボーナス調査が明らかになり話題となっています。特に金融街のボーナス。ウォール街の今年のボーナスの増加率はなんと平均で20%近くになるだろうというのです。中でも企業の合併や株式上場を手がけた投資銀行業務担当者のボーナスは平均で20%から25%のアップだとのことです。
そういえば今年、アメリカでは大型のM&Aが相次ぎました。例えばP&G (プロクター&ギャンブル)がジレットを570億ドル(6兆7000億円)で買収。バンク・オブ・アメリカによるクレジットカード発行大手のMBNAの買収ではその買収額は350億ドル(4兆1000億円)となり、M&A金額が大型化していることも今年の投資銀行の収益拡大の大きな要因です。
確かにわたしがニューヨークに赴任してきて最初に強く思ったのは「とにかく合併が多い!」ということでした。ちょっとした規模(とはいっても1億ドル=100億円規模)のものであれば毎日のようにあるくらいでした。特にこちらでは月曜日にM&Aが明らかになったり、発表することが多いので「マージャーマンデー(合併月曜日)」といわれています。そういわれてみたらアメリカの月曜日、日本では火曜日の朝の番組「モーニングサテライト」で合併のニュースを見かけることが多いと思いませんか?
投資銀行業務のマネージングディレクター(日本では部長クラスでしょうか)たちのボーナスは220万ドル~330万ドル、これを日本円にすると・・・2億6000万円~3億9000万円くらいになるだろとのことです。さらにその上、グローバル部門のヘッドともなれば700万ドル~1000万ドルで日本円では8億2000万円~11億8000万円です。まあすごいレベルなわけです。このボーナスを払えるほど投資銀行は稼いでいて、M&Aが生み出す利益は巨額だといえるわけです。
ただ給与形態は日本とは違っていて、毎年給料のベースアップなどはなくトップクラスのトレーダーや投資銀行業務の担当者の通常の1年の給料は10万ドル~25万ドル(1200万円~3000万円)だといわれています。年俸制や能力給も多いので給料の変動は激しく、今年これだけもらったからといって来年の職が保障されるものでもありません。つまりリスクは高い、ということですね。ハイリスク・ハイリターンというわけです。(いかにもアメリカらしい・・・)
ウォール街の好景気を受けて金融関係者がよく通うニューヨークのレストランでは高級ワインを注文する客が増えているとか、白トリュフの高額ディナーコースが人気になっているとか、これまでにないくらいの賑わいをみせているようです。超高級フレンチレストランは予約が3ヶ月先まで埋まっていると聞きます。
たくさんの報酬をもらったら即使う、これがアメリカ式です。貯金ではなくレストランや物品、さらには次への投資にと資金が回っていく。それによってまたさらに景気は循環し資金が流れていく。好景気を維持していくシステムが今のところはうまく回っているようです。その循環がいつまで持つのかそれは来年以降の大きな課題となりそうです。
それにしてもボーナスで2億円、3億円も貰えるのであれば次の年、いやしばらく仕事が無くてもよいような気がしてしまいますが・・・。それより1度貰ってみたいものですね。
2005年11月15日 https://plaza.rakuten.co.jp/ismaririn/diary/200510260000/