⑩日本が変わるヒント

(この記事は2006年4月4日に書かれたものです)

3月の最新の調査によるとブッシュ政権の支持率がまたまた低下しています。調査会社ギャラップでは38%、CNNが36%、CBSテレビは34%といずれも過去最低、あるいは最低に並ぶような水準となっています。イラク戦争への正当性が揺らいでいることやアメリカの港湾施設買収問題での対応など国民の不満は高まっているようです。(今頃イラク攻撃への正当性に気づくのも遅い気がしますが・・)

 その一方で株式相場は上昇基調です。NYダウなんてネットバブルにわいた史上最高値にだいぶ近づいてきています。通常、株価と政権の支持率は連動するといわれていますが、最近は様子が違うようです。景気の安定的拡大は政権には関係の無いこと?そうでもないのでしょうが、とりあえず株式市場と政権支持はまた別、というものらしいですね。その辺がアメリカっぽいといえば、そうなのかもしれません。アメリカ人は自分たち個人にとても自信があるように見受けられます。政府がどうしようと、景気は自分たちが良い方向に持っていっているんだ、みたいな。国民性かもしれませんね。(ただ、株価が下落方向に向かったときは政権のせいにするのかもしれませんが・・・)

 アメリカ株は史上最高値近辺、そして日本株はというと・・・。確かにかなりの出直り基調ではありますが日経平均2万円台をつけていた2000年の高値にはまだ開きがありますよね。相対的にみるとどちらのほうが今後、上昇余地があるのか・・・。景気の回復余地の大きいほう・・、そうなれば日本株のほうに軍配があがりそうです。実際、アメリカの投資家の日本市場への関心は高まっていて、日本から出張でNYを訪れるアナリストの方が最近増えています。いずれもアメリカの機関投資家に向けて日本株市場の説明をしにきているのです。日本からきたあるアナリストは「アメリカの投資家の日本株への質問内容がどんどん高度化している、つまり日本に対してかなり勉強している。それだけ関心の高さを物語っている」と話していました。

 ただ、機関投資家というのはその投資先を株式だけではなく債券や為替、原油や穀物、など多岐にわたって金融商品をグローバルに展開しています。日本株、というのはそうした彼らのポートフォリオの一部の中の一部でしかないのです。(それでも外国人投資家動向で一喜一憂してしまうのが日本の株式市場の現実ですが・・)常に日本はもっと冷静に自分の国を信じて、海外投資家に頼らない自国内で完結できる市場をもっと構築する必要がありそうです。それは産業構造にもいえることかもしれません。資源の無い国だからしょうがない、というのではなく代替資源を考案すればよいのであって、日本にはそうした能力が十分あるのだと思います。

 日本を出て海外から日本をみるようになって思うのは、日本には日本なりの良さがあるのにそれが十分発揮できていない、ということ。携帯電話やデジタル家電にしてもその技術力たるや、どこの国もどこの企業も真似できないくらいの高い水準を持っているのに

 株式取引のシステムはどうしちゃったの? こちらのアメリカ人にも言われました。「日本には松下やソニーがあるのに、どうして東証は株式取引の拡大に対応できないんだい?」。返す言葉がありませんでした。ゲームやアニメの技術でも世界中から尊敬される技術をたくさん持っているのに・・・。自分の国に自信が持てるようにするにはまず、本当の意味での資本市場の確立と成熟化が必要です。成熟するためにも「いつでも買いたいときに買えて、売りたいときに売れる株式市場への整備」をまず目指してほしいものです。資本主義の根幹ですからね、株式市場は。

 これからもしばらくはここアメリカから色々な日本を見ていきたいと思います。今よりももっと成長した日本になってくれることを願いながら・・・。それは結局、個人にかかっているんですよね。一人一人がちょっとずつ意識をして行動すれば日本はもっと住みやすい国に変わるはず・・・。ジャーナリストというのはそんな一人一人のためにちょっとした何かしらのヒントが提供できれば良いのかもしれません。実は、諸事情により大変残念ではありますが、このコラムは今回で終わりということになりました。これまでいつも読んでいただき、本当にありがとうございました。引き続きテレビ東京の番組では取材、リポートをなどでは色々とお伝えしていきたいと思っています。日本が少しでも良い方向に向かうためのヒント、それを探しこれからも取材を続けていきます。今後とも応援、よろしくお願いします。また近いうちにお会いしましょう。

2006年4月4日 https://plaza.rakuten.co.jp/ismaririn/diary/200604040000/

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