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焚いたはずのないお香の香りの正体

朝起きて、身支度をしていたらお香を焚いたような香りがしてきた。
窓を開けてないけど、エキゾチックな香りがいよいよ強くなってきたので、隣の部屋のキッチンに立っていた旦那さんに「なんだかお香の香りしない?」と聞いてみた。

「今、雪平鍋の持ち手を燃やしてしまって、消火しました」と旦那さんから返事がきた。冷静を装っているが声が硬い。私も動揺を隠しきれないが、なるべく静かにキッチンを覗くと確かに雪平くんの持ち手の端が真っ黒になっている。

雪平くん(片手鍋)が可哀想になったが、旦那さんもショックだろう。黒くなった部分を指で触って、「ネジもゆるみやすいから、そろそろ修理できるといいけどね。」と話した。

それにしても、雪平くん。君の持ち手、良い木を使ってるんだね。良い香りがしてびっくりしたよ。雪平くんに心の中で話しかけた。

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