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一期一会の乗務員 〜自分の進むべき道は〜 2024年5月17日
東京のタクドラ、みやびです!
沖縄旅行を控え、準備しながら投稿してますけど、読み手が薄々… 😅
ふとタクドラの投稿をしたら反響がありましたので、まぁ書いてみようと思います。
昨夜 出逢った、お客さまの話です。
ちと長文ですが、どんな1日だったかも含めて書いてみますよ!
いつもの料亭からお乗せしたお客さま。目的地が五反田近くのご自宅だったので、お降ろしした後、私は直ぐ五反田駅に付けました。
五反田は長距離のお客さまを乗せる可能性もあり、好きなエリアのひとつです。
桜田通りから五反田駅東口の入口あたり、カラオケビックエコーから吉野家までの並びに面した場所に付けるのがお決まり。
半分くらいは中延・馬込へ帰るお客さまで、料金¥2,000-くらい。第二京浜か、中原街道か、その道を走って往復する感じです。
五反田駅にタクシーを付け、そう時間もかからずお客さまをお乗せ出来ました。🚕💨
何度かお客さまをお乗せして、次は浅草へ。
昨日は三社祭の初日で、23時くらいでもお客さまがいっぱい居ました。次は雷門から大師(神奈川県川崎市)へ。
私のような東京のタクドラは東京23区または武三地区(武蔵野市、三鷹市)に目的地または出発地が無いと、お乗せ出来ません。
大師は区間外営業となりますので、お客さまをお降ろしせた後はまた直ぐ戻ることにしました。
高速使って、、 あーここから高速まで遠い!
高速に乗って、六本木も渋谷も新宿も40分くらいかかってしまう。🚕💨
下道の五反田が、所要時間26分と1番近くにあります。
高速を使って戻りたかったけど、仕方ない。私はまた五反田に戻ることを決めました。
到着したのは深夜1時頃。
五反田のいつもの場所には既にお客さまが居て、さらにタクシーが1台もならんでいません。
「お待たせしました、ご乗車ありがとうございます」
「あーあー、、とりあえず〇〇まで」
お乗りになったお客さまは、お酒の匂いがプンプンします。😥
酔っ払いは嫌じゃ無いんですけど、吐かれたらその日のお仕事はそこで終わりになりますから、慎重になります。
「とりあえず〇〇まで、行き先思い出せない… 」
ん? 目的地が言えてない?
タクシーは、お客さまが目的地を言えないほど泥酔していると『お断り』できます。
「… だ、大丈夫ですか?」
「大丈夫、車を汚したりしませんからっ」
大丈夫か?のひと言だけで、こちらの意図を汲み取ったお客さま。
ハァ、仕事仕事。5〜6kmだから早く動いて、サッサと送り届けるか。
私は、そんな事を考えていました。
「思い出しました、〇〇××まで」
「かしこまりました」
お客さまの目的地をナビに打ち込み、車を発信させます。🚕💨
「すみませんね、酔っ払いで。でも吐いたりしないから。吐けないんスよ」
「わかりました、信じてますからね? でも何かありましたら直ぐに仰ってくださいね。車をお停めしますから、無理なさらず」
こんなやり取りをした後、吐かないようにお喋りしながら帰りましょ?と提案しました。
私は運転中なので、お客さまの様子を見るのにも限界があります。だからこの手のタイプのお客さまには、とにかく話しかけるようにしてるんです。
自分では、安否確認だと思ってますよね。笑
「今日はどんな感じで呑まれたのですか?」
「あー、先輩と…」
「女の子の居るお店ですか?」
「いや、違います。普通の店」
「そうなんですね。何か食べました?」
「自分、、全然食べないんスよ。だから吐けない、、」
「笑笑笑。 何を飲まれましたか?」
「ハイボールです」
「何杯くらい呑まれたのですか?」
「何杯だっただろう… ?
運転手さん、夜働いて大変じゃないですか? 変な客も多いでしょ」
「変なお客さまが、酔っ払ったお客さまと言う意味でしたら、私は嫌いじゃないです。
お客さまともこうしてお話させてもらって、楽しいですし」
「嫌な思いしたりもあるでしょう?」
「それはありますけど… お客さまが酔っ払っているかどうかではなく、その方の人柄だと思っています」
「人柄、ねぇ…」
「乗った途端にいきなりクレームつけてきて、早く走れ、黄色で止まるな、色々なことを言ってくる女性のお客さまが居たんです。
車に乗っている最中にもどこかへ電話して、クレーム入れてるんですよね。そういう方はどんな事も気に入りませんから…」
「わ、分かる! 自分は〇〇会社に勤めていて、特に顧客対応をしてますから」
「わ、すごい!優秀なんですね。 〇〇会社にお勤めの方って、エリートな印象があります。
私の同級生でも、全国模試1番、地元の進学校から東大に進んだ人は〇〇会社に就職してましたよ」
「(照れ)
深夜は酔っ払いの男と2人きりになったりするでしょ? 怖くないですか?」
「ウフ、前にお酒を飲まれた男性3人のお客さまをお乗せした時に。
彼氏居るのー? 俺と付き合わない?
でも俺、自分の彼女がタクシー運転手なんて嫌だなぁ。毎晩、男と密室で2人きりになってるんだろう?
そう言うんです。私、笑ってしまって…
確かに、密室で2人きりになりますよ? でもそう思ったことは無かったので、可笑しくて」
「運転手さん、若いでしょ?」
「お客さまは、おいくつなんですか?」
「自分は、37です」
「そうなんだ、働き盛りですね」
「独身ですけどね」
「そうなんですか、子ども2人くらいいらっしゃるように見えましたよ」
「いやー、、独身なんです」
「恋人はいらっしゃるのですか?」
「いないんです」
「(期間は)どの位、空いていますか?」
「4年くらいかなぁ」
「それは長いですね!そんなにカッコ良いのに」
そう伝えると、お客さまは照れ笑い。
恥ずかしそうに、でもとても素敵な笑顔を見せてくれました。
運転中は前しか向けませんけど、、
私は、深酒のお客さまをお乗せした場合、信号待ちで目視するようにしてるんです。嘔吐対策なんですけどね。
振り返る度、このお客さまとガッツリ目が合い、それ毎にニコッと笑いかけていました。
マスクの上から覗かせる目も鼻も、とてもハンサムに見えます。
「自分、酒入らないと喋れなくて。だからこんなに話せてるの、運転手さんくらいです」
「それは光栄ですね」
また信号待ちでお客さまの様子を振り返って見ていると、マスクをずらしていらっしゃいました。
こんなお顔をしてるのね…
「まもなく目的地ですけど、どの辺でお停めしますか?」
「… じゃあ、これを右で」
左へ、右へ、とお客さまのご指示に従いながら、私は車を進めてゆきました。
「… ここで」
「かしこまりました」
私は車を左に寄せ、ギアをパーキングに変え、フットPブレーキまでしっかり入れました。
「…… もう少し、話していたかったな…」
私は一瞬、躊躇いました。何か言葉を返したかったけれど、どのように返したら良いか思いつかなかったのです。
おそらくは、自分がどうしたいか定まっていないから、何とも返事が出来なかったのだと思います。
お客さまの方を振り返り、月並みの言葉を伝えました。
「お支払い方法はいかがなさいますか?」
「… じゃあ、現金で」
「〇〇〇〇円です」
そう言って、私はレシートを差し出しました。
お客さまは、財布の中にある千円の枚数を朧げな様子で数えると、支払い金額より多い枚数を抜き出し、渡してくださいました。
「あ、お釣りはいいです」
差し出していたレシートはしっかり受け取っていました。
「ありがとうございます」
お客さまに向かって会釈をし、お金を仕舞い、ドアを開けました。
そしてまた振り返りました。
「あの、きっと、素敵な出逢いがすぐに見つかると思います!」
私は、そう伝えるのが精一杯でした。
お客さまは嬉しそうに笑顔を見せ、変わった様子もなく車を降りてゆきました。
降りた後も私は目で見送っていたのですが、酔っ払いの典型的な歩き方みたいに、フラフラと来た道を歩いてゆきます。
自宅はだいぶ過ぎてしまっていたのかしら?
そう思ったりもしましたが、私は仕事に戻ることにして、車を発進させました。バックミラーを見ると、あのお客さまはまだ路地を歩いています。
タクシーでの出逢いは、流しの場合まず次に再会することはありません。
だいぶ酔っていらっしゃるし、戻って声をかけてみようか…?
私は躊躇いましたが、交差点を曲がってしまうとその気持ちも無くなり、次の繁華街へと戻ることにしました。
さて、印象深いお客さまだったので、何となくまた、このシリーズを書いてみました。
実は私、仔細あって、どこか別のタクシー会社に移ろうかと探しているところで… 寮に入れる会社を候補にしており、休憩中にもネットサイトを見ていました。
あ、この寮の間取り、良いな♪
そう思って詳細を見ていたら、偶然にもあのお客さまが暮らす街にある寮でした。
うん、やはり環境を変えても良いかもしれない!
お客さまとの出会いは、金曜日。
この土日で、タクシー会社に面接希望の電話をしてみようと思っていたのですが、、、昨日は明けの仮眠から目覚めると熱が出て。🤒
夜には38度くらいまで上がってしまい、行動出来なくなってしまいました。
さて、どうしますかね?笑