横浜市の各区を司る土地神様たちが、今巻では川崎市や町田市の土地神様たちと戦うことになります。
↑kindle版
『横浜大戦争』、『横浜大戦争 明治編』に続く3冊目ですが、前の2巻を読んでいなくても、巻末の「神々名鑑」さえ先に目を通しておけば、何とかなるかと思います。私自身、前の話をほぼ忘れた状態で読みましたが、大丈夫でしたので。
とはいえ、横浜や川崎周辺の土地勘がない方には、ちょっとハードルが高いかもしれません。川崎市川崎区を司る川崎の神と、川崎市全体を司る川崎の大神、川崎市多摩区を司る多摩の神と、東京都多摩市を司る多摩の大神が、それぞれ別にいるなど、分かりにくい部分もあるので。なお、ほぼ出てこないとはいえ、「神々名鑑」に横浜の大神が出てこないのは、いかがなものかと……。
以下、備忘録代わりに印象に残った部分をまとめておきます。
女優をしている麻生の神(川崎市麻生区を司る)の言葉です。含蓄のあるお言葉です。
上は横浜市西区を司る西の神、下は横浜市港北区を司る港北の神の言葉です。神様というより、企業や役所で働く者に当てはまる言葉ですね。
3つとも、横浜市保土ケ谷区を司る保土ケ谷の神の言葉。投げやりなキャラクターに設定されている保土ケ谷の神ですが、良いことを言う時もあります。
確かにそういう観点でつながりを見ると、面白そうです。
ちなみに序章の「扇島事変」に始まり、各章の題名はその章の舞台を表しているわけですが、唯一第四章の「町田電撃戦」だけは町田が舞台ではないことが気になります。「町田電撃戦」という言葉だけは、出てくるんですけどね。
この町田が抱える鬱屈が、今巻の肝です。このあたりの問題は、「ブラタモリ」でも扱われましたね。
町田市は三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』の「まほろ市」のモデルでもあります。
フラワーアーティストをやっている、川崎市多摩区を司る多摩の神の言葉ですが、これ、作者の蜂須賀さんの叫びでもあるのでしょうか。一見、ふざけたような作品に思える「横浜大戦争」シリーズですが、結構下調べが大変であろうことは想像がつくし、地味なやり直しならぬ書き直しは、相当していると思うので。
「横浜市歌」が重要な役割を果たす設定には、笑いました。ちなみに私ももちろん歌えますが、何か?
見出し画像は、環境創造局「かばのだいちゃん」のマンホール蓋です。今作に登場するランドマークタワーも描かれています。
↑単行本