【映画】ブルーノ・ガンツを偲んで~『ベルリン・天使の詩』(ヴィム・ヴェンダース監督)~
*この記事は、2019年2月17日のブログ記事を再構成したものです。
一昨日、スイスの俳優ブルーノ・ガンツが亡くなりました。恐らく私にとって、これまで観た映画の最高傑作は「ベルリン・天使の詩」なのですが、主役の天使を演じたのがブルーノ・ガンツです。
といっても、実は私、ブルーノ・ガンツという名を知りませんでした。「『ベルリン・天使の詩』で、おっさんの天使を演じた人」という認識だったので(^_^;)
今回訃報記事に「『ベルリン・天使の詩』に主演」とあったのを見て、「あの人、ブルーノ・ガンツという名だったんだ」と遅ればせながら知った次第です。
しかも「ヒトラー 最期の12日間」でヒトラーを演じたのも、ブルーノ・ガンツだったんですね。あの作品もまた、「どこにでもいそうな、普通の人間としてのヒトラー」を描いた点で、印象に残っています。
で、「ベルリン・天使の詩」ですが、まだ壁があった当時のベルリンで撮影されました。ブルーノ・ガンツ演じるダミエルはじめ、天使が何人も出てきますが、彼らの見た目は普通の人と変わりません。背中に羽は生えていないので。
彼らは永遠に年をとりませんが、その代わり、色を知りません。彼らの視界は白黒なのです。だから映画の前半、画面は白黒です。
そんなダミエルが、人間の女性に恋をし、人間になることを決意します。その瞬間、画面はカラーに変わります。白黒の画面に慣れていた目には、カラーの画面が非常にまぶしく感じます。初めて色を知った元天使は興奮状態で、道行く人に、「これは何色? オレンジっていうの?」などと訊きまくります。
ヴィム・ヴェンダースが描きたかったのは、東西ドイツ、ひいては東側世界と西側世界の対比だったのかなと思いました。永遠に完璧な世界ではあるけど、味気ない天使の世界が東側。限りはあるけど、カラフルな人間の世界が西側。
なおこの映画には、「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」という続編があるのですが、残念ながら観たことがありません。存在を知った時には、すでにDVDが廃盤だったので。まぁネット上で売られてはいますが、安くても7,496円(2024年2月19日現在)。うーん、そこまで出して観たいかは微妙です。
<追記>
「時の翼にのって」のノベライズ版の感想は、以下の記事をご覧ください。
見出し画像は、1996年2月に撮ったベルリンの壁です。これは旧西ベルリン側から見たもので、旧東ベルリン側の建物は壁のすぐそばということもあり、絶対に亡命する可能性がないと判断された人しか入居できないアパートでした。