【読書】長編のほうがうまい~『いつまで』(畠中恵)~
畠中恵の「しゃばけ」シリーズ第22弾です。
↑kindle版
今回はいつもの連作短編ではなく長編で、何と若だんなが5年後の世界に飛ばされてしまう話。やはり畠中さんは、長編のほうがうまいと思います。とはいえ結末の、なぜ若だんなが5年後の世界に飛ばされたかの謎が分かり、元の世界を目指そうとする部分は、ちょっと時間軸など、おかしい部分・都合がよすぎる部分がありますが。畠中さんは、ちょっと物語の結末が上手じゃない時がありますね。
今回騒動を引き起こすのは、己の不運を嘆き、人の幸運を羨む妖の以津真天(いつまで)ですが、畠中さん、このテーマ好きですよね。
おかしかった(この場合は、面白いという意味)のは、「妖の土左衛門は見ていない」という表現。妖って、そもそも土左衛門になれるんでしょうか……。
毎度のことながら、「しゃばけ」シリーズはマンネリで、だからこそ今巻のようにバリエーションを付けようと、タイムスリップものにしたりしているわけですが、いい加減ネタ切れのような……。「いつまで」続くの、と言われないうちに、シリーズとしての終わりを考えたほうが、ファンの間に面白かったイメージを残して追われると思うのですが。まぁ、余計なお世話かな。
見出し画像は、奈良の元興寺のお庭にいた鬼さんです。作中、名前だけですが、元興寺の鐘楼に住む鬼である元興寺(がごぜ)が出てくるので。
↑単行本
いいなと思ったら応援しよう!
記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。