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日報 1月23日

記入者:タラバミント


最近のパソコンの性能は、
常にアップグレードされるらしい。
打ち込んだ文字が勝手に変換されるようになったときは、
慣れない動作にしばらく四苦八苦したな。



今日は、「冒険」と打ち込みたかった。
僕はキーボードに「ぼうけん」とタイプした。

仕事中ではあったが、僕は思わず吹き出してしまった。
変換されて現れた漢字は、「暴犬」だった。

“ぼうけん”という音に間違いはない。
しかし、「暴犬」はどうだ?

僕は暴れ狂う犬を想像した。
ああ、そういえばいたなぁ。昔、近所に。



その犬は、
飼い犬業界の中でも歴代最高に恐いやつだった。

犬小屋に縄で繋がれているのだが、
その縄が、とてつもなく長いのだ。

えっ?なんでそんなに長いの?
道の端から端まで縦横無尽に出て行けちゃうよ!

それくらい長い縄だった。

そのお宅の前を通るたび、
犬がバウワウと駆けだしてきた。

どんなにそろりそろりと歩いても、
必ずと言っていいほど見つかって、吠えられた。

噛みつかれたことはなかった。
その他危害を加えられたこともない。

でも、こうして時々思い出す。
すると今でも、背筋がちょっとシャンとするのだ。



暴犬の思い出。
あの頃の自分にとっては、
小さな“冒険”だったのかもなぁ。


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