日報 2月28日 「居心地の良さ」への道案内
記入者:タラバミント
パン父ジュニアは、僕の友人です。
今日は彼について記そうと思います。
彼は普段、自分のことをあまり話さない。
なので、
「僕から見たパン父ジュニア」
というタイトルで話を進めます。
僕にとってパン父ジュニアは、
“道案内”をしてくれる人です。
案内と言っても、
「彼も一度も通ったことがない道」をです。
「道作り」とか「動線作り」と言ったほうが合っているかな。
とにかく、行きたい方向に向かって、
まだ見ぬ道を作ることに長けているんです。
例えば彼は、「間取り」を考える天才です。
彼はきっと、“考え”てもいないだろうけど。
見えない空気の変化を感じるように、
「居心地の良さ」を作るべく、
彼はせっせと手足を動かします。
彼の言う「居心地の良さ」は、
“用途に合った居心地”という意味です。
この場所で、誰が、どんな風に過ごすのか。
彼はいつもそれを念頭においています。
僕も自分の家を定期的に見てもらっていますが、
毎回、静かに劇的な変化の間取りを繰り出されます。
彼が手をかけ直した空間は、
以前の空間よりも、どこか過ごしやすくなるんです。
「家に帰ってからのんびり過ごせるように」と、
彼は間取りで道案内をしてくれます。
「のんびりするには、あれをちょっとずらそう」
「家でも仕事したいなら、こうするといいよ」
「あ、こっちのイスの方が集中できるかも」
「ごめん、最初の状態に戻してもいい?」
こんな会話をしながら、
彼は惜しげも無く居心地の良い空間を作ってくれます。
いつだったか、彼が結構時間をかけて間取りを整えてくれたとき、
「一体何をどうしたの?」と訪ねたことがありました。
彼は表情一つ変えずに、
「イスを、一個だけ動かした」と言いました。
僕は、「彼はホンモノだ」と思いました。
一個だけ動かされたイスでぐでんぐでんに伸びていると、
「その席、いいでしょう?」
と、パン父ジュニアは嬉しそうに笑いました。
人生にはいろいろな山があるだろう。
見たこともない谷底もあるだろう。
でもそんなとき、こんな友人が一人でもいれば、
なんとかやっていけると思うんですよ。