日報 2月26日 キャベツみたいなもの
記入者:明明
「何度蒸し返してもすばらしい!」
と思えるものは、全部、ミンミンの先生です。
いつ見てもうっとりするのが、
ジャズのLP・CDのジャケットだね。
きっとどんな時代に蒸し返しても、
深くやさしく突き刺さるデザインだと思うんだ。
良き先生を見つけたときの気持ちは、
おいしいお酒をロックでチピっと飲んだときに似ています。
「蒸し返す」のとはちょっと違うけど、
ミンミンは何度も思い出す感覚があります。
「生のキャベツの芯のおいしさがわからない」
という状態から、
「あれ、生のキャベツの芯ってこんなにおいしいの?!」
という状態になったときの感覚です。
それは、10代の食べ盛り期のとある夕方のこと。
お腹が空きすぎて、何かつまむものを探していたミンミン。
台所に入り込むと、水切りされたザルの上に、
炒め物用であろうザク切りにされたキャベツがありました。
そしてまな板の上に、なぜか薄切りの芯だけが残されていたのです。
シャキシャキ……
そんな効果音が聞こえてくるような芯でした。
みずみずしくて、透き通っている様がとてもきれいだった。
私は右手で、盛りっとひとつかみ。
ひんやり冷たいキャベツの芯。
そのまま、口の中に含みました。
シャキシャキ……シャキシャキ……
ああ、やっぱり!シャキシャキだ!
芯から出てくる水分の、甘いことと言ったら!
そのときの衝撃波は唾液となって、
静かに静かに口に溢れました。
生のキャベツをつまみぐいするたびに、
この芯のくだりを思い出すの。
何度蒸し返しても可笑しくてさ!
何度蒸し返してもすばらしいものは、
世界のいたるところにある。
みんな、ミンミンの最高の先生です。
キャベツは丸ごと蒸してもおいしいね。
そんなキャベツみたいなものを、
いつかつくれるようになりたい。