日報 2月1日
記入者:タラバミント
今日は、パンチパーマの父を持つ友人の運転で、旭川の町へ出かけた。
(「パンチパーマの父を持つ友人」は長いので、
これ以降は「パン父ジュニア」と記すことにする。)
パン父ジュニアには、
ずっと探しているガチャガチャの種類がある。
ガチャガチャとは、指定のお金を入れると、
玩具入りカプセルが出てくるマシンのことだ。
幼い頃、僕はその機械を「ガチャガチャ」と呼んでいた。
空港とか大型スーパーでガチャガチャを見かけると、
僕はそれとなく彼が探しているガチャガチャがないかと見回す。
半年以上探しているが、お目当は未だに見つかっていない。
今日、旭川の大型量販店の中で、
たまたまガチャガチャコーナーを発見した。
そのコーナーは小さなブティックほどの大きさで、
男性店員が1人ついていた。
僕は、男性店員に尋ねることにした。
「すいません、○○のガチャガチャってありますか?」
男性店員は一瞬フリーズし、
「○○……」と繰り返した。
僕とパン父ジュニアは、
お目当のガチャガチャの特徴を身振り手振りも加えて、
男性店員に必死に説明した。
彼もそれに応えるように、
腕組みしながら顔を柔らかくゆがませた。
「うーん、○○かぁ……ああ!○○ですね!」
お、あるのかい?
と、僕たちは一瞬希望を持ちかけた。
「今ここにはありませんけど、会社に戻ったら、きっとあります!」
と、男性店員は熱弁気味に答えた。
彼は、会社に戻って○○があるのを確認したら、
このコーナーに必ず持ってくると言った。
まるで鮮魚を売っているような心意気を感じた。
僕は個人的に、
「会社に戻ったらある」という彼の言葉をとても気に入った。
会社に戻ったら、ある。生々しいなぁ。
所詮僕らは、通りすがりの客である。
次回このガチャガチャコーナーに来て○○がなくとも、
粋の良いこの男性店員に敬意を表し、
心の中でさえも一切咎めることはしまいと思った。
ガチャガチャは思い出深い代物だ。
僕も一度は憧れ、一度は散財して身を滅ぼした。
パン父ジュニアは、
またも○○がなくて落ち込んだかもしれない。
いつか見つかるといいな。
そう思う反面、
こうして事あるごとに、彼と一緒になって○○を探すのはとても愉快だ。
一つのものを追い求めている時間というのは、
その未知数になんとも言えぬロマンを感じてしまう。
単純に○○が欲しいだけなら、
ネットで探してポチっとすればいい。
でもね、ただゴールに着けばいいってわけじゃない時もある。
僕は、もういい加減飽きるまで、
パン父ジュニアに付き合わせてもらおう。
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