日報 1月15日
記入者:明明
ミンミンの知り合いに、
「よりみちおじさん」っていう人がいます。
本名は、道端頼通(みちばた よりみち)。
どこにでもいるおじさんでね。
特徴は、寄り道が大好きなところ。
目的地はあるんだけど、おじさんは、
ついつい寄り道したくなっちゃう。
お団子屋さんに入ったり、
公園のベンチで居眠りしたり、
足元のタンポポに目を細めたり、
図書館で一冊本を借りたり。
寄り道中、心底朗らかに笑うおじさん。
それがものすごく楽しそうなの。
「よりみちおじさーん」
と、控えめに叫びながら走り寄ると、
口ひげを笑わせながら手を振ってくれます。
久しぶりに会ったよりみちおじさんは、
杖をついていました。
でも、きびきび元気そうでした。
口ひげが前よりも、ずっと似合っていました。
水筒のお茶を少しもらって、
カワゴンドウは温かいところに住んでいるとか、
カフェオレのミルクとコーヒーの割合の好みとか、
ぽろぽろおしゃべりをして、さよならしました。
去り際、よりみちおじさんは、
「水色は、なんで透明じゃないんだろうねー」
「透明色っていうのがあったら、すてきねー」
と、半ば捨て台詞のように言いました。
いいなぁ。透明色。
透明色の絵の具があったら、
風や空気はどんな風に描けるんだろう。