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ネオニコチノイドは安全か

農薬と言っても多種多様な農薬があります。

広義で言えば、特定農薬の「食酢・重曹・土着の天敵昆虫・エチレン・次亜塩素酸水」も農薬に含めることが出来ます。
また、通常の農薬でもデンプンが主成分だったり、植物油が主成分の農薬もあります。
農薬とは、殺虫剤の他、殺菌剤、除草剤、ホルモン剤など、その使用分野も非常に多岐に渡ります。

なので、「農薬は安全か」という問いに関してはなかなか一括りでは答えづらいものですが、それぞれの成分に関しての安全性は常に検証のアップデートが必要であると思っています。

最近(と言っても5年ほど前から)ネオニコチノイド系農薬の安全性については世界で議論されてきました。
ネオニコチノイド系農薬とはどんな農薬かというと、ニコチンに似た化学物質を主成分とする農薬のことで、作物に浸透し、長期間薬効が持続するというとても便利な農薬群のことです。
元々ニコチンには殺虫効果があるらしく、ただ人に対しても強い毒性を持っているため、人への影響がない新しいニコチンに類似した成分が開発されました。
それがネオニコチノイドです。
人への影響がない、ということと、作物に浸透し全体を長期間(およそ2〜4週間)虫から守ってくれるという利便性で、世界中に広まりました。

ただ、その後、自然界への影響や人への影響に疑いが出て来るようになります。


こちらはTBSで報道されたネオニコチノイド系農薬の影響について特集された動画です。
冒頭では、島根県の宍道湖で1993年以降、ワカサギやウナギが急に採れなくなったという話が出てきます。
また、富山県では赤トンボが急に減ったという話が出てきます。
ミツバチが急に大量失踪したという話も出てきます。

興味深いのは、動画の8分過ぎからのマウスを用いた実験。
無毒性と言われる量のネオニコチノイドを投与したマウスが精神的に不安定になる様子が確認できます。
もちろん、マウスと人では同じように計ることは出来ませんが、虫だけではなく小動物にも影響が疑われる事が分かります。

ネオニコチノイドの大きな特徴は、長期間続く薬効です。
つまり、生体の体内に蓄積するという可能性は当然考えられます。
一度に摂取されるのは極微量のネオニコチノイドでも、そのまま体内に留まり蓄積し、濃度が上がりなんらかの影響を受けてしまうとしたら?

まだこれらは“可能性”の域を出ず、もしかしたら人への影響は杞憂に終わるかも知れません。でも、もし、万が一、胎児や幼児になんらかの影響を与えているとしたら?
人への影響がないとしても、大地に残留したネオニコチノイドがその他の生き物の餌になる虫たちに影響を与え、冒頭のワカサギやウナギ、トンボの減少に繋がっているとしたら?

ヨーロッパでは、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁じる国々が増えています。
ただ日本では温暖で多湿な気候ということもあり、同じように禁止したら全て問題が解決するほど簡単ではないんです。
それによって農家が負担する労力や収量減、引いては収入の落ち込みはどうするのか。
農家が全部自身で負担しろというのはあまりにも酷な話です。

なお、日本では、ネオニコチノイド系農薬の使用について、農水省では規制する方向なのに対して、厚労省、食品安全委員会では、食品の残留値について平成27年に緩和の方向を示しています。

また、ネオニコチノイドをめぐる話は農家でも話題になることも多く、農業法人トゥリーアンドノーフさんのYouTubeでも取り上げていたので少し触れてみます。

この動画ではネオニコチノイドのリスクについて、
「ネオニコチノイドに代替する農薬の安全性はどうなのか?」
という、本題とはズレた話になっていますが、実際に農業に携わる農家の立場として、危険なものは使いたくないが、ではどうしたらいいのか?という葛藤はよく分かります。
特に安全性について、完全に安全というものは存在しない、という話はなるほどな、と思いました。
確かに、水であれ、塩であれ、砂糖であれ、ビタミンやミネラルでも、致死量というものは存在します。

ただ、いろいろな情報を調べ、考えた結果、マーフィーズファームではネオニコチノイド系の農薬は使いません。
それによっての労力の増加や収量の減少などもあるかも知れません。
でも、環境や子どもへの影響が疑われるなら、使いません。
正義や悪ではなく、それが僕の理念だからです。

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