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蚊取り線香と農薬と

マーフィーズファームの畑には、草がけっこう生えていることもあり、蚊も多いんです。
蚊って普段は葉っぱの裏にじっととまってるんです。

そして、蚊の餌は花の蜜だったりします。
(蚊というと血を吸うイメージですが、あれは産卵期のメスの蚊だけだそうです。)
なので、隠れ場所の多い草や蜜が採れる花が多いと自然と蚊も集まりやすくなるんでしょうね。

それと、マーフィーズファームでは蚊に影響が出るような農薬を撒いていない、というのももしかしたら関係しているのかも知れません。
マーフィーズファームでは、畑の環境を整える場合に散布する農薬は、イモムシ(蝶類)にだけ効果があるものやアブラムシなど小さい虫だけに効果があるものなど、選択性の農薬を使用しています。
一方で、農薬には無選択性のものもあり、いろいろな虫に幅広く影響を及ぼすものもあります。

そういう、無選択性の農薬を撒くと蚊の発生も多少抑えられるのかな、なんて思ったんですが、例えばその無選択性の農薬成分の一つに、合成ピレスロイドという系統があります。

これはおそらく多くの人の日常生活で一番身近にある成分ではないかと思います。
タイトルにもある、蚊取り線香や殺虫剤(殺虫スプレー)の主成分にも使われているものです。

もともとは、除虫菊という菊の花に虫除け効果があることからその成分を調べてみたところ、ピレトリンという物質に殺虫効果があることが分かり、それに科学構造が似ている物質群をピレスロイドと名付け、そこから人工的に生まれた物質たちを合成ピレスロイドと総称することになったそうです。

合成ピレスロイドにはすごくたくさんの種類があり、その殺虫効果や虫への効果も様々で、今も生活の中で身近な存在として新しいピレスロイドは開発され続けているようです。

殺虫成分にもいろいろあるのに、どうしてこんなに合成ピレスロイドが身近な商品に利用される事が多いのか、それはピレスロイド系はヒトに対する毒性が低い事、分解が早い事がその理由のようです。
もちろん絶対安全というわけではなく、適正な扱いをしないと事故も起こり得る物質でもあります。

では、普段から日常生活の中でとても身近であろう合成ピレスロイドを用いたもの、蚊取り線香は、ピレスロイド系農薬と比べてどのくらいの成分量の違いがあるのかを調べてみました。

金鳥、アース、フマキラーの商品サイトで確認したところ、成分量が明示されているのはアースだけでした。
比較対象とする農薬は、合成ピレスロイド系でけっこう広く使われている印象のあるアディオン乳剤です。

アースの蚊取り線香1巻に含まれる成分は合成ピレスロイドのアレスリン32.5mg。

アディオン乳剤は合成ピレスロイド系のペルメトリン20%溶剤。

蚊取り線香1巻はおよそ7時間で燃える尽きるそうなので、1秒あたりで揮発する薬量を計算すると、約1.29μg。

アディオン乳剤を2,000倍で希釈すると10mgあたりの成分量は1μg。

(ちなみにμgはmgの1/1000の単位です。)

・蚊取り線香
アレスリン 1秒あたり 1.29μg

・アディオン乳剤
ペルメトリン 10mgあたり 1μg

こうして比較すると、なかなかの近似値にはなりましたが、1秒間あたりの揮発薬量と、10mg中の含有薬量を比べてもイマイチピンと来ません。
それよりも濃度での比較の方がいいのかも。。

そしてなにより同じ合成ピレスロイド系でも、アレスリンとペルメトリンでは全然薬理が違うであろうことも重要です。

なにせ、アースの蚊取り線香の高級版「プロプレミアム」という商品は、蚊に対する忌避効果が直径6mにも及ぶすごい蚊取り線香なのだそうですが、含有有効成分はメトフルトリン2.6mgです。
同じ合成ピレスロイドでも、通常の蚊取り線香アレスリン32.5mgに比べて成分量だけで見たら1/10以下です。

なのでつまり、いくら同じ合成ピレスロイド系だとは言っても、それぞれの成分でその安全性も効果も全く異なってしまうということで、ただ近い数字を並べてもあんまり意味はないのかもね、というオチになりそうです😂

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marfee
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