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銅剤について調べてみた②
銅剤調査の続きです。
無機銅剤と言っても種類は多く、古くから使われている代表的な銅剤「Zボルドー」のほか多種多様な薬剤があります。
そもそもなぜ銅剤にボルドーというフランスの地名が付いているのかというと、その歴史は1882年にまで遡ります。
当時ボルドー大学のミラルデ教授が葡萄園での盗難被害を防ぐために街道に硫酸銅と石灰を混ぜた水和剤を散布したところ、その街道沿いの葡萄には当時大流行していたベト病の被害が少なかったことに気づいたのがきっかけのようです。(参考:wikipedia)
葡萄泥棒よけになんで硫酸銅と石灰の混合水和剤を撒くのかそこがすごく気になるんですが。。
このミラルデ教授が植物・菌類学者だったため、そこから研究が進み、硫酸銅と石灰の混合水和剤による防除が確立していきます。
そこからこの水和剤をボルドー液と呼ぶようになりました。
代表的銅剤のZボルドーは、その有効成分が塩基性硫酸銅となっています。
他にもコサイド3000という銅剤は水酸化第二銅が主成分です。
園芸ボルドーでは塩基性塩化銅が主成分になっています。
え?微妙に銅の種類が違う…
塩基性硫酸銅と水酸化第二銅、塩基性塩基銅、一体何がどう違うのか…
どの無機銅剤も、ベト病には同様の一定効果があるようで、その他の病気への有効性について僅かながらの効果の違いがあるっぽいですが、それも重複するものが多く、基本的には同じような薬効を示すと考えて特に問題はなさそうです。
有効成分の銅の種類よりも登録作物や利用環境による剤型で選ぶのが無難でしょうか。
銅剤は、作物の表面に有効成分の銅が貼りつき、バリアのような効果を発揮する予防薬です。すでに病原菌に侵された作物への治療効果はありません。
銅剤には、炭酸カルシウムを加用すること、と注意書きがあります。
炭酸カルシウムを加えることで、phを中和させ、流れ出すプラスの銅イオンを調整し、作物へのダメージを軽減させる効果があるようですが、単純にphを調整するのであれば、炭酸カルシウム以外ではダメなのか。
炭酸カルシウムは、ph8〜10ほどのアルカリ性を示します。
ちょうど手元にカルシウム葉面散布剤であるカルクロンがあったので確認してみると、主成分は塩化カルシウムでした。
phを調べるとこちらもやはりph8〜10のアルカリ性。炭酸カルシウムとほとんど同じです。
では代用できるのでは?
気になってコサイド3000(水酸化第二銅)にこのカルクロンを加用して散布してみることにしました。
ブロッコリーに散布するので、希釈倍率はコサイド3000は1000倍希釈です。
通常、銅剤に加用する炭酸カルシウムは、クレフノンが使われるようですが、今回は試しに塩化カルシウムであるカルクロン。
ただ、銅剤にもクレフノンにも、カルシウムをどの程度の希釈倍率で混合すればいいのか書いていないんですよね。
これが銅剤の扱いの難しさを感じさせる要因の一つな気がします。
ネットで調べると、炭酸カルシウムは野菜の場合はおよそ200倍で希釈するのが一般的なようなので、今回はそれに倣い、カルクロンを200倍希釈で加用しました。
散布して1週間くらい様子を見てみると
![](https://assets.st-note.com/img/1674455812483-w7G4dSab1V.jpg?width=1200)
薬害が出ました。
果たしてこれは、塩化カルシウムだと炭酸カルシウムの代用にはならないことの証明なのか??
それとも単純にカルシウムの希釈濃度が適正ではなかったのか。
単純なphの調整だけではダメなのか?
奥が深すぎです、銅剤。
まだまだ試行錯誤は続きますが、一旦ここまで。
もう少し春の足跡が聞こえてきた頃に、また検証を再開したいと思います。
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