見出し画像

家出の副作用

私が20代半ばで家出をした話は、別の記事に書いたけれど。

家出をして戻ってきたときに辛かったこと。それは私に過干渉をしていた母が、泣きながら私の写真のほとんどを燃やしてしまっていたことだ。

辛いのは母の気持ちに対してではなく、思い出の写真が消えてしまった私の悲しさからくる。
私がお気に入りだった赤ちゃんの頃のベストショットやいろいろな思い出は無くなり、私のお気に入りではなく、母が選別した数枚の写真だけが残ることになった。私は別に気に入っていない写真だ。

私は親の前で初めて号泣しながら「なんで捨てちゃったの!」と責め立てた。それを補助した父に対しても。しかし父曰く「お母さんが、そうしたいって言うから」と反論する。まるで自分たちは悪くなく、家出をした私が悪いと言わんばかりに。

そうなると「火事にあってすべて消滅した」とでも思うしかない。何度もその残された写真すら捨ててしまおうと悩んだ。でも私はこのことで気がついた。捨ててしまったら永遠になくなるものがあるということに。

だから気に入らない写真だけれども取ってある。捨てるのは簡単だけれど。
親離れしようとするときに、なぜこんなにも痛みを伴わなければならないのか。自分の生まれを恨んだが、しかたがないこと。
そう、しかたがない。

いいなと思ったら応援しよう!