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7度4分

金曜の夜なんてほんとは長電話したいけどそんなこと素直に言えずに別の話してラインの返事を待つっていう、日付変わり土曜の深夜。あと何回眠れない夜を過ごせばいいのだろうか。

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ここ6,7年、自分から誰かを好きになるという事がなかった。

恋愛には情を割かれませんよ、…なんて''風''を吹かせた風になれないよ寿司ワンダー、一度誰かの事を好きになるとひどく体調が悪くなる。それは片想い両想い交際後も関係なしに、人を好きになったと自覚するのは、決まって“体調の悪さ”そしてその継続によってだった。

Amazonで注文した大好きな胡麻スープを1日の食事として、夜は深夜3時頃まで寝付けない。喉は乾き、頭はぼんやりして靄がかっている。恋は微熱状態とはよくいったもので「恋で体調悪くなるの可愛いね」と親友たちは言うも、実際に衰弱していく私を見ると心配して何か食べさせようとしてくれる。先日は同じマンションに住む親友に「最近何食べてんの?」の問いに胡麻スープ!と勢いよく答えると、妖精さんかな?と彼女の引き気味の驚きと、滋養をつけろとガッツ入った親切をくらい、そのまま部屋に招かれ小松菜チャーハンを振る舞って貰った。久々の、冷食じゃないチャーハンはこんなにも美味しいものなのかと妙に感動した。こんなに有難いことはない。


好きな人と両想いかもしんない!と舞い上がる夜と、私がめちゃくちゃ好きなだけで向こうは私を趣味の合う友人としてしか捉えてないんだ、を行ったりきたりする。落ち込もうが舞い上がろうが関係なく、体調はずっと優れない。


恋や愛のゴールが、必ずしも交際や結婚にあるものではないと考えている。あんまり声大してないものの、周りの友人らと結婚観〜性愛観を話していて感じるロマンティックラブイデオロギー(恋愛結婚至上主義)には、少々食傷気味かもしれない。

とは言うものの、この恋はなんとて自分から好きになり積極的に頑張りたいなと思える、体調に支障をきたすくらいにはお熱もの。交際するか、気持ちをサッパリさせるか(玉砕ないし友情路線としてハッキリさせる)したほうが体調は回復するんだろうなぁという強めの見込みを、白黒つけるのが怖い私はぼんやり外を眺めている。面倒って思われたくないから気持ちを自制、私だけが好きならわかんないような男なら要らないと言ってしまえる不安定さ。今すぐに何らか関係性を変えたいと思う気持ちを堪えつつ、具体の行動タイミングは来たる初夏迄、毎日静観を続けている。



人は恋をすると喉が渇く、という私のお気に入りの学説のひとつ。

誰かの事を好きになる、その人を欲しくなる、欲しいという感情は飢えであり、得られない飢えに喉は代わりに水を求める。

私だけ喉が渇くのはちょっと癪で、癪だなんてほんとは強がりで、私と同じならいいのに、と小さく祈りながら電話越しに訊ねる。

「いま、喉渇かない?」


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