半径2km圏の小さなキラメキ
仕事に写真にと目まぐるしい日々を送っていた私も、自粛生活に入り、用事以外は、自宅からの一日一度の散歩にしか出掛けなくなりました。自宅周辺は平たんな住宅街で、フォトジェニックな光景とは無縁、大きな公園すらありません。人のいない時間を選んでいるので人にもあまり出逢いません。
カメラをぶら下げて毎日、何にもないと思っていた自宅周辺を歩き続けました。不思議なもので、そんな生活を送っていると、いままで目にも留めなかった小さな存在の美しさに気づくようになりました。
そういえば、前に読んだ、こんな世界をちょっと垣間見ることが出来たのかななんて思いました。
鳥の渡り、潮の満ち干、春を待つ固い蕾のなかには、それ自体の美しさと同時に、象徴的な美と神秘がかくされています。自然がくりかえすリフレインー夜の次に朝が来て、冬が来れば春になるという確かさーのなかには、かぎりなくわたしたちをいやしてくれる何かがあるのです。 『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)