短期離職の答え合わせ
新卒で入って、結局一年経って辞めてしまった広告系の会社のホームページを頻繁に見ている。下手したらストーカーだと思われるくらいにはチェックしている。
小さい会社で、社員の名前がほぼ全員載っているので、誰が現在働いているのかがすぐにわかってしまう。開かれた感じを出したいのかはわからないが、社員のプライバシーが蔑ろにされているような印象もある。自己顕示欲を余すところなく表現した社長の紹介ページは、見るたびに胸やけを起こしそうになるし、「対応力がいい」とか営業の使い勝手の良さばかりアピールしていて、元弊社にこれといった武器がないことを察してしまう。こんな曖昧な言葉の羅列を使って、よくもまあ都内のオフィスビルに飛び込み営業をかけたものだ。
辞めてからもう3度目の夏になるのだが、相変わらず、会社のホームページと社員によるブログなんかを眺めている。もはやファンと言っても問題ない。辞めた後にどんな社員が入り、誰が退職したのかも把握している。数ヶ月更新がなかったときが何度かあり、この時には「もしや倒産したんじゃないか?」と心配したほどまでだ。下手したらこれは愛かもしれない。
さて、ここまでその会社に執着する理由だが、新卒カードをドブに捨ててしまった以上、捨てて正解だったのかどうかを確かめなければ気が済まなかったからだ。それを手っ取り早く確認できるのが会社のホームページなのだ。しかも、会社のほぼ全員の名前が載ってるユルさだ。誰がどのくらいの期間いるのかもわかってしまう。会社を辞めた2020年の春からずっと陰湿な観察をしてきた。
僕が辞めてから3年ちょっと。僕が在籍していた営業の部署に着目すると、
・管理職だった上司
・先輩社員1名
・同期(19卒)1名(19卒は僕含め全員)
・20卒2名(これも全員)
・22卒2名(これも全員)
・制作サイド2名(うち1名は数ヶ月で退職)
の9名が退職している。全社員20人いるかいないかの会社で、3年間で9名退職ということだ。
雇ってくれた恩はあるが、この数字を踏まえると辞めて正解だったんだな、と思う。言うまでもないが、会社側も僕のような不向きな人間を切って正解だと思ったかもしれない。はっきり言って、僕が会社を辞めたことで皮肉にも初めてウィンウィンになれたんじゃないのか。
会社としては若くて元気で、新たな仕事をたくさん持ってくる技量のある人が欲しいのだと思うが、そういう人間なら規模が大きく、資源も豊富な会社で活躍していることだろう。
今年も新入社員が入ったみたいだが、一年後に名前が消えていないといいな、と表向きには言っておこう。