いつか書いた日記
メモ代わりに使っているevernoteを整理していたら、こんなのが出てきた。
どうやら13年前のmixiを7年前(いまから5年前)に読み返し、たぶんFB に投稿するためにメモっていたらしい。
ささやかな願望はいつか叶うのか。
カウンターの中と外で景色は変わったけと…
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狭間美保plus featuring大西順子のステージの合間、暇をもて余して7年前何を考えていたのかmixiに書いた日記を読んでみた。何気に自分の書いたものを読むのが好きな自己チュー(笑)
かみさんの実家のお施餓鬼からの上野科学博物館からのJZ Brat。週末は忙しい。しかし生きてる。
2010月7月20日の日記
近くに寄ったのでいきつけの喫茶店「大坊」にいった。小さなの器にゆっくりと丁寧に淹れられたデミタスのモカは、ビロードのような滑らかさとしっかりとしたコクが優雅にワルツを踊っているようでいつものように本当にうまい。
大坊のこじんまりとした店内の空間が好きなのだが、今日は結婚式帰りの30代くらいの男が4人、ビールを注文して大声で話している。確かに夜はビールも出すが喫茶店で夕方近くとはいえビールを頼むなのど無粋にもほどがある。
ふと見ると、カウンターにはラコステのポロシャツを着てしゃきっと背筋を伸ばした初老の男(おっちゃんと呼ぼう)と30代くらいのけだるい雰囲気の髪の長い女が座っていた。女のほうは編集で鍛えられましたといった編集者のような風情でおっちゃんとは少しアンバランスに見えた。声の良く通る人で、のんびり珈琲でもと思って入ったのにあてが外れて少しがっかりした。
しかし、聞くとはなしに聞こえてきたこのおっちゃんの話が面白い。相槌を打つだけの女性に対してややひとり語りのような雰囲気でしゃべっている。
「最近ではねえコルトレーンが好きでね、コルトレーン知ってますか?私はラジオでサックスをやってた息子が死んで坊さんを呼ぶ金がないからコルトレーンを聴かせたって話を聞いててからね聴き始めたんですよ」ちなみにコルトレーンは1967年没だ。ブルーノートやエイベックスのビルの場所の話をしているところをみると近所に長く住んでいるみたいだが岡山の出身らしくしゃべりは田舎のおっちゃんだ。話は飛ぶ。
「ある有名なレーサーがね。グライダーの事故で半身不随になったですよ。復帰したいが日本では前例がなくて駄目と言われてね、海外のレースで実績を積んで凱旋したんですよ」
「グライダーはね、ドイツがなんといってもダントツでいまだにどの国も勝てないらしいね。」「この前テレビで紅の豚やっとったでしょ。宮崎駿はようしっとるね。あの変な位置にあるエンジンは最初は大笑いされたらしいけど、調べてみると飛行性能がええってことがわかってね」
「コルトレーンが新しいんですか?」「飛ばない豚はただの豚って当たり前ですよね」と相槌の他はわずかしか返さない女編集者?相手に次から次へといろんな話を繰り出す。田舎くさいしゃべりとはアンバランスにコルトレーンから宮崎駿まで、古い話から新しい話まで幅広い。
最初うとましく思っていた結婚式帰りの男たちもおっちゃんの話にあてられたのか早々に退散していた。私といえば手元の本はただ持っているだけになった。夕暮れも近くなりカウンターに差し込む日差しも和らいできた。気づけば店内にはその二人と私だけ。あまり人の話ばかり聞いているのも気が引けて店を出た。
なーんか自分の将来(願望?)を見るようで可笑しかった。
古びた喫茶店で時間を気にするでもなく若い女相手に気分良く終わりのない話をえんえんとしている。珈琲はもうとうになくなっている。もしかすると女は適当に相槌を打つだけで何も聞いちゃいないかも知れない。ちょっと哀しいけどちょっと微笑ましい。
そんな人生も悪くない・・・