MARCHING bldg.オーナー マツキさんインタビュー

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note第8回は、MARCHING bldg.のオーナー、マツキさんへのインタビューをお届けします。
建物の歴史や、リノベーションまちづくりに協力しようと思われた意外なきっかけなどを聞いてまいりました。


まずは、ビルの歴史について教えてください。

『あの建物は、昭和30年代中盤に私の祖父母と両親が建てたもので、当時は3階建てでした。
当初は「まつき陶器店」を営んでいて、昭和50年代に入ってから、商品を保管する倉庫のスペースを増やすために、3階建てビルの後ろ側に5階建てのビルを建てる形で増築しました。店舗と住居が複合した建物だったので、1階が店舗、2階と3階の前半分が倉庫で、あとは家族が生活する空間でした。

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(昭和39年当時の外観)

「まつき陶器店」から、「バラエティ雑貨まつき」になったのはいつ頃ですか?

『平成2~3年頃だったと思います。時代が変化するにつれて、地元にもホームセンターができはじめ、(量産型の食器が流通するようになると、)陶器の需要が低下したので、扱う商品を増やしたんです。陶器のほかに、さまざまな生活雑貨や文房具なども扱うようになって、”バラエティ雑貨”と名前も変えました。』

マツキさん(幼少)-

(まつき陶器店の前に立つ少年時代のマツキさん)

ご両親が2017年に他界されて、空き家になったと伺いました。

『私は既に実家を出て、他の場所に家を構えていて、ビルには両親だけが住んでいました。建物は人が住んでいないとすぐに古くなってしまいますし、(固定資産税などの)税金もかかります。どうしようかなと思いました。
ビルがあるのは商店街の一角なので、1階部分はテナントとして貸し出せるとして、住居部分は…正直借り手を見つけるのは難しいかもしれないなと思っていました。そんなとき、駅前組合(新鳥取駅前地区商店街振興組合)からアーケード代の請求が来て…、アーケード代というものがあることを知らなかったので、おどろきました。駅前組合の人と話したのをきっかけにリノベーションのことを知り、調べてみると、鳥取市が「リノベーションまちづくり」に取り組んでいたので、このビルを使ってもらって、面白いことができないかと。』

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(店先に立つマツキさんのお母さま)

それで、鳥取市のリノベーションまちづくりに協力することにしたんですね。

『リノベーションまちづくりに物件を使ってもらいたいということで、鳥取市に相談したのは、2018年の5月頃でした。でも、正直に言えば、どうなるかは分からないとも思っていました。1階の元々店舗だった部分はともかく、住居部分は幅も狭く、日当たりがよい所ではなかったので。かといって、建物を解体して更地にするとなると、かなりの費用がかかりますし、市に無償で寄付することも考えましたが、相続人がいる場合は行政も受け取らないんですね。』

3階に屋上があったり、家の中にエレベーターがあったりと、お家としては非常に個性的な建物だと思うのですが、マツキさんは、ご実家のビルはどんな建物だと思いますか?

『住みにくい家だと思っていましたね。私は早く出たかったです。一戸建てで、庭のある陽当たりのよい家が理想だったので。私は5階に住んでいたんですが、夏は暑いし、暗いしで…エレベーターは、主に店舗と倉庫間で陶器を運搬するためのものでした。』


(※インタビューで伺ったマツキさんのお宅は、マツキさんの理想どおりの、明るく開放的で素敵なお家でした)

『自分も若い頃ずっと過ごした家ですし、子どもがおじいちゃんおばあちゃんに会いに行く時に訪れたりして、思い入れのある家ですが、基本的には、住みにくい家という印象でした。』

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(アルバムには、お店の前でご家族やご友人と撮影された写真が多く残されていました)

そうだったんですね(笑)そう思われていたなかで、リノベーションまちづくりの対象物件となって、シェアハウスにするという提案を受けたときはいかがでしたか?

『考えが変わったのは、2018年の8月に、あのビルを会場に行われたイベント(空き家会議vol.2「学」)で、齋藤さんの活用案プレゼンを聞いたときでした。若い人たちで改装しても住みにくかろうと思っていましたが、都会から田舎に移住した人など、自分たちとは異なる感覚の人たちが、この建物を「面白い」、「住んでみたい」と言っているのを知って、まるにわにお任せしようと決めました。』


空き家会議

(画像は鳥取市ホームページ 空き家会議vol.2「学」より)

いろいろとお話ししていただき、ありがとうございました。最後に、マツキさんがMARCHING bldg.に望むことは何ですか?

『そうですね…、私は、鳥取駅周辺のまちは、田舎すぎず、都会すぎず、過ごしやすい良いまちだと思っているので、まちなかがもっと活性化してほしいと思っています。MARCHING bldg.を拠点に、まちなかの別の物件をリノベーションする動きが広がったり、外から来る人への発信地となってくれればいいなと思います。』


マツキさん、インタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
MARCHING bldg.は、建物の外観はあまり変わらず、2階ベランダにいる信楽焼の大きなたぬきもトレードマークとして残ります。歴史ある建物の元の良さを残しつつ、現代的に変えていくことで、新たな住人や利用者を見つけて次の世代に引き継いでいくのが、リノベーションの良いところだと改めて実感しました。

さいご


次回は、いよいよ完成!MARCHING bldg.シェアハウスのオープニングセレモニーの様子をレポートしたいと思います!お楽しみに。


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