単独親権・共同親権に共通して思うこと
本題に行く前に、まず皆さんにお礼を言いたいです。
まだ使い方もよく分かっていないNoteを始めたばかりですが、多くの方に読んでいただき、スキを押していただいたり、素敵なコメントをして下さったり、サポートをして下さったり、本当に本当に有難うございます。
自分が国際離婚になった時、自分が探している情報がなかなか見つからなかった為、私の経験が少しでも誰かの役に立てばと始めたNoteですが、それ以上に私が沢山の元気と勇気をもらっています。
拙い私の文章を読んで下さって、本当に有難うございます!
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私の離婚裁判の一番の焦点は「子供と一緒に日本に帰れるか」だった。
元旦那から離婚を切り出された時、元旦那は私が子供と一緒に日本に帰るのを同意してくれていた。
別居する時に元旦那と一緒に作成した同意書にも「離婚になった場合、私は子供と一緒に日本に帰る事とする」ときちんと記載されていた(別居する時は、離婚は切り出されていたものの、私が同意しなかった為にまだ確定では無かった。その後元旦那の弁護士から手紙が来るわけだが・・・)。
だけど、元旦那が弁護士を雇った瞬間から、彼は意見を180度変え、子供を連れて日本に帰るのは許さない。帰るなら1人で帰れ!と言って来たのだ。
その時の私はどうしても日本に帰りたかったので、まるでこの世の終わりのような気持ちで絶望感でいっぱいだった。
ハーグ条約があるので、私が子供を日本に連れて帰れる手段は2つしかなかった。
1)元旦那から同意を得る
2)裁判で子供との日本帰国を勝ち取る
ここで問題になっている子供を連れ去るという選択肢を取る人もいるが、私にはその選択肢は無かった。
元旦那からの同意が得れない状況で、私に残された手段は「裁判で子供との日本帰国を勝ち取る」しかなかった。
ベルギーでの離婚裁判の判断基準は「子供の幸せ」だ。
親の都合などは一切考慮されない。全て「何が子供にとってベストか?」という基準で判断される。
なので私は、「子供にとって、日本で住む事の方がベルギーで住むより利益がある」という事を証明しなければいけなかったのだ。
裁判で勝つ為に、私は死ぬ物狂いで準備した。
裁判で重要なのは「証拠」だ。
いくら口頭で日本の方がいいですと言っていても説得力がない。それを証明する証拠が必要なのだ。
だから私は、日本の方が就職先の幅が広がるという事を証明する為に、ベルギーにいながら転職活動を行った。そして、ポジティブな返事が来た会社の情報を裁判所に提出した。
元旦那が家を出てから私が1人で育児をしていたので、その証言を友人達に書いてもらったりもした。
元旦那の意見がコロコロと変わっていたので、私の行動の妥当性を証明する為に、元旦那とのメールのやりとりも全て提出した。
自分の出来る事は全てした。そして、大量の書類を裁判所に提出したのだ。
準備してる間も不安で、いくつもの「国境を超えた子供の移転」に関する裁判事例を読んだ。
裁判官からOKをもらう事が難しいのも分かっていた。
だからこそ最善を尽くしたのだ。
そして元旦那が提出した書類の量を見て、ビックリした。
当然彼も、子供と離れたくないから相当の準備をしてくると思っていた。
しかし、彼が提出した書類の量は本当に少なく、その内容は「子供は父親に会う権利がある。だからベルギーに残って、父親といつでも会える環境にいるのが子供にとって一番」というような事を色々な言い方で書いてあるだけだった。
上記に彼の意見がコロコロ変わったという話を書いたが、もちろん私は裁判所に、彼と一緒に作った同意書も提出した。離婚する際には私は子供と一緒に日本に帰国する事が出来ると書かれた同意書だ。もちろん彼のサインもしてある。
正直、彼の準備不足と私の用意周到さを比べて、もしかしたら日本に帰れるかもしれないという淡い期待もあった。
だけど、裁判官からの答えは「NO」だった。
判決文にはこう書いてあった。
「家族もいないベルギーで、子育てのほとんどをしている私の置かれた状況を考えると、本当に大変だと思う。元旦那は意見をコロコロ変え、精神的にまだ未熟だ。しかし、フランス語をまだ完璧に習得していない子供達が日本に帰ると、父親とのコミュニケーションが難しくなる。よって、子供達にとってはベルギーにいる方がいい」
要約するとこんな感じだ。
この結果を見て愕然とした。
裁判官は私の状況の大変さも、彼の身勝手さも、全て理解していた。
私の弁護士によると、裁判官が「未熟」と個人の事を言うのは極めて特殊な事らしい。
だけど、どんなに準備しても「父親に会う権利」一言で片付けられてしまう。
私はこの判決文を読んで、「子供達が父親と会い続けれるように、お前が頑張ってベルギーで育児しろよ」と言われてるように感じた。
単独親権・共同親権の話を聞いていて共通して思うのが、その根底にある考えを覆すのはかなり難しいという事である。
例えば、単独親権の日本では、子供は片親の家で安定して暮らすのがいいとされていて、母親に大きな問題が無ければ、母親が親権を持つ事が多いと思う。
あるホームページでは以下のように書かれていた。
"子供が乳幼児の場合には、母親と一緒に生活するほうが保育のうえで自然であると考えられているため、8割以上は母親が親権者となっています。"
この考えが前提にあると、どんなに子煩悩な父親でも、母親に問題が無い限り親権を取るのは難しいと思う。
反対に、共同親権の国では、「子供は両親ともに会う事が幸せ」という考えが前提にある。その結果、私のように元旦那が最初に日本帰国を同意していてその証拠を提出しても、彼が精神的に未熟でも、やっぱり子供はベルギーに残って父親の側で生活するのが幸せとなるのだ。
ちなみに私は、日本に帰っても、子供の長期休みには父親に会わせる為に必ず子供達をベルギーに連れてくると裁判官に言っていた。
なぜなら、共同親権の国では、日本のように父親との面会は月1回とかは考えられないのだ。もしベルギーで、子供を全然父親に会わせていない母親がいたら(子供へのDVやアル中などを除く)、その母親の神経が疑う人がほとんどだと思う。
だけど反対に、単独親権の日本では、子供が両親の家を行ったり来たりしながら生活するなんて、考えられないのだ。
私の子供達が長期間父親のところに行っていると「母親とそんなに長く会えないなんて子供達が可哀想」と日本人の友達は言う。
ベルギー人の友達は「母親も息抜きが必要。子供がいない時に自分の好きな事をしないと!」と言う。
私の周りでも、日本人とベルギー人の友達で言う事が全く違うので興味深い。
こんなにも「何が子供にとって幸せか?」に対する考えが違うベルギーと日本だが、私たちは同じ人間で、同じ両親で、同じ子供なのだ。別に、ベルギー人と日本人で子供の構造が違う訳でもない。
私たちは一緒なのだ。
違うのは考えだけ。
1つの国でいいとされている事が、もう片方の国では問題視される。
同じ親子関係の話をしているのに。
私が同じ状況で日本で離婚裁判していれば、その結果は大きく変わっていたと思う。
それもすごくおかしな話だ。
だけど、裁判をして裁判官に判断を委ねると、やはりこの前提にある考え方を基準に物事が判断される。
私は、私たちの状況を文章でしか知らない裁判官が、私たちの未来に関わる事を決める事自体おかしいと思う。
だからこそ、やはり一番大切なのは、自分の子供達の事をよく知っている両親が、離婚してからも「何が自分の子供達にとってベストか」をきちんと話し合える関係性を作る事だと思う。
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