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「べらぼう」第4話感想

今週も良かったですね!!蔦重の曇らせ、不穏な田沼周り、そして唐丸の才能の覚醒などなど。
見どころまみれなので、順を追って解説していきます。


あらすじ・感想


「一目千本」で吉原の客を取り戻した蔦重。育ての父・駿河屋との関係もちょっと好転しました。
次は、錦絵を出したい模様。女郎からの入銀(クラファン)にも限界があります。

鱗形屋の旦那に知恵を借りに行くものの、「女郎に入銀させるしかないね」とのこと。渋い…
蔦重の躍進を褒めつつも、「俺に一言ほしかったなあ」と笑いながら牽制したり、蔦重が去った後の本音が垣間見える表情が怖い。これから蔦重とぶつかることが不可避ですね。

平賀源内とのやりとりから、「女郎に呉服屋が売りたい着物を着させる」ことをひらめく蔦重。
「一目千本」で天職を見つけたのをきっかけに蔦重は冴えまくり。
しかし、呉服屋に話を振ってみても反応は今一つ。

蔦重は駿河屋パパに「呉服やが乗ってくれねえんです」と愚痴をこぼします。
駿河屋は、「お前さんに名がないからでねえの?」と回答。
よく分からない出版社から話を持ち込まれても「一旦持ち帰ります~」としか言えないのは一理あるっちゃあります。前例主義というか、実績主義というか。蔦重もまだまだ若い。

そんなところに助け船を出してくれたのが西村屋与八。西村屋と組んだことで信用を得て、企画は伸びていきます。
美人画を手がけていた礒田湖龍斉に、画を描いてもらえることになるのです。
しかし、西村屋は「ここまで化けるとは思っていなかった」。

危機感を感じた鱗形屋と西村屋は蔦重(平賀源内から「耕書堂」という版元としての名をもらう)をこの企画から締め出します。
考えたのも、走ったのも、全部俺。それなのに…と悔し涙を流す蔦重。

「何が吉原のためだよ…」と歯を食いしばります。演じる横浜流星さんの感情表現がすごい。画面越しでもひしひしと伝わってきます。
「吉原のため」と言われたら引き下がるしかない。

先日の「土曜スタジオパーク」に横浜流星さんが出演されていて、気になることを仰っていました。

「自分(蔦重本人)も忘八だから…」

たしかに、蔦重は「苦海」吉原をどうにかしたくて細見を作ったり、「一目千本」のプロモーションを行ったりしてきた。しかし歴史を見れば、蔦重の活動によって遊女たちの労働条件が改善されたわけではない。

今回のことで、「まっすぐさや正義感ではどうにもならない大人の世界がある」と知ってしまった蔦重。もしかして彼も、様々なアーティストたちをプロデュースしていくうちに利益を追い求める「忘八」になってしまうのか?

私は、曇りなき眼の少年が姉の結婚をきっかけに政治争いに巻き込まれて闇堕ちしていった様をこの目に焼き付けていますから…(某鎌倉殿のせい)
戦描写がない分、このあたりの心境の変化を丁寧に描いてくれると期待しています。

一方江戸城では田安治察の急逝を受けて、賢丸が田安家に戻りたいと訴え、大奥や将軍本人も同意見の模様。
しかし、田沼は渋ります。というのは、すでに「御三家」があるのに、「御三卿」を維持するのは金の無駄ではないかと。

意外と大局が見えている…ただ、あまりにも直球過ぎるというか、軋轢を恐れなさすぎるというか。

ここで田沼は一計を案じます。吉宗が残した文書に小細工をするのです。
「田安の家に跡継ぎが不在となったときは、そのまま田安家を廃絶させる」という文言を付け加えます。

「もし賢丸様がこれをご覧になっていたら気づかれてしまうのではないか」と心配する家臣にたいして、
「私がこれを取り出したとき、この本は厚く埃をかぶっていた。吉宗公、吉宗公と皆崇めるが、結局文書には目を通していない」と痛いところを突きます
(「大奥」を見ていた人間としては、冨永愛さんの吉宗が脳裏にチラつくうえに今回冨永さんは大奥取締役を演じていらっしゃるので「吉宗公…いるけど…」という気持ちになります)
幕府の権威が少しずつ有名無実化しているともいえましょうか。

もしかして、田沼たちの時代にはすでに幕末のプロローグが始まっていた…?なんて、歴史オタクの深読みかもしれませんが。

実際にやったのは…なんと平賀源内。古文書の字体の癖を掴んでその通りに書き、質感もなじませたとのこと。あんた何でもできるな。普通に現代のミステリものでも活躍できそう。よしながふみさんの「大奥」でも、平賀源内と田沼意次の関係性はしっかりと描かれていましたが、「べらぼう」でも平賀源内は田沼と深いつながり(なんなら仕事人してる)があるように描かれています。

これからの展開を思うと暗澹たる気持ちになります(ネタバレ的な意味で)。

そして田沼にとっては幸運なことに、賢丸はまだ吉宗の文書に目を通していなかったので完全犯罪が成立します。
「敬愛する吉宗公のお気持ちをないがしろにされてでも、田安の家にお戻りになりたいのならそれで結構。あとは賢丸様のお気持ち次第」と選択を迫ります。

血縁的にも吉宗の孫にあたり、吉宗を尊敬する賢丸に、どうしてそんなことができようか。賢丸は、田沼より先に文書を見ていなかった時点でこの勝負に負けていたのです。

賢丸は泣く泣く田安家への復帰を諦めます。
しかし、強い恨みが残りました。
「おのれ、田沼…足軽あがりになにゆえここまで愚弄されねばならぬのか」
この賢丸、蔦重の人生に大きく関わってきます。ワクワクですね!

では感想はここまで。
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