
2025年のベガルタ仙台を考えてみました
昨年のシーズンプレビュー
はじめに
昨年は決して高くは無い下馬評の中、リーグ戦6位で昇格POへ進出しJ1昇格まであと一歩に迫る決勝での敗退と悔しくも充実したシーズンを過ごした仙台。成績が予想以上に良かったのは喜ばしい事ですが、それ以上に大事なものを掴めた・取り戻せたようなそんな感覚さえ残っている今現在です。
その立役者は勿論ハードワークした選手達ではあるんですが、何と言ってもクラブ全体のモヤモヤ感を吹き飛ばしてポジティブエネルギーを注入し続けた森山監督でしょう。
サッカー的には仙台が忘れかけていた『ハードワーク』や『泥臭く』といった部分が森山監督の指導スタイルとマッチし、見事に再生する事が出来ました。理詰めのポジション取りやボール回しも良いんですが、やはり仙台サポーターが熱くなるのはこれです。毎試合『ぶっ倒れるまで走り切る』選手達の頑張りに1年間奮い立たされました。
今季はこの強度と熱さ・テンションを維持した上で攻撃のクオリティを上げられるかがポイントになります。
サポーターや地域との関係性も劇的に改善しました。
上記したスタイルに生まれ変わり選手達がしっかり実行したのも大きかったですが、何より森山監督のほとばしる情熱に皆さん何度心揺さぶられたでしょうか。アウェイ清水戦のゲーム後のミーティングは昨季のハイライトと言って良いでしょう。
あの辺りから「この監督は本物だ」「こんなに熱心にやってくれる監督はそうそういない」「この監督を漢にしたい」と思いながら応援するサポーターが続出。お互いをリスペクトし、高め合う理想的な関係性を築き上げた結果、プレーオフのあの応援に繋がったわけです。
今季更に良い成績を残すために、サッカー的にもですが我々も昨年以上の熱さでチームを後押ししていく必要がありますね。
森山監督はアカデミーへの練習参加や地域連携活動にも積極的で、マスコミも上手く引き付ける事によりある程度県全体に『最近のベガルタ、めちゃくちゃ頑張ってるな』とポジティブな印象を持ってもらえるようになったのではないでしょうか。
そういった様子を映し出した公式Youtubeの『広報カメラ』の役割は非常に大きく、毎回編集等大変かと思いますがチームの現状を知る上で我々もかなり助かっています。本当にありがとうございます。
前置きが長くなりましたが、何とかこの良い流れを継続するためにも今季も若い選手を成長させながら勝ち点を稼ぐ事が出来るのか、目標は『昨年以上』『プレーオフホーム開催』で良いと思います。戦いながら成長し、J1でも十分やれそうなゲーム内容を披露し続けられれば『昇格』にシフトする事でしょう。
各ポジション考察
各セクションの入れ替わりを見ていきます
首脳陣
監督 森山(継続)
ヘッドコーチ 片渕(継続)
コーチ 今野(継続)
西(継続)
GKコーチ 植田(継続)
フィジカルコーチ 村岡(継続)
アナリスト兼コーチ 出口(継続)
アナリスト 西口(新任)
何と全員継続(苦笑)皆さん、ゴリさん大好きなんですねぇ。でも、めっちゃ嬉しいですよね。本当に充実した仕事が昨年出来た、そしてまたここで仕事がしたいと感じているのでしょう。
アナリストの方が1人増員となりました。よりしっかり分析をしてゲームに臨みたいといったところでしょうか。
スタッフがほぼ変わらない分、馴れ合いやマンネリ化は避けたいですよね。その辺りのマネジメントはしっかりお願いしたいです。
選手編成

GK
林 小畑 松澤 梅田→林 堀田 梅田 松澤
昨年は4人共残留となりましたが、今季は小畑がついに仙台を離れて福岡へ。代わりにやってきたのは小畑と同じく仙台ユース出身、小畑の7学年先輩の堀田でした。実績的には小畑より上ですので、より林を脅かせる存在として白羽の矢が立ったのでしょう。
GKは息の長いポジションではありますが、そろそろ林からポジションを奪う選手が出てきてほしいですよね。
右SB
真瀬 髙田→2人共残留
※石尾、奥山、實藤もプレー可能
J2屈指、いや国内屈指のハイレベルなポジション争いが今季も展開されます。昨年は序盤は真瀬が怪我がちで新加入の髙田がレギュラーに。髙田がそこで存在感を見せ、真瀬の立場が危うくなりました。
真瀬が復帰後は髙田が左に回るケースもありましたが、程なくして今度は髙田が長期離脱。後半戦は真瀬が右サイドを完全に制圧し、仙台にとって大事な攻撃オプションの1つとして輝きを見せました。
さて今季はどちらがレギュラーでスタートするのか。キャンプ中の2人の動きに注目です。
左SB
奥山 石尾 内田→石尾 奥山 石井
※髙田もプレー可能
昨年は石尾と内田でスタート。内田のコンディションが不安定だった事でルーキーの石尾が開幕からレギュラーとして起用されました。石尾はサイズとスピード、テクニックを兼ね備えており、すぐにレギュラーに定着。今季はCBでも面白いのではないかと言われており、その起用法に注目が集まります。
昨年の話に戻ると、その石尾が怪我で途中離脱となり、無理矢理回した髙田も離脱で一転ピンチになりましたが、ここで町田から奥山を獲得!安定した守備力ですぐにレギュラーに定着し、最後まで駆け抜けました。奥山の存在が石尾CB説を後押ししているのもありますね。
純粋なレフティの内田が退団となり、同じようなタイプで若い石井を水戸から獲得。昨年と似たようなラインナップとなりました。
CB
菅田 小出 實藤 モラエス→菅田 モラエス 井上 實藤
※石尾もプレー可能
ほぼほぼ菅田ー小出のコンビでフルシーズン乗り切ったわけですが、その小出が甲府へ移籍。代わりにやってきたのが無限の可能性を感じさせる大器とも言える若武者の井上です。森山監督からすれば『鍛え甲斐のある選手』ではないでしょうか。仙台としては彼を一本立ちさせる事が出来れば『城壁仙台』を築けるものと思われます。
マテウスは昨年怪我に苦しんで数試合クローザー起用で出場したのみでした。『助っ人』ですから本来は彼が活躍するべきでしょう。今季はコンディションを整えて争いに割って入ってきてほしいです。
何気に『ありそう』なのが石尾のCB起用です。サイズとスピード、何よりあのビルドアップ能力を考えると小出の代わりとして起用したくなります。タイプ的に菅田の相方として合いそうなので、キャンプで試される可能性は十分あるでしょう。
CH
工藤蒼 鎌田 松井 松下 工藤真→工藤 鎌田 松井 武田 湯谷 横山
昨年は長澤中心にスタートした中で蒼生が大成長。途中で加入した蓮之も持ち前のボール奪取力でレギュラーを掴むと、長澤移籍後は鎌田が定着。終盤は蒼生が奪い返す等色々な選手が成長して自身の地位を確立したポジションでした。
佳貴と真人が抜けましたが、ルーキーの2人と何と言っても武田が加入。武田の起用ポジションはもう1列前かと思いましたが、報道ではとりあえず最初はボランチメインで考えているようで鎌田との争いになるでしょうか。彼に関してはセットプレーのキッカーとして大きな期待がかかるので、守備のところや流れの中での動きをどう落とし込んでいくのか、ここが水準に達すれば優先して起用されるものと思われます。
守備的なところでは蒼生と蓮之、ゲームメイカーとして武田と鎌田が1枠ずつ争うでしょうね。そこにテクニカルなルーキー2人が力を付けて脅かす事が出来るのか。ボランチの争いも非常に楽しみです。純粋な実力もそうですが、組み合わせの相性等をキャンプで見ていく事になるでしょう。
右SH
有田 オナイウ→有田 オナイウ 南
※荒木、西丸もプレー可能
(郷家らは敢えて人数に含めず、スピードやテクニックでサイドからアタック出来るウィンガー系の選手を挙げています)
昨年は序盤に情滋がアピールに成功してレギュラーで起用されました。夏場は有田がそのスピードを活かしたプレッシングでチームに勢いをもたらし、彼が離脱後は郷家が真瀬とのコンビで攻撃の一翼を担った形。今季はそこに逆足カットインで仕掛けられる高卒ルーキー南が加入しました。有田や情滋がその圧倒的なスピードでチームに勢いを生み出してほしいですね。
左SH
相良 名願→2人共残留
※荒木もプレー可能
(郷家らは敢えて人数に含めず、スピードやテクニックでサイドからアタック出来るウィンガー系の選手を挙げています)
昨年と変わらず相良が軸、名願がスーパーサブといったところでしょうか。相良は元彦が抜けた事でチームの顔的役割が求められるでしょう。カットインシュートに加えて縦突破からの左クロスや味方を使いながらの突破とバリエーションを増やしていきたいところです。
OH
中島 郷家 遠藤 西丸→郷家 荒木 西丸 安野
※武田もプレー可能
(SHをウィンガータイプにしたのに対し、こちらはトップ下・セカンドトップ系の選手を挙げています)
大黒柱だった元彦がレンタルでセレッソに帰ってしまい、この攻撃の軸をどうやって補っていくかが最大のテーマです。期待がかかるのは荒木でしょうか。元彦のような『万能型』で負けん気も強そうなプレースタイル。森山監督が上手く火を付ければ中心選手に成り得る存在と見ています。年齢も来年の10月で26歳ですからまだまだ若いです。
勿論郷家にはもう1度二桁取るような活躍を期待しています。いずれにせよ、私はこういったポジション分けをしましたがSH起用も十分に考えられる2人です。1.5列目或いは2列目から是非仙台を盛り上げていってほしいですね。
FW
エロン 中山 梅木 菅原→エロン グスタボ 梅木 宮崎
※安野もプレー可能
昨年も梅木の途中加入でパワー系が揃っていましたが、今季はより『ガチムチ度』がパワーアップしましたね。この4人から2人チョイスして2トップも考えられますが、基本的には1人と先に書いたOHから1人の組み合わせになるのではないでしょうか。
2人並べるとしたらパワープレーの時でしょうか。宮崎ー梅木ならクロス永遠に放り込んだら1回くらいは何とかなりそうですよね。陣地回復の際もとりあえず長いボール収めてくれそうな期待があります。
昨年終盤に少しずつ得点力を見せてくれたエロンが本格的に爆発となると非常に心強いし、上位が見えてきます。このポジションも組み合わせが肝になりますから、キャンプでの動きに注目です。
総評
主なOUTは首脳陣を含めても小出と元彦のみ。小出は少し年齢構成を若くしたい思惑、元彦はレンタル返却と流出は最小限に抑えられたと言って良いでしょう。求められるのは獲得した若い選手達を一本立ちさせる事かと思います。
今季のトピックとしては主に2つ。まずは在籍選手を2人増やした事です。これは今季からベンチ入り人数が2人増える事が大きいと思われます。
もう1つはレンタル加入の選手が5人から1人に減った事です。元彦のように所有権の問題で引き止められない事象が発生しないよう、そして自前で育てていくスタイルを考えた時にどこかで必要な措置だったので、それがこのタイミングだったという事でしょう。
チームの目標としては景気良く自動昇格と言いたいところですが、冷静に各チームの動きを見ていれば森山監督が仰る『昨年を上回る』『POホーム開催』が如何に適切で、これでもやや高めの目標であるか分かるかと思います。昨年のような強度と切替の速さを維持しながら、得点力を上げていく作業は非常に困難を極めますが、そこは我々も含めて全力でサポートしていきましょう!