見出し画像

2024年のイーグルスを振り返る(リリーフ陣編)


はじめに

楽天イーグルスの2024シーズンの戦いが終わって随分と時間が経ってしまいました。ベガルタ仙台の熱い戦いに集中していてなかなかシーズンレビューを書く事が出来ず、ズルズルとここまで来てしまいましたね。
通常の試合評のようにリリーフ陣・先発陣・野手陣に分けて書いていきます。

リリーフ投手陣成績

リリーフ投手として登板した時の成績をまとめました。登板試合数順です。
これを見ながら読んでいただけると、何となく全体像が見えてくると思います。

 則本 54試合52回57安打11四球44奪三振2HR20自責点
    球数859球 WHIP1.25 防御率3.46 3勝4H32S4敗
渡辺翔 49試合47.1回42安打22四球41奪三振2HR16自責点
    球数793球 WHIP1.27 防御率3.04 7勝12H2敗
鈴木翔 49試合48.2回24安打21四球48奪三振9自責点
    球数769球 WHIP0.92 防御率1.66 2勝24H1S
 酒居 49試合46.1回35安打15四球29奪三振12自責点
    球数769球 WHIP1.04 防御率2.33 2勝26H2敗
 藤平 47試合46.1回29安打12四球58奪三振4HR9自責点
    球数689球 WHIP0.84 防御率1.75 20H1S1敗
  宋 41試合39.2回41安打7四球22奪三振3HR14自責点
    球数569球 WHIP1.13 防御率3.18 1勝17H2敗

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 弓削 34試合33.1回42安打9四球28奪三振1HR22自責点
    球数554球 WHIP1.53 防御率5.94 2勝1H
 西垣 18試合18回28安打12四球13奪三振2HR15自責点
    球数356球 WHIP2.22 防御率7.50 1勝1S2敗
 ターリー 17試合15.1回15安打12四球13奪三振2HR5自責点
    球数280球 WHIP1.76 防御率2.93 2H1S1敗
 吉川 13試合20回32安打8四球17奪三振2HR12自責点
    球数348球 WHIP2.00 防御率5.40
津留崎 12試合17.2回24安打4四球9奪三振11自責点
    球数310球 WHIP1.58 防御率5.60 1勝
 宮森 9試合9回5安打2四球5奪三振1自責点
    球数132球 WHIP0.78 防御率1.00
 櫻井 8試合10.2回11安打8四球9奪三振10自責点
    球数195球 WHIP1.78 防御率8.44
 松田 6試合11回11安打8四球6奪三振2HR5自責点
    球数176球 WHIP1.73 防御率3.60
伊藤茉 6試合5.2回7安打4四球6奪三振5自責点
    球数108球 WHIP1.94 防御率7.94
 松井 4試合13.2回19安打7四球5奪三振1HR9自責点
    球数270球 WHIP1.90 防御率5.93
 高田 4試合8.1回7安打2四球3奪三振1HR2自責点
    球数123球 WHIP1.08 防御率2.16
ポンセ 3試合2.1回2安打2四球2奪三振1自責点
    球数59球 WHIP1.71 防御率3.86
 清宮 3試合3回4安打3四球1奪三振4自責点
    球数55球 WHIP2.33 防御率12.00
 小孫 2試合1回1安打0四球0奪三振0自責点
    球数15球 WHIP1.00 防御率0.00
 坂井 1試合1回1安打2四球0奪三振0自責点
    球数26球 WHIP3.00 防御率0.00
 日當 1試合1回1安打1四球1奪三振0自責点
    球数16球 WHIP1.00 防御率0.00

濃くした選手は所謂『勝ちパ』に該当する投手

クローザー則本は成功か否か

今季のブルペンのトピックとして先ず挙げられるのが則本のクローザー転向でしょう。開幕前から私は全く心配していませんでした。先発投手としての限界を感じていたので、もう一花咲かせるには唯一にして最高の配置転換だろうと、今江監督よくぞ思い付いたなと思っていたものです。
成績としては上記した通り。終盤打ち込まれる試合は多くなってしまったものの(右足を手術した感じから見ても、この怪我が邪魔していたのかなと)セーブ王のタイトルも獲得し、トータルで見れば十分に合格点を付けられるのではないでしょうか。

「則本の抑えはそれとして、その分先発が薄くなってしまったろ」と言いたい方も多数いるのは承知しています。ただ、ここは今江監督と考え方は同じで投手陣は後ろから組み立てていくという方針でしたし『裕樹の穴』を埋めるという至上命題がありましたからね。勘弁してやってください。

※先発がいくら頑張っても、リリーフで打たれて負ければ通常よりもダメージも大きいですよ。則本が打たれて負けた日を思い出してください。あれが何度も起こったら嫌になりますよね?リリーフを盤石にする方を優先させたいのはそういう事なんです。

さて、来季はどうなるでしょう。三木監督がどう考えるか。投手コーチも1軍2軍が入れ替わり、考え方も変わってくるでしょうからね。私は継続派で。選手は機械やゲームではないので、簡単にまた「はい、先発で」って言われても難しいのではないでしょうか。

新顔台頭必須のセットアップマンは大合格

クローザーも大変ですが、私はこのセットアッパーが最も継続活躍が難しいポジションと見ています。ファイターズの宮西等は例外で、基本的にはどの球団を見てもそんな傾向が出てるんですよね。今季のバファローズを御覧なさい、宇田川は?阿部は?山﨑は?小木田は?

イーグルスも当然その傾向が出るとシーズン前から覚悟していました。そうです、渡辺翔太です。特に彼の場合、昨年は交流戦中に初昇格してからの51試合登板でしたからかなりのペースで投げていた事になります。その勤続疲労は確実に来る、私は今季のプレビューでも「アテにしちゃダメ」と警鐘を鳴らしていました。
今季も年間通してよく投げましたが、内容的には満足いかない試合が多かったですよね。役割も8回ではなく6回辺りが多く、変化球の抜け球が多くてカウントを崩す等ヒヤヒヤした登板ばかりでした。今オフはゆっくり休んで、また良いポジションで投げてほしいなと思います。それにしても、相変わらず驚異的な勝ち運ですよね………。

首脳陣は翔太をアテにしようとしましたが、割と早い段階で状態が上がってきてないのを見抜いていたように思います。シーズンの前半は経験者の酒居と宋にセットアッパー役を任せ、翔太の状態改善や新しい選手の出現を待っていたのでしょう。
そんな中で酒居は中盤までホールドのタイトル争いを繰り広げる活躍を見せ、苦しい前半戦のブルペンを支えてくれたなと感じています。交流戦で優勝するまで、何とかギリギリのところで耐えられていたのは決して多くなかった『勝てるゲーム』を則本と共に確実に勝ちゲームに持っていったからだと思います。FA持ちで補償も無しですから優良銘柄ですよね。あ~行かないで~。

継続活躍が難しいポジションである以上、常に新しく台頭してくる選手が求められるのがセットアッパーです。今季のイーグルスには2人の新星が現れましたね。
翔天は昨年も最多登板数と投げてはいましたが純粋なセットアッパーではなく左殺し担当で、次期候補的な立ち位置でした。今季は誰もが認めるセットアップマンとしての地位を築き上げ、ついに代表にも選出。まぁこうなると来季が心配ですね。休みも無いですし。
翔天に関しては昨年より5イニング分多く投げたにも関わらず四球が4つ減っています。そして際立つのは被打率。昨年は.236でしたが今季は何と.149!この『制圧力』こそ今季のブルペンを支えた最大の貢献でしょう。ちなみに投球数も35球減っています。無駄な四球が減り、カウント崩さずさっさと打ち取る事に成功した何よりの証拠です。

もう1人、これも今江監督の『置き土産』と言って良いナイス配置転換でした。藤平です。
これまでずっと先発起用で、横浜高校からのドラ1ですから「エースに育てなきゃ」的な使命感が球団にあったと思うんです。そこを良い意味で打ち破ってくれた今江監督はナイス判断でした。5月~6月にかけて1ヶ月ほど腹斜筋痛で離脱しましたが、復帰後は完全にセットアッパーに定着。翔天と則本と共に鉄壁の勝ちパターンを創り上げました。
藤平に関しては配置転換により、大幅に制球力が改善しました。ゾーン内に力強い直球を投げて抑え込む投球が出来るようになったんですね。被打率こそ翔天の方が上ですが、彼より2イニング少ないだけなのに四球は9個、投球数に至っては80球も少ないんです。WHIPも0.08上回っており、こちらも代表選出は当然、最終盤までCS争いをしてられたのも彼のおかげでしょう。いつも自主トレを共にしている『師匠』岸さん同様、被弾癖が若干あるので、そこだけ改善したいですね。

課題は火消しと塞き止め役

勝てる試合を確実に勝利するという事は出来ていたと思います。6回終了時にリードしている時の勝率がめちゃくちゃ良いらしくて(具体的な数字出せなくてすみません)、12球団でもトップクラスらしいんですよ。
そうなると課題は『負けゲームを勝ちに持っていく』力強さかなと。これは打線の絡みも当然あるんですけど、先発がダメだった時に2番手以降が踏ん張って逆転を待つみたいな事が出来るチームって強いじゃないですか。そこだと思うんです。
成績の項目で横線と太字を敢えて使って2グループに分けましたけども、ここの実力差が非常に大きいなと思いませんか?この間に入ってくるような投手が数人いれば、先に述べた『先発が崩れた時に相手の流れを止めて逆転を待つ』みたいなゲームが出来ると思うんです。これが私の言葉で言うところの『塞き止め役』です。

火消し役は広く使われている意味そのままですね。ピンチの時にワンポイント的に出てくる選手です。今季は翔天がセットアッパーになった事で左殺し的な選手がいませんでした。ターリーや弓削が微妙でしたからね。
また、右の強打者にサイドスロー的に投げて三振を奪える投手も欲しいところです。茉央にその役を担わせたいですが現状は……。サイドスローでなくても、一昔前でいうサブちゃんみたいなね、あんな投手が欲しいですよ。

この辺りが出て来れなかったので、5月のホークス戦みたいな21-0だの12-0だのあんなゲームが続いてしまうんです。チーム防御率が悪く見えるのもこういった試合が比較的多かったからだと見ています。全体の質が悪いのではなくて、ボトム勢がほんとのボトムすぎて足を引っ張ったという事でしょう。
まぁそれは極端として、先発が崩れてもこう3点差くらいには留めておけるようなね、そんなブルペン陣が出来上がるとかなり盤石なものになりますよね。いずれにせよ、まだまだ底上げが必要という事です。

総評

裕樹とパワハラ野郎が抜けた穴をどうするのかというところからスタートしたブルペン陣でしたが、則本と藤平の配置転換と酒居・翔天の頑張りで良いグループを作れたのではないでしょうか。私はこうやってリリーフ・先発・野手に分けて書く事が多いですけども、この3セクションの中で一番上手くいったとすら思っています。ピンチをチャンスに変えて、ある程度強いグループを作った投手コーチ2人は良い仕事をしたと言って良いでしょう。

来季ですが、個人的に期待しているのが西口です。2年前は8回の男として抜群の制圧力を誇っていた彼が怪我を治して復帰してきます。翔天と藤平の連続活躍が保証されない中、彼の出来がブルペン事情を左右すると言っても良いかもしれません。
それと今季終盤にプレッシャーがかからない場面だったとはいえまずまずの投球を見せた宮森もまた復活してくれないかと私は待っています。

来季も同じです。藤平や翔天は間違いなく疲労が残るでしょうから別の選手の台頭が必要です。西口・宮森の復活を挙げましたが、思いもしなかった選手の台頭も勿論お待ちしています。ドラフトで獲得した選手も含めて新しい投手の出現を期待してオフシーズン過ごさせていただきます。

いいなと思ったら応援しよう!