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音楽の遍歴③-クラシック(ヴァイオリン・チェロ)編

皆さまこんにちは。
今回は音楽の遍歴シリーズ③、就職後、札幌へ赴任した頃からのお話をしたいと思います。
どうかお付き合いいただければ幸いです。


きっかけは”ヴィンテージオーディオとの出会い”の記事で登場する「札幌音蔵」というオーディオショップです。

オーディオの買い替え検討と合わせてその頃考えていたことが”もっと聴く音楽ジャンルを広げたい”というものでした。
そして当然のように最後は”生楽器”に辿り着くのだろう…と思っていました。
…それは、ぼくにとってクラシックとジャズです。
ところが一体何から聴いたらいいのかさっぱりわかりません。今のようにネットもスマホもパソコンもない時代です。
情報源は人づて、雑誌など程度でした。
ぼくは運よく通っていた札幌音蔵でいろんなアルバムを聴かせてもらえる機会に恵まれました。
今回はクラシックで最も印象に残り、今でも聴き続けているミュージシャンと大切なアルバムを掲載していきます。


・ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-1987)

当時欲しくてたまらなかったタンノイのモニターシルバーで聴いたチェロ(ストラディバリウス/ダヴィドフ)の音がたまらなかった。…例えは良くありませんがエレキギターでディストーションを効かせたようなギュイーンという音。
エルガーのチェロ協奏曲は他の人のものもいろいろと聴いてみましたが、デュ・プレがすごすぎてカザルス盤ですら全く受け付けられませんでした。まるで彼女のためのような曲です。これが弱冠16歳の時の演奏だというのですから驚きです。昔、レーザーディスクの時代にデュ・プレの演奏風景や演奏旅行中の移動風景などを収録した記録を持っていましたが、年齢なりに快活で明るい女の子という印象でした。ピアニストで指揮者でもあるダニエル・バレンボイムと21歳で結婚しています。
多発性硬化症のため28歳で引退、42歳の若さでこの世を去ったことが悔やまれます。
この頃は自分がギターをやっていたせいか協奏曲やソナタなど、”主役のいる”演奏に心惹かれていました。

ジャクリーヌ・デュプレ/エルガー チェロ協奏曲
クラシックは何故か女性ミュージシャンに心惹かれる演奏が多かった
そして短命の人が多い
彼女の波乱万丈な人生はスキャンダラスな描写で映画にもなった

・ジネット・ヌヴー(1919-1949)

炎が湧きたつような演奏。
まるで自らの命を削り魂がほとばしるような演奏。はじめて聴いた時はジャンルを超えて身震いしました。
そして残念なことに彼女も航空機事故のため非常に短命でした。彼女が尊敬していたジャック・ティボーはじめ当時のミュージシャンは航空機事故で亡くなる人が多かったようです。
残念ながら残っている録音はモノラルどころかさらに昔の蓄音機時代の78回転盤のSPから復刻した演奏が殆どです。
それでもその演奏の凄さが充分伝わってくるのは凄いことです。当時ぼくのオーディオはこのSP復刻盤を上手く鳴らすためのセッティングに振っていました。
彼女の天才ぶりにはたくさんのエピソードが残っています。
ブラームスの協奏曲の有名なコンサートでは聴衆の女性があまりにも一生懸命拍手をし、ダイヤの指輪を失くしてしまったとか。
ぼくがいちばん好きな録音はシベリウスのヴァイオリン協奏曲です。もうこれ以上の演奏は後にも先にも出ないと思います。デュプレ同様、まるで彼女のために書かれたような曲です。
”貴族の聴く上品な音楽”…という、それまでクラシックに持っていた間違った印象や偏見を根底から覆してくれました。特に20世紀初頭の演奏家はそれこそ命懸けのようなパフォーマンスをする人が多くいました。まるでこの演奏が終わったら燃え尽きて死んでしまうんじゃないかというような。
当時まだ20代前半でこうした音楽に触れることができたことは幸運だったと思います。

札幌音蔵に入荷した時「買っておいた方がいい」
と言われ迷わず買ったHMV盤復刻全集LP
一体今はどれくらいの値段で取引されているのだろうか
今でも宝物だ

・パブロ・カザルス(1876-1973)

20世紀最大のチェリスト。
バッハの無伴奏チェロ組曲をモノラル時代に録音し世界に知らしめた功績だけでも素晴らしいと思います。
ヴァイオリンのジャック・ティボー、ピアノのアルフレッド・コルトーという当時考えられうる最高に贅沢なトリオの演奏も残っています。
典雅なティボー、詩的なコルトー、そしてカザルスの精神性…3つが混然一体となった演奏は奇跡としか言いようがありません。
時代背景もあるのでしょうが、こんなに思慮深い演奏をする人を他に知りません。この人の演奏を聴くときはいつも襟を正して聴くようになります。
有難いことにカザルスは1枚だけPHILIPSのステレオ盤がありました。

仏EMI盤
バッハ 無伴奏チェロ組曲全集
これもまた宝物です
有名なホワイトハウスコンサート
真ん中にはケネディ大統領が座っている
晩年の演奏であること、録音も良くはない
しかしそれを無視してでも聴く価値がある
ラストの『鳥の歌』の奥深さよ

クラシックの弦楽器だけでも一度ではとても紹介しきれませんので今日はこの辺で。
スポットでアルバムごとの記事を書くこともはじめようと思います。
それではまたお会いしましょう。

#クラシック #ヴァイオリニスト #チェリスト #ジャクリーヌデュプレ #ジネットヌヴー #パブロカザルス #カザルストリオ

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