ヴィンテージオーディオとの出会い④
・転職…そしてヴィンテージオーディオ購入へ
無事転職後、銀座の支店勤務が決まり実家から程近い埼玉県の朝霞市に住んだ。工場で一緒だった先輩が丁度、オーディオを探しており、私が購入時に安くお譲りすることを約束していた。しかし、全て売ってしまっては自分が何も聴けなくなってしまうし、当時は一気に揃えられる程の余裕はなかったため、仕方なくボーナスごとに費用を捻出した。確かはじめはアンプ。次にプレイヤーと新しいカンタベリーのハコだっただろうか。
・McIntoshとTANNOY
アンプについては数ある名器の中でもMcIntoshに心惹かれていた。デザインや思想で言えばQUADの22+Ⅱに魅力を感じたが、真空管時代のMcIntoshは実力・耐久性では他を圧倒していた。また、TANNOYとの組み合わせで鳴らした時の何物にも替え難い実体感はTANNOY同様、「生涯これでいい」と思わせる説得力があった。その中でもMoniter REDとの相性でベストマッチだったモノラル時代のパワーアンプMC30(モノラルなので2台)とMcIntosh初のステレオプリアンプC-20に決めていた。
当時既にヴィンテージアンプは部品供給も含めどんどん数が減っており、程度の良いものの入手は厳しい状況となっていた。それでも都内のヴィンテージショップへ何度も通い、何とか費用内で収まる様、お願いをして納得いくものを手に入れた。
・ターンテーブル、アーム・カートリッジ
ターンテーブルは何年も構想を練って決めていたGarrard301(ガラード)、アームはOrtofon(オルトフォン)が業務用のEMT927用に依頼を受け開発したOrtofon/RF297のコンシューマー向けを廃版直後に購入した。カートリッジはやはり廃版直後の最後のOrtofon/SPU-Aをステレオ用・モノラル用の2つを購入した。
Garrard301はヴィンテージ市場でThorens/TD124と人気を二分している。
繊細なベルト・アイドラーのThorens/TD124に対してGarrard301はBBCスタジオでも採用されるほどの耐久性と安定性を誇り、力強い音の魅力を持つ。現在は見られないモーターからゴム付のアイドラーでターンテーブルに動力を伝える”アイドラードライブ方式”である。残念ながら現在会社は存在しないが台数が多く流通したことと、メンテナンスをしっかりすればいくらでも使えるため、まだまだ入手可能な機種である。
ハコはAXIOM301ごと先輩にお譲りしたので、私にとっては2台目となるユートピアのハコを注文した。その際、前回気になった欠点を指摘し改善したものをお願いした。
…こうして遂にハコは国産だが、ほぼオールヴィンテージでのセットを手にすることができた。
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