タンノイの歴史…隆盛と凋落
英国の老舗ブランド…TANNOY(タンノイ)
オーディオ好きやクラシックファンであれば一度は耳にしたことのある名前だと思います。
今日はそんなタンノイを一筋に愛し聴き続けてきたイチファンとして少し深堀をしたいと思います。
歴史的名器と謳われる製品を世に送り出してきたブランドは隆盛を極めた時期とそれ以降の凋落期で分けられることが多い。
TANNOYで言うと1926年創業から1947年のデュアル・コンセントリック(Dual Concentric)開発後、1974年の火災で音の要であるコーン紙工場が全焼するまでの製品はそれ以降のものとは別格とされている。スピーカーユニットで言うとMoniter BLACK、RED、SILVER、GOLD迄を名器と呼ぶことが多い。
※上記4枚の写真は以下サイトからの引用です。
https://audio-heritage.jp/TANNOY/index.html
工場全焼後、西ドイツ・クルトミューラー社製コーン紙を使用できるように再設計された新型ユニットHPD(High Performance Dual concentric)シリーズを開発するが、残念ながらそれまでのMoniterシリーズとは全くの別物になってしまった。そしてTANNOYの代名詞だった”いぶし銀”の音が再現されることはなかった。その後、JBL同様アメリカのハーマン・インターナショナルに会社を売却することになる。
※上記の情報はウィキペディアからの引用です。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%8E%E3%82%A4
改めて言うまでもなくウーファーの同軸上にツイーターをスタックしたデュアル・コンセントリック・ユニットは現代の視点で見ても非の打ちどころのない理想的なシステムである。
上記の写真は以下サイトからの引用です。
https://blog.goo.ne.jp/yk1231yk/e/422dd7859f9a5ea1feecbe8fa5be20a5
そして当時のヴィンテージオーディオ全てに言えることだがコストダウンなどどこ吹く風で過剰品質とも言えるコスト度外視の作りの良さがある。カメラに例えるならLeica M3、クルマに例えるなら初代Eクラス(W124)だ。現代オーディオではとても真似のできない芸当だ。兎に角、佇まいが美しい。スピーカーユニットの裏などハコに収めてしまえば誰も目にすることはないにも関わらず細部に至るまで色や仕上げに配慮がされている。
音の良さとともにぼくが一気にヴィンテージオーディオの虜になった理由のひとつだ。しかし皮肉なことにそれが原因で多くの会社は衰退の一途を辿るのだが。そして如何にデュアル・コンセントリック・ユニットが優れていたかはアメリカ勢のALTECはじめJBLやJensenなど名だたるメーカーが同様の思想に基づいた製品を開発したことでも窺い知れる。