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【オトナガンダム】40代からのガンダム視聴の楽しさとメリット(1)

この記事はこんな人におすすめ

新作のTVシリーズ「水星の魔女」も放映され、益々盛り上がるガンダムシリーズ。大人になってからはアニメは子供っぽいものと感じて視聴しなくなったり、忙しさで視聴をしなくなって現在のガンダムシーンにはついていけなくなったりした人も多いのではないでしょうか?
この記事はそんな理由でガンダムから一度は離れてしまったけれども、実は心のどこかでガンダムをまた視たいと思っていたり、通勤しているときに隣の席に座っている学生のスマホ画面で目に入ってしまったガンダム映像が心から離れない、という方に視聴のきっかけになるようなおもしろポイントをご紹介していきます。

その1.「オトナ視点でキャラクターの魅力を再発見する」

リアルタイムで視聴していた本放送当時のガンダムの楽しさって、「アムロかっけえ!」「シャーかっけえ!」「ブライトやな奴!」「ガンタンクブサイク!」「ドレンめっちゃ足臭そう!」と、割と直球の楽しみ方をしていた人が多いのではないでしょうか?これが、学業や仕事を通じて、成功・失敗体験、恋愛や結婚、子育てなどを通じて経験を蓄積してきたオトナ世代になってから多面的な視点でガンダムを見ると、別の楽しさが浮かび上がってきます。

例えば、ガンキャノンのパイロットであるカイ・シデンを例に取ってみます。
シリーズ開始当初は斜に構えた外野的なスタンスで渋々ガンキャノンを操縦していたカイですが、幼い弟妹を守るために危険なスパイ任務に身を投じて、最終的に戦闘中の割とどうでもいいアクシデントで命を落としてしまう場面にかかわることになります。
カイの心境に大きな変化をもたらしたこのエピソード以後、彼の戦争に対するスタンスは大きく変化し、ベテラン戦士であるスレッガーの突出を抑えるような指示をしたり、ア・バオア・クーでの戦局の変化を察知して、戦場離脱の判断を下すなど、優秀なマネージメント能力を発揮するに至ります。
一年戦争終結後のグリプス戦役時(Zガンダムの時代)では、戦争に対する独自の視点を得て、旧知の仲のアムロやブライト、当時の仇敵であるシャアとも一定の距離を保ち、ジャーナリストとしての活動を通じて世界の行く末に自分のできる形での関与を続けようとします。
画面上では描かれていませんが、自分が生死に関わる行動をしてしまったミハルの弟妹の養育費用を出していた可能性もあります。
筆者は数あるガンダム映像に出演する膨大なキャラクターの中でもカイのブレない行動と、格好つけずにきっちり本音を口に出す性格が大好きです。

このようにサブキャラクターにフォーカスを当てることによって、様々な深みのある楽しみ方ができるのは何故なのか?
それは、当時の制作陣が「子供向けのおもちゃを売る映像を作れ!」というスポンサー側のオーダーに職業人として応じつつも、「本気で人を驚かせるようなものを作ってやろう!」というこだわりがあって、子供だましではないキチンとした作品を作ろうとした気概の発露の結果ではないかと筆者は思います。

カイ以外にも、「ブライトさん軸(二十歳そこそこでいきなり戦闘艦の指揮を任されるパニック具合)」「ハヤト軸(「天才ではない自分」を受け入れることによる成長)」「チャック・キース軸(天才パイロットを友人として支える)」「オットー・ミタス軸(窓際族の底力)」など、中心軸を色々と変えることによって何度でも楽しめるのが、オトナガンダムの魅力です。
なお、「シャア軸」「アムロ軸」「セイラさん軸」「ヒイロ・ユイ軸」など、天才・貴人・奇人のキャラクターでは一般人では推し量れない心の動きがあるので、オトナガンダム的には割と非推奨だったりします(笑)

その2.「現代社会との接点を楽しむ」

娯楽作品にユーザーを引き込むためにも、舞台設定や映像で使われているギミックに、現代社会の抱える問題や技術革新とのリンクが感じられることはとても重要です。

ガンダムでは「ミノフスキー粒子」という、散布することで電波障害を引き起こして、レーダーの性能が大きく劣化する架空の物質が描かれています。
これは、「敵の位置を知る」「通信によって情報を伝える」といった現代戦において要求される必須の機能が封じられた場合に、どのような戦闘が行われるかという思考実験につながっており、現代でこの問題に対して別の回答を示したのが「ステルス戦闘機」や「量子通信」ということになります。

また、ジオン公国のそもそもの発生原因は、強制的に宇宙移民を強いられた市民の中央政府への反発が、独自の優生思想に結びついて独立国の建国につながったという経緯があり、これは、そもそもの宇宙移民政策が地球の環境問題から発生したということもあり、いろいろなことを考えさせられるテーマです。
なお、映像では語られていませんが、移民のための打ち上げロケットのチケット費用は、公的な補助ではなく、移民自身が3代にわたってローンを負担するという裏設定があり、移民させられる方としてはまさに踏んだり蹴ったり。そりゃあ反乱を起こしたくなるというものです。

他にも、Vガンダムで描かれた「宗教に群がる人々」、Zガンダムで描かれた「選民思想の罪深さ」、ガンダムSEEDで描かれた「遺伝子操作された優生人類と普通の人類との軋轢」、ガンダムダブルオーで描かれた「エネルギー問題(太陽光エネルギーがエネルギー生産の中心になり、産油による経済に頼っていた中東諸国が没落)」など、ガンダムを通して現代社会の抱える問題や技術的なテーマを楽しみながらより深く理解するきっかけになるかもしれません。

その3.「世界観の深さ・広がりを楽しむ」

SDガンダムなども含めると、TVシリーズだけで20作以上、その他OVA等を含む外伝を入れれば無数のストーリーが存在するガンダムワールド、深掘ってみると、想像力を刺激する様々な世界観が提供されています。

本編では最も未来の世界を描いていると思われるターンエーガンダムは最初のガンダムの時代の数千年後の世界です。
過去の戦争等により産業革命前の水準ぐらいまでに文明後退した世界では、一方で地球を離れる決心をしたニュータイプたちがスペースコロニーを宇宙船に改造して外宇宙への旅にでていることが示唆されています。

そして、地球と月にとどまった普通の人類は月に移住した側の人類が地球に帰還する際のいざこざが拡大して戦争になってしまいますが、その際に使用されるモビルスーツは名称さえも失って「機械人形」と呼ばれています。機械人形は兵器庫に収納されているわけではなく、遺跡から発掘されて使用されるという、時代の断絶を感じさせる描写がされています。

他にも、火星への移住によって経済的に追いやられた子どもたちが独自の経済圏を模索する「鉄血のオルフェンズ」や、大きな戦争から時間が経って復興を目指す人々のたくましさが描かれている「ガンダムX」、エネルギー革命が起こって世界が三極(アメリカ・EU・中華圏)に分かれて覇権を争う「ガンダムOO」など、設定量の豊富さと作り込まれた映像で世界観を味わうことができるようになっています。

今はガンダム再デビューに適した環境!

ガンダムブーム当時、その後の1990年代は映像媒体も限られていて、ガンダム映像を視ようとしたら、一本数千円のビデオテープを買うしかないハードルの高さがありました。
現代では配信の無料コンテンツや有料チャンネルで大半のガンダム映像が家にいながらにしてオンデマンドで視聴できるという恵まれた環境が提供されています。

この年末も外出に制限がある人も多くなることが予想されますが、この機会に是非ともガンダムワールドにもどってくることをおすすめしたいと思います。
※(その2)も近日掲載予定です。
「つってぃーのプラモブログ」にてプラモ写真と製作記事を公開しています。


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