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メーカー研究開発職女性、ロールモデルいない問題

メーカー研究開発職女性、ロールモデルいない問題。

製品種別にも依ると思うが、大抵の場合、メーカー研究開発職に占める女性の割合はかなり低い。
若手にはある程度女性社員がいる企業でも、課長〜部長クラスのベテラン社員は男性ばかりが占めていることが多い。そしてその男性たちは「男は労働、女は家事」の枠組みの中でキャリアを積んできた人が殆どになっている。
そうなると、研究開発職若手女性社員のロールモデルは殆どいないということになる。

男女平等が叫ばれる今、働きやすい会社を指向した様々な改革が日本中で行われており、令和の女性は昭和・平成時代よりも随分とキャリアを積みやすくなってきている筈である。
しかしながら、妊娠出産というプロセスは現在の科学技術では女性にしかこなせない以上、それに伴うキャリア断絶は女性にとっては避けて通れないものになる。これに関しては男女平等というわけにはいかないだろう。
性別が異なるという生物学的な事情ゆえ、改革云々以前に仕方のない部分であり、多くの女性を悩ませるポイントなのではないだろうか。

そして子育てに関しては、「男は労働、女は家事」の枠組みの中でキャリアを積んできた男性社員が殆どであるために、ロールモデルになる人物がいないというのが現状である。

現在の子育て世代の実情を見る限り、夫婦どちらかがフレキシブルな勤務形態に変える、もしくは仕事を辞める、非正規雇用に転換するなどとして子育てに注力するパターンが多いように見受けられ、そしてそれは女性が担うことが多いように思う。このことが悪いと言いたいのでは決してなく、それももちろん選択肢の一つではあるけれども、それ以外の選択肢を選びたい場合のモデルケースがないということを嘆いているのである。
考えてみてほしい。夫婦共に独身時代と変わらぬ全力さで仕事に取り組みながら子育ても申し分なく行うなどという芸当が果たしてできるのだろうか?
夫婦共にキャリアを着実に積んでいくことを希望するならば、仕事に割くリソースを互いに同程度減らすしかないのだろう。独身時代ほどは全力投球はできないかもしれないが、子育ては夫婦でしていくもの。いわば「痛み分け」だ。
これを行ってきた「先輩」がいないのだ。自分で切り拓いていくしかない。

だから、「メーカー研究開発職女性、ロールモデルいない問題」と冒頭には書いたが、実際には
「妻が総合職のメーカー研究開発職男性、ロールモデルいない問題」
でもあるのだと思う。

私はメーカー勤務なので自分の業界のことしか分からないが、他の業界にも似たようなことがあるかもしれない。
なかなか一朝一夕には変わらない問題だろう。
これまでは多数派に合わせた働き方が枠組みとしてあり、多くの人がそれに則って暮らしてきたわけだが、多様化が進む中でその枠組みに当てはまらない人が増えてきた。
それぞれがそれぞれのやり方で家庭と仕事のバランス配分を行う時代の理想は、フレキシブルなキャリア構築を可能にする企業側の仕組みづくりだと考える。しかし、仕組みを作る側の人間が「枠組み」に沿ってキャリア構築してきた人々であるからして、事は簡単には運ばないことが懸念される。
いわば過渡期ともいえる令和初期の今を生きる若手世代、なんとかして多様性豊かな土壌を築いていきたい。

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